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    mimimimibdmi

    @mimimimibdmi

    そこの君、バディミッションBONDをプレイするんだ。

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    mimimimibdmi

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    注意
    ・アロルク(未成立)でモクチェズ(成立済み)です
    ・謎時空
    ・アーロンがかわいそう
    ・アーロンがとてもかわいそう
    ・ア労災じゃなくてア虐かも
    ・でも平和です

    BONDトーーーーク「…………」
    「…………」
    「……フゥ」
    「……で、出番なかなか来ないですね」
    「こりゃあ参った。トークコーナーは多少押すかもとは聞いちゃいたけどね」
    「チッ。ライブにゲストトークなんざ挟むからだ」
    「怪盗殿、いささか過ぎた言葉かと。今回のライブ、かの世界的シンガーのミカグラ来訪を歓迎しての色合いが濃いのですよ。ライブの主役であるスイ嬢も大ファンの、です」
    「確かに、スイさんのはしゃぎようはすごかったな。ライブ前に緊張もしていた」
    「『緊張なんてしていられないけど、みんなが一緒に居てくれたら心強い』。ナデシコちゃんにはそんなオファーがあったそうだよ」
    「『一緒に居てくれたら』ってのは『楽屋にカンヅメ3時間』、って意味か?」
    「アーロン、あまりイライラするなって」
    「うるせぇ……ヴヴヴヴヴ」
    「ほら、筋トレ筋トレ! 僕も一緒にやるからさ、な!」
    「要らねぇよ! 連れションじゃねえんだ!」

    (ヴ~~~~……楽屋の外にも出られねぇ、飲食禁止、出番はいつ来るかわからねぇ……マヌケ面を突き合わせて待機待機待機……好かねぇ、イライラするぜ……)

    「おいドギー、ひとりジャンケンしろ」
    「突然の無茶振り!? いくら待ちくたびれたからって僕の必殺芸で暇つぶししようとしないでくれ!」
    「ハ、確かに必殺芸だわな。鉄クズん中でテロリストを釘付けにしたほどの、なァ?」
    (……クソ、オレも見たかった……おっさんと潜入してなければかぶりつきで、こいつの恥じらうところを……クソかわいかった、だろうな……)
    「……あ、はは……照れるな、流石に……」
    「照れてんじゃねぇよ。余計にイラつく」
    「ひ、ひど……」
    「ア、アーロン! ルークに当たっちゃダメだよ~こういうときはおじさんにおまかせ!」
    「あぁ?」
    「待ちくたびれた男が4人、ひとつ部屋の中で動くこともままならず……とくりゃあ恋バナでしょ!」
    「恋バナぁ?」
    (恋バナぁ!? こいつの、ドギーのいるところで、だと……!?)
    「ハッ、くだらねぇ」
    (冗談じゃねぇ、こちとら片想いをこじらせすぎていつ口から『好きだ』ってまろびでるか冷や冷やしてるってのに……!!)
    「まあいい、話してくれよ、おっさん。今はどいつに懸想中なんだ? 暇つぶしにはなかなか悪くねぇ話題だ」
    (おっさん、時間を稼いでくれ!! 考えろ、考えろオレ!! ドギーへの恋心を気取られないでこの場を切り抜ける方法を……!!)
    「あ、あははー……え、えっとね? おじさんが今キュンキュンしてるのはー……」
    「お、おいアーロン! モクマさんに悪いだろ! こういう時はもっと別の話題を」
    「ボスの言う通りです。まったくもってその通り」
    「チェ、チェズレイ?」
    「モクマさんが今現在、どなたに、心を、寄せて、いらっしゃるのかは非常に興味深い話題ですがァ」
    「……チェ~ズレイ……お前さん怖い顔しとるよ?」
    「ですがァ! ……その詮議はおいおいできます。今ここでするべき雑談にはもっともふさわしいものが別にある。ボス、そうですよね?」
    「あ、ああ! その通り! さすがチェズレイだ!」
    「ご信頼、誠に痛み入ります。さて怪盗殿、この場にもっともふさわしい話題がなにかわかりますか?」
    「知るかよ、クソ詐欺師」
    (~~~~セーーーーフ……助かった……癪なうえ全身痒くてたまらねえが今はクソ詐欺師に感謝だ……!)
    「フフ。それはですね。猥談です」
    「わい」
    「だん」
    「……ハァァ?」

    (ハァァーーーー!!!??? もっとヤベェじゃねぇか前言撤回だこの腐れ外道クソ詐欺師!!!!!)

