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    mii

    @hittingthe_wall

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    性の6時間を失敗する🐶です
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    https://x.com/hittingthe_wall/status/1739195796753641917?s=46

    #トウ虎
    blackTiger

    日付変更線を越えろ(西から東へ) ふと意識が覚醒して、見上げた天井は確かに自宅ではあるが、寝室ではない。リビングだった。
     そうすぐ判断できたのは、壁紙だけではなく、全身固まったような背中の痛みだ。リビングで、しかも床で寝ている。
     なぜ床で寝ているのか、トウマは昨日の記憶を手繰り寄せる。
     昨日は一二月二四日、クリスマスイブだった。
     俺んちでクリスマスパーティするぞ! と張り切ってメンバーを誘って、なんだかんだ三人とも乗り気だったところまでは良かったが、機材トラブルだなんだ、予定通りことが進まないなんていうのはよくある業界なので、まぁ予定は押した。一七歳の悠が働けるギリギリの時間まで押した。
     今夜のパーティは無理かもなぁ、と顔には出さないがメンバー全員内心感じていたが、宇都木がトウマのマンションまで四人まとめて車で送り届ける道すがら、クリスマスといえばこれだろ、という店へ次々立ち寄ってチキンだピザだケーキだ必要なものすべて揃ってしまった。
     閉店間際の駆け込みでも、クリスマス商戦本番で有り余るほどの在庫を用意してくれていて助かるなぁーなんて思っていたら、巳波に「さっき宇都木さんが私達の代わりに予約の電話をかけてくださったんですよ」と教えられて、頭が下がった。さすがの敏腕マネージャーだった。
     さて、ここまでの記憶に、床で寝る要素がない。
     水でも飲んで目を覚まそうと、ギシギシと関節が音を立てるような重怠さを堪えながら、トウマはごろりと寝返りを打って半身を起こす。
     ふと温もりを感じて視線をそちらへ向けると、ぴたりと寄り添うようにすぐ隣に虎於がいて、うおっと驚いて声が出た。虎於まで床に寝そべって、毛布一枚で寝袋みたいにからだを包んでいて、じとりとトウマを睨んだ。
    「お、おはよう?」
    「おはよう。よくお休みで」
    「えーと……二人は?」
    「じゃんけんで勝った順に、巳波がベッド、悠がソファ、俺が床」
    「トラ、俺以外にも勝てねぇのか……寝れた?」
    「眠れる訳ないだろ俺が、床でなんて」
    「だよなぁー、ごめん、布団かけてくれてありがと」
     トウマにも昨晩出した覚えのない毛布が一枚かけられてる。
     別に、風邪引かれたら困るし、仕事が、と言う虎於のつんと拗ねた態度で、トウマはすっかり思い出した。
     クリスマスにこいつらとパーティできるなんて夢みたいだなー、嬉しいなー、楽しいなー、来年もやりたいなー、できたらいいなー、なんてふわふわ浮かれていい気分になって、缶ビール一缶で気持ちよくなって、その後どうしたっけな、というところまで、思い出せた。
     昨晩のパーティ会場だったリビング、ピザとチキンとケーキとシャンメリーと少しのアルコールがテトリスみたいに並んだローテーブルの上はきれいに片付いている。
    「クリスマスの予約が取れない男だった俺を放っておくなんていい度胸だなトウマ」
    「そんな有名フレンチみたいに……放ってねぇだろ、クリパしたじゃん。食ったことねぇって言ってたけど、七面鳥じゃなくてケンタのチキンも悪くなかったろ?」
     それはまぁ、うん、と虎於が包まった毛布の中に埋もれる。
     リブは小骨が多くて食べにくいからと、それ以外の特に食べやすい部位を悠がわざわざ選んで渡してやって、食べ方まで甲斐甲斐しく世話したのだから、虎於が気に入らないはずはない。
    「お子ちゃま達が寝静まったらオトナの時間になるかと思ってたのに」
    「えっ」
    「いいワインも持ってきてたし、この前美味いって言ってたチーズだってあったのに、おまえがあれっぽっちのビールで酔って寝るから」
     あ、オトナの時間て、そういうことね……むくりと膨らんだ下心を抑え込む。
     それに、と虎於が右腕をにゅっと伸ばしてトウマの片手をつかむと、毛布の中に肘から先を引っ張りこむ。
     毛布の中は虎於の体温でぬくぬくと温かい。
     虎於に引き寄せられるまま誘われる先へ、まず指先がふれたのはデニムの硬い生地の感触、そのままウエストのベルトと肌の間に指先を潜り込ませる。
     虎於が顔を寄せて、吐息混じりにささやいた。
    「すごいの、はいてきたのにな」
     ボクサーパンツの幅広めのウエストゴムでは絶対ありえない、細くて柔らかい紐状のものに指先が引っ掛かった。虎於に手を添えられて指先をつぅと滑らせると、結び目状のところで輪に人差し指がかかる。毛布の中で見えないけれど、プレゼントの包装を解くリボン結びのような――少なくとも虎於の下着の中ではふれたことがない感触に頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになる。
     トウマの二〇年の人生の中で、女の子のランジェリーを外した回数より、虎於のボクサーパンツを引っぺがした回数の方がきっともう多い。
     期待と想像の中ではこれは絶対アレだ、すごいアレだ、なんかすごい、えっちなアレだ、と確信しているが、確認してからこのリボン結びを解く許可を得なくてはならない。
    「す、すごいのって……な、な、なに」
    「なんだと思う?」
    「え、わかんない、これだけじゃわかんない、見たい、見して」
     指先だけでなく手のひらまでジーンズの中へ押し込もうとして、虎於にがしっと手首をつかまれてしまう。
    「えっ……えっちなやつ……?」
    「さぁ?」
     虎於がにやりと口の端を上げて目を細めた。
     虎於につかまれた手はちょっとも先に進まない。いつだってなんだってそうだ。虎於のよし、がないとトウマはお預けを食らったイヌ同然で、躾のなったかわいいワンちゃんを演じて餌をもらう。
     たまに噛みついてみたりもするが、その後のことを考えると、虎於のよし、をねだる方が色々楽なのだ。
    「オトナのクリパってリベンジきく?!」
    「どうかな、二五日はもうサンタも帰ったんじゃないか?」
     眠れていないのだから寝起きの悪さも何もない虎於が、普段ならあり得ない身軽さでパッと毛布から飛び出して、さっさとソファへ、奥の寝室へ、悠と巳波を起こしに行く。
     いやいや、まだいてよ! サンタさん待って! 悲鳴を上げる関節を無視して飛び起きて、虎於を追う。
     虎於と同じく朝はあまり強くない悠が、ソファの上で丸くなってまだ眠そうに目をこすりながら、今サンタのいるとこならグーグルで見れるよ、と答えた。
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