ね〜え?時刻は12時
「なーあ、ルークってばぁ」
ジェイミーが足をパタパタ動かしながら唇を尖らせて不満そうに声を上げる。
「んー…」
「もうっ!折角オレさまが遊びに来てやったのにソシャゲばっかすんなよっ!」
「はいはい」
腕を伸ばして俺の手の甲をペチペチ叩いてくる。こうやって駄々を捏ねるジェイミーがとんでもなく可愛くて、気を引きたくて、ついつい目の前で他の奴とチャットしたりアプリ開いちまう。悪い癖だ。
「うー……。」
ようやく黙ったと思えば、俺の指先を触る。優しくなぞって、ツンツン、と弾いてみる。
…か、可愛すぎる…もう駄目だ。
「帰るぞ」
「ハァ!?何!突然!!お前!!オレらこのカフェで何かおしゃべりでもしたかよ!?何しに来たんだっての!!」
「はいはい」
ぎゃーぎゃー騒ぐジェイミーを無視して会計を済ませる。
「ったく、お前って勝手な奴だよな。カフェのスタッフも可哀想だぜ。折角有名人のルーク君が来たかと思えば、怖い顔してコーヒー啜って即退店だもんな。ホント勝手な奴だよお前は!」
オレさまでなきゃ我慢できないって…
ブツブツ、まだ文句を言っている。
「なあルーク。手つないでも良い?」
「ん、」
「…つまんねー男。反応も薄いし素っ気ない。」
俺が構ってやらないもんだから、ジェイミーの小言はどんどん増える。
「今あの子見てただろ。そんなにおっぱいが好きかよ。お前オレの胸もしつこいぐらい揉むもんな。おっぱい怪獣め」
「ていうかさっき映画館でさ、寝てたよなお前。オレあの映画べつに好きじゃないのに付き合ってやったのにさ、見たい本人が寝ててどうすんだよ。オレさまの貴重な時間返せよっ」
「…ねえルーク。何でオレの事無視すんの…オレの事嫌いになったのかよっ。怒ってばっかでうるさいから!だったらもういいっ!オレだってお前よりもっと魅力的な男掴まえて──ッ!!」
ジェイミーの手を引いたまま黙々と歩く。
黙って家の鍵を開けて、玄関に連れ込む。
挙句、ジェイミーがとんでもない事を言い出すから思わず力が入ってしまった。
まるで投げ付けるかのような勢いで乱暴にジェイミーを壁に押し付けると、隣に吊り下げた姿見や時計も大きく揺れた。
「…沢山表情変えてさ、いっぱいお喋りしてるジェイミー、凄く可愛い。」
「な…ッ!」
「可愛いお前がさ、俺の為に色々考えて気を引こうとお喋りしてくれるんだぜ…。つい、意地悪しちゃうだろ…?男の子ならさ…。」
「ん…ッ♡…や、やだ…ッ耳元で喋るなって…♡」
「ん?…嫌なの?ジェイミー…」
頬や後頭部をさりさりと撫でながら、耳元でボソボソと囁く。顔を真っ赤にした可愛いジェイミーは。さっきまでの威勢はどこへやら、小さな鳴き声を上げている。
「ぅ♡…ひッ♡ぅ、ぅう〜…!」
「怒った顔も可愛いよ…大好きだ、ジェイミー…」
「や、馬鹿…ッ♡」
「馬鹿で良い…いつも意地悪しちゃってゴメンな」
「うう…♡っお、オレ、ルークに嫌われたって不安になった…!」
「俺が?嫌いになる筈ないって」
「だって!オレいっつも構って貰えるまでしつこくするからっ!ルークにウザがられてんのかと思うじゃんっ!」
俺の腕を両手でぎゅ、と掴んで、上目遣いで見つめてくるジェイミー。
とんでもなく可愛くて目眩がしてくる。
「しつこいジェイミーも可愛いから大丈夫」
「オレ、お前相手だとおかしくなるっ!」
「ゴメン、俺が意地悪するからだよな?」
「お前の事が好きだからっ!オレもうっ!いっぱいいっぱいになんのっ!」
「うん…ごめんなジェイミー。」
今にも溢れそうなほどに瞳を涙で潤ませて、一所懸命好きだって気持ちを伝えてくるジェイミー。
ああ神様、こんな可愛い子を俺の恋人にしてくれてありがとうございます。
外ではオラついたヤンキーみたいなジェイミーが、家の中では俺だけに子供のような素顔を見せてくれる。目元にキスを落としてお姫様抱っこした。
「ごめんなマイスイート。仲直りしよっか」
「へ?…仲直り…?」
「外で無視してた分も…沢山可愛がってやるからな。」
ジェイミーの唇にキスして軽く舐める。
意味がわかった瞬間顔を真っ赤にするジェイミー。
「なっ!お、おいっルーク!まだ昼だぜ!12時!!」
「愛し合うのに時間なんて関係ないさ」
「おっ降ろせ!おろせよっ!オレ今日はお前と一日デートすると思ってたのにっ!」
「ん?ベッドの中でデートしようぜ。」
「ベッドの中でできるデートなんてないだろっ!」
大暴れするジェイミーを強く抱きしめて(…というか、拘束?)そのままベッドルームに連れてった。殴ってこない辺り、ジェイミーも満更ではなさそうだ。
「はい到着。…さ、デートを始めような。」
「うう…馬鹿!ルークの馬鹿!」
「ん、そうだぜ俺は馬鹿だ。だから真昼間からこんな所も舐めちゃう。」
「あっ!?♡…あっ♡あっ♡駄目ッ♡あ"〜っ♡♡♡」
俺はジェイミーの太ももに強く顔を挟まれながら、幸せを実感した。
おしまい