    「チェ、チェズレイ~? そいつはちょっとお前さんのキャラというかイメージを損ないやしないかねぇ?」
    「何を言うんですモクマさァん。興味、ありますよ。ありますとも、ええ」
    「猥、談に……?」
    「ええ、ボス。特に皆さんが自慰の時、性感を高めるために必要とする妄想の種。いわゆるオカ」
    「おおおおじさんも興味あるなぁぁ~~!!!!! みんなのオ・カ・ズ☆」
    「モ、モクマさん……身を挺して声を張ってチェズレイの口から『オカズ』という単語を皆まで言わせないように守った……!! 守り手、健在……!!」
    「ルーク……おじさんはね、同道の相方を、そのパブリックイメージを守らなきゃならんのよ……そのためならオカズのひとつやふたつ、叫ぶさ……」
    「ううっ……かっこいいなぁ~~!!」
    「『自慰』は言わせちまってるじゃねーか」
    「それはまあ、イメージを損なわんので、ね?」

    (意味分からんがヤベェことに変わりはねえ……オナニーの時のオカズだと……? クソッ、適当に言い逃れなきゃならねえ……)

    「というわけで! ルーク! たまにはBONDのDから行ってみない?」
    「……! ナイスですモクマさん!! ますますかっこいい!!」
    「……何喜んでんだドギー。お前オナネタを開陳することに興奮する性質でも持ってたのかよ」
    (それはそれで……イイ、な……)
    「え、あ……そんなことはなくて……」
    (……赤くなってやがる。クソ、イライラにムラムラが乗っかりやがった……)
    「は、早く! ルーク、おじさんに教えてっ! 夜のお供!」
    「そ、そうですね!! BONDのDから始まって、逆順で次はモクマさん、その次はチェズレイ、最後がアーロン!! それでいいんですよね!!」
    「うんうん、飲み込み早くておじさん助かっちゃう!」
    「……ハァ。お二人がそれでよろしいのであれば、私も特に異論はありません。いいですね? 野獣殿?」
    「……くっだらね。とっとと始めろよ」
    (たす……かったのか……? よくわからねぇが……。おっさんと詐欺師のズリネタなんざどうでもいいが、オレがドギーの後頭部をネタにシコってるってことだけは隠し通さ)
    「はーい!!!!!! 1番、ルーク・ウィリアムズ!!!!! 行きます!!!!!!」
    「お、おー!!!!! 元気がいいねえ!!!!!!」
    「……なんだこいつら」
    (まあ、ドギーのズリネタを知るのは有意義かもな。こいつのことだ、精々がヌードグラビアだろ)
    「え、えー……僕のオカズは……」
    「うんうん!」
    「清廉なボスが何に劣情を催すのか、とても興味深いですねェ……」

    「……くすぐりモノです」

    「へっ?」
    「…………」
    「おお、なかなかニッチなところを攻めますね」
    「あ、あの、ポルノムービーにくすぐりモノってジャンルがあってですね? 着衣から始まって、主演のアクターをいろんな方法でくすぐるんだ。手とか、器具を使うこともある。羽根、筆、マッサージ器もあったな」
    「…………」
    「もちろんくすぐったがってアクターは笑うんだけど、そのうち笑い過ぎて呼吸困難になってきて、その紅潮した顔もセクシーだし……」
    「…………」
    「くすぐりが段々、アクターが気づかないくらい自然に愛撫になっていって、くすぐったいのと快感とで身をよじらせるのも、なんていうか……」
    「…………」
    「たまらん、と思います」

    (『たまらん』じゃねええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!)

