目が覚めたらそこは異世界で同級生達と一緒に魔王討伐の旅をすることになりました。(3) 「なっ、何の音っ? 地震?」
下から突き上げるような揺れに思わず座り込む。
「スクルト(全体守備力強化呪文)!」
実くんが咄嗟に唱えてくれた呪文の効果で身体が薄い空気の膜で覆われる。
「ミノル先輩、スクルトは地震にはあんまり効果ないと思うんですけど」
一紀くんが笑いを噛み殺す。
「この子にだけスカラ(守備力強化呪文)唱えようとしたけど、カザマや氷室君にまでハンイ広げた俺の優しさをガン無視……」
転職して一昨日までの黒いローブの魔法使い姿から今は真っ白な法衣に身を包んだ実くんが唇を尖らせて、拗ねたように両手の指先を合わせる。
「いや、これ多分地震じゃない、イノリ構えろ、来るぞ」
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