ルジェValentine今朝
ジェイミーがラシードにチョコをプレゼントしていた。
あぁそうだ、バレンタインだ。
2人は菓子を贈り合うような仲ではない。
俺も含めた3人で飲みに行ったり、ホームパーティーしたり、ゲームして遊んだり戦ったり。
でもジェイミーがラシードにチョコレートをあげてる所なんか今まで一度だって見た事が無いんだ。
それも、わざわざ、今日2/14に。
…ならさ、意味が無きゃしないだろ?そんな事。
だって、だってそれを裏付けるみたいにさ、俺には何も無いんだぜ。
昼過ぎ、偶然ジェイミーに会った。
「…ジェイミー。」
「おう!ルーク。今日はいい天気だなぁ」
「ああ…そうだな」
「ん?…腹でも痛むのか?」
「いや、別に。ちょっと嫌な事があって凹んでるだけだ。」
「そうなのか?…無理すんなよ。」
ぽん、と肩に乗せられた手を咄嗟に振り払ってしまう。
俺にその気が無いくせに、思わせぶりなスキンシップしやがって。
「ああ悪い。俺今仕事帰りで汚れてるからさ」
「お、おう。そっか…オレこそ悪いな」
なんだその顔。傷付いたのか?
お前さ、ラシードが好きなんだろ。俺みたいな巨漢よりハンサムだし優しそうだもんな。笑顔だってさ、俺の作り物の見せかけの笑顔と違って、あいつはいつでも楽しそうだ。
ジェイミーお前、楽しいの好きじゃん。
いつもにゃはは、って軽快に笑って、走って踊って…俺なんかが届かないくらい高く飛び跳ねて。
その点、ラシードとはお似合いだよな。
先月だってビアガーデンで酔っ払ってそのまま、2人でビルの上走り回って、追いかけっこなんかしたりして。
あーぁ。好きな子が親友と付き合うのってこんなに辛い事だったのか。
「じゃ、俺、まだ仕事残ってるから」
「…ん、頑張れよ〜、脳筋君。」
「はいはい」
前は言われると嬉しかった、ジェイミーにしか言われない「脳筋君」今は何だか無性に虚しい。