    ビシッ

    「……アーロン……?」
    「なんでもねえ、ポケットん中のクズ石を握り割っちまっただけだ」
    「クズ石、って君のポケットの中に入ってるのって確か宝石じゃ」

    (ガチガチの特殊性癖じゃねえか!!!!!!! こいつが、この無垢でおきれいなドギーが、どんなポルノチャンネルでも99%カテゴリ分けされてねえようなマイナー性癖だっただと……)

    「は、ハハ、みんなちょっと引いたんじゃないか……?」
    「別に引いたりしねーよ」
    (そう、引くわけがねえ)
    「アーロン……君……」
    「う、うんうん! おじさんも引いたりしないよ! 見聞が深まった!」
    「モクマさん……」
    (むしろ……いいことを聞いたぜ)
    「ヒッ」
    「おやボスゥ? モクマさんの下衆な笑顔に恐怖でも感じられましたかァ?」
    「い、いや、なんでもない」
    (ドギーはくすぐりモノが好き……くすぐられるのはどうだ?)
    「そう、なんでもない……」
    「ああ、そのように自分を抱きしめて……空調の温度を上げましょう」
    (今度素手でやり合うタイミングがあったら試してみるか……ヤベェ、少し勃っ)
    「はい!!!!!!!! 僕はオカズを白状したぞ!!!!!!!! 次、モクマさんですよね!!!!!!!!!!!!!!!」

    「おじさん、ぜーんぜんえっちなことには詳しくないけどっ」
    「ボス、あんな風に抜け抜けと嘘を吐く中年男性になってはいけませんよ」
    「ひどいっ……おじさん、傷ついちゃう……」
    「まあまあ、モクマさんもチェズレイも。ここはどーんとお互い腹を割りましょう!」
    「そいつはいい。おっさんの腹を割ったら何が出てくるか見たいもんだ」
    「アーロンまで……しくしく」
    「さあ、モクマさん。白状なさい。ボスは見事にやってのけましたよ」
    「……やれやれ、そうまで言われたんじゃあ、最年長として逃げちゃいかんだろうねぇ」
    「で、おっさん。何が好きなんだ?」
    「緊縛☆」

    「き、き……」
    「緊縛……」
    (こいつは驚きだな……おっさん、軽く見せといてそういうのは淡白だと思ってたが……けっこうエグいじゃねえか)
    「あのね、緊縛って愛がないと完成しない芸術なのよ。受け入れる側の不安と期待を縄師がよーく汲み取って、決して不要な痛みや無理な姿勢を強いないように細心の注意を払って縛るの。究極のコミュニケーションと言ってもいいね」
    「そ、そうなんですか……深遠だな、僕には未知の領域だ……」
    (縛る……縛るねぇ……)
    「? チェズレイ、急に静かになってどうしたんだ?」
    「……いえ、ボス。なんでもありません。モクマさん、どうぞ先を続けて」
    「んじゃお言葉に甘えて。さっき言った通り緊縛ってのは双方の信頼、愛がないと堂に入るというわけにはいかない。雑に、強引に、縛って拘束して苦しめるってのが好きなひともいると思うよ。でも俺はそういうのは好かないね」
    「ッ」
    「チェズレイ……?」
    「いえ。実に、興味深いもので。つい、昂ってしまいました」
    「続けてもいいかね?」
    「どうぞ」
    (なんだ……? 詐欺師の心音が乱れてきやがった)
    「縛られる側は当然不安だ。裸になって、無防備な肌に縄が食い込む。同時に目隠しすることも多いからね、視界が塞がれると肌感覚も鋭敏になって、些細な接触、物音にも怯えることがあるかもしれない。それを縄師は十分に理解して、ゆっくり、繊細に肌に縄を這わせるんだよ」
    「ごくり……」
    「…………」
    (……おっさんにこんな面があったとはな)
    「縄ってのは変幻自在だ。受け手の体格や体つきで縛り方も変わる。決して苦しませず、だけど手向かいは許さず、期待を超えて、そのひとときだけの悦びを与える。その日の体調や天候もあるしね? 縄は湿気で変わるからさ。その人、その時、その場所で、一度きり――再現不可能な芸術だよ」
    「つっても結局はヤるんだろ?」
    「はは、そりゃそうだよ。セックスだもの」
    「……はぁ」
    「チェズレイ、やっぱり様子がおかしい。横になっていた方が……」
    「いいえ、ボス。これ以上ないほど私は好調ですよ。見事な講釈を聞かせていただきました、モクマさん」
    「お前さんが楽しめたならなによりだ」
    (……こいつら……なんかあったな)
    「……詮索はやめておこう……」
    (それにしても緊縛か……ドギーにゃ高度過ぎる)
    「お、面白いお話でした!!」
    (せいぜい手錠だな。こいつの所持品から盗んでかけてやって……イケるな)
    「さあー!! もうそろそろ出番の合図かなー!!!!!!!!!!!!!!」

