「もうそんな時期か……」
食料品の買い出しに来ていた凜生はそう呟いた。
買出しに行ったスーパーではバレンタインが近いこともあり、沢山のチョコレートが売られていた。このところ大学での定期試験やレポートに追われていたため、もうバレンタインの時期が近づいていることに気が付いていなかったのだ。
「折角だし、的場に何か用意してやるか。しばらくはバンド活動に専念できるしな」
そう言って彼は頼まれていたものだけを購入し、航海に何を渡すのかを考えるため早々と店を出た。
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「それにしても的場は自分でも何か色々と買うだろうからできればそれと被らないようにしないとな」
そう言って航海にどのようなものを渡したらよいか参考にするため、スマートフォンで調べ始めた。話題になっている製品やレシピ、ラッピング……航海がより喜んでくれそうかつ、彼の買うであろうスイーツと被らなそうなものは何かについての答えを模索していた。