side:Phantom thief「イエローセラフと神辰J威弦Ⅲ世が裏切った」
とあるカジノのVIPルール。ディーラーの如くテーブルの前に立ったリコリスの台詞に、集められた四人の怪盗は各々顔を見合わせた。
「……いや、裏切るもなにも」
彼らを代表するように、長椅子に浅く腰掛けたブルームーンがリコリスに問う。
「そもそも俺たちは仲良しこよしの怪盗集団ってわけじゃない。あいつらが手を組もうが何を企もうが、口出しする筋合いはないんじゃあないか?」
「うん、僕もブルームーンに賛成かな」
入口の側に佇んで、スノーマンもそう口を挟む。バーカウンターのスツールに並んで座るドラスティック・フィーバーとストレイキャットも同じ意見のようで、四対の目がリコリスに向けられる。疑り深いその視線に応えるように、リコリスは「そうだね」と余裕を含んだ目を細めた。
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