    「……来ないですね、合図……」
    「バックダンサーがいること、忘れられちゃったかねぇ」
    「ゲストトークがこんなに長引くと、セットリストを再構成しないと進行不能なのかもしれません。バックダンサーは当然後回しです」
    「ふざけやがって……」
    (後ろ手に手錠をかける……手首に手錠が擦れないように布か何かを噛ませて……こいつは当然戸惑うから……目隠しもいるか……)
    「ぼぼぼ僕、ちょっと見て来ましょうか!!??」
    「待って!! 気持ちはわかるけど待って!! 行き違いがあったら一番まずいでしょ!!」
    「そう……ですね……」
    (目隠し……ときたら猿轡だよな)
    「ひゅっ」
    「どうした? ドギー」
    「く、くしゃみが出そうになっちゃってさ!! そうだ、チェズレイ!! 次は君の番だった!!」
    (……悪くねぇな、正直……だがこいつを苦しませるのは本意じゃねえ)
    「……はい、ボス。私の番です」
    「うん、頼んだ。……ほっ」
    (俺が腕を磨くしかねえな、緊縛)
    「ひゅっ」

    「私のオカ」
    「オカズね!! うんうん、おじさん知りたいなあ!!」
    「……妄想の種は、正直つまらないとお思いになりますよ?」
    「それでも頼む話してチェズレイ頼む」
    「ボス、落ち着いて。私の妄想の種はですね」
    「うんうんうんうん」
    「背中です」

    「せな、か」
    「はい」
    「えっと、それは」
    「着衣でも、ヌードでも。好ましいと思った人物の背中を思いながら自慰することが多いですね」
    「へ、へえ」
    「……ふうん」
    「モクマさん? 何か言いたげだ」
    「うんにゃ、別に。先が聞きたいね」
    「はい」

    (背中……)
    「ア、アーロン」
    (……ドギーの背中には、刑務所で受けた拷問の……)
    「……アーロン!!」
    「うおっ……」
    「ぼんやりしてるなよ、チェズレイの話を聞こう」
    「……ンだよ、詐欺師の話にまともに耳を傾けるなんざできるかよ」
    「まあそう仰らずに。私が背中に魅力を感じるのはね、そこに表れる人柄を誤魔化せる人間が少ないからですよ」
    「ほお」
    「若い命のみなぎる伸びた背筋、老人の重ねた年輪を思わせる曲がった背中、晴れ晴れと真っ直ぐな背、重圧にひしゃげた背、傷のない背中、あるいは傷だらけの背中」
    (……ドギー)
    「背中を鏡なしに見ることのできる人間はいない。だから人間というものは背中には基本的に鈍感なのですよ。痛みにも鈍いからこそ荷物は背負うのでしょう」
    「ちょいと哲学めいてきたね」
    「ええ。背中をなぞるということは人生をなぞることに近い。その人間が被る上っ面では隠せない人生を、ね」
    「……んじゃなんだ、クソ詐欺師は他人の人生に欲情するってのかよ」
    「ええ。あなたはそうではない?」
    「……チッ。問答はごめんだ」
    「残念。ともあれ、私がこの性癖に気付いたのはごく最近です。想い人ができましたので」
    「ゴホッ」
    「え! そうなのか、チェズレイ!?」
    「ええ。ボスにも内緒にしていたこと、お許しくださいね?」
    「水臭いな、僕と君の仲じゃないか! あ、でも親しいからと言って何もかもをさらけ出さないといけないというのもおかしいよな。大切な秘密なら、胸にしまっておいてくれていいんだ」
    「ああ、ボスゥ……その優しいお心づかいだけで私は胸がいっぱいですとも」
    (あー……そういうことかよ)
    「……アーロン」
    「おっさん、オレは聞かねえからな」
    「ウン……そうしてくれると助かる……」
    「まァそういうことです。私は心を寄せるとある方の、数奇な人生を如実に表した背中を思いながら、自らのペニ」
    「ゴホッゴホッゴホッ!!!!!!!」
    「モクマさん!?」
    「ルーク、ごめんね。おじさんに水を一杯だけくれるかい?」
    「は、はい!!」
    「……チェズレイ」
    「はい、なんでしょうモクマさん」
    「後で、話があるからね。わかってるよね?」
    「えェ。楽しみにしています」
    (……なんでこの距離なのに全身が痒くて仕方がねぇんだ……!!!! クソ詐欺師、やっぱコロすしかねぇ……)
    「フフッ」

