無題➁「分かった、連絡、待っているからね」
それからしばらくして……。
「ユウ、ちょっといいかな?」
「おう!航海じゃねぇか、どうした?」
「ちょっと、話を聞いてもらいたくて…。」
「いいぜ!今日はバイトも休みだしな!」
航海は結人に堰を切ったように話し出した。桔梗と二人でいちご狩りとバーベキューが両方楽しめる農園に行こうと提案し、向こうも承諾してくれたこと。しかし、それからその話題に関して向こうから何も言ってこないため、戸惑っていること。来月末まではお互いに少し忙しいのでスケジュールの調整が難しいのはわかっているが、それでも何も言ってこないのはどうしてなのか、自分がなんども行きたいと彼に言ったせいなのかもしれない為、どうすればいいかわからないこと。これらについて一気に話し出した航海を見て、結人は驚いたものの、ひとまず彼が満足するまで話を聞くことにした。
航海が一通り、話し終えたところで結人はこんな提案をすることにした。
「なぁ、俺から凛生に連絡を取ってみてもいいか?」
「え、ちょっとユウ、桔梗になんて連絡するつもり!? 内容によっては怒るからね」
「そんなたいしたもんじゃないって! ただ、航海から話を聞いたことは触れずに、二人は今度いつ出かけるのか聞いてみるだけだよ」
「……ならいいけど。返信来たら、僕にも教えてよね」
結人は凛生に今度航海と二人で出かける予定はないのかとメッセージを送り、航海にも送信したことを伝え、その画面を見せた。
「もちろん! とりあえず、送ったからそれで様子を見てみようぜ」
「分かった、忘れずに教えてよね。それと、課題もちゃんとやること」
「うっ…。分かっているって!課題もちゃんとやるから安心しろって!」
「頼んだよ、ユウ。忘れていたら承知しないから」
結人は航海に釘を刺されながらも、その場を後にした。