オシャ忍者お嬢組「っ……」
ピー……と複数の電子音が収束し耳奥に突き刺さる。脳味噌を揺さぶる鋭利な音に、ぱちりと蟻生は目を覚ました。
真っ先に視界に入ったのは黒い空。一面黒塗りの天蓋と肌を撫でる外の空気に、ここは室外だと即座に判断を下す。
壁や天井が破壊され、風通しが良くなると同時に建物の破片がそこらじゅうに転がった放送室。その真ん中で、蟻生は仰向けに倒れた状態で静かに空を見上げていた。
少しの間、思考を剥ぎ取られた蟻生は呆然として、やがて電流が走ったように全身を跳ね上げる。
「あれからどうなった!」
起き上がろうとすると長髪が何かに引っかかって、蟻生は嫌そうに眉をひそめた。艶を失った髪を束にして掴むと勢いよく引き抜く。ぶちりと自慢だった髪が無慈悲に抜ける。
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