    「さて、本題ですよ」
    「本題?」
    「怪盗殿、あなたの妄想の種を白状してしまっては?」
    「ハァ?」
    (~~~~~~そうだった……ヤベェ……!!!!!!!)
    「チェチェチェチェズレイさん???? おじさんちょっと小腹が空いちゃったなあ????」
    「ステージ前はミネラルウォーター以外の飲食は禁止ですよ、モクマさァん」
    「じゃじゃじゃあ、みんなで体操とかどう????」
    「あまり楽屋で騒がしくするのはどうかと」
    「なあ、意地悪言いなさんなよ、な?」
    「私は親切心で促してるんですけどねェ」
    (どうする、どうする……!!!!!!)
    「テメェの前で言うわけねぇだろ、クソ詐欺師」
    「おや」
    (ばっくれるしかねえ……どうなってんだよ今日は!!!!)
    「怪盗殿ォ……チームの中であなただけですよ、妄想の種を明かしていないのは。これはあまりにもアンフェアでは?」
    「……!!」
    (たし……かに……フェアじゃ……ねえ……!!)
    「チェ~ズ~レ~イ~!! もうやめてあげて!!」
    「お水持ってき……うわっ。どうしたんだ!? これ!!」
    「ああ、ボス」
    「ルーク、今来たら……!」
    「……ドギー……」
    (……ドギー……!!)

    (……オレのズリネタなんざ、こいつの痴態に決まってんだろうが……!!!!!!!!!!!)

    「うわっ!?」

    (オレの顔を見上げるドギー、捜査中に小首をかしげるドギー、指笛に反応して素直におすわりするドギー、はにかんだ笑顔のドギー、あたたかい笑顔のドギー、少し引き攣った笑顔のドギー、いつもの姿のドギー、潜入服のドギー、銃を構えるドギー、扉に警戒するドギー、祈るドギー、撃つドギー、走るドギー、食うドギー、飲むドギー、眠るドギー、クソ忌々しいあの赤いやつを抱きしめるドギー、マイカの柴犬にデレデレのドギー、ガキどもに甘いドギー、老人どもに優しいドギー、怒るドギー、食らいつくドギー、追い詰めるドギー、ドギードギードギードギー!!!!!)

    「あ……」

    (コートを羽織る背中、銃の手入れをする真剣な顔、ものを食う時に膨らむ頬、ほっせえ腰、刈り上げた後頭部、意外といかつい手、不器用なステップ、クソダサジャケットプレイ!!!!!)

    「アーロン……」

    (どれもこれも、めちゃくちゃにしてやりてえ……ルーク)

    「……アーロンっ!!」

    ぱちん!

    「!!」
    「しっかりしろ、アーロン!」
    「ドギー……」

    「しっかりしろもなにも、オレは今このクソ詐欺師をこの世から蹴り出してやるところだったんだがなァ?」
    (た……たすかった……)

    「それならよか……よくない! ステージ前なんだから暴れるのは我慢するんだ!」
    「その前にオレの顔を挟んでる両手をどけた方が身のためだぜ」
    「あっ、これは」
    「よくも横っ面はたいてくれたもんだよなァ、ドギーよぉ……」
    「は、早く出番が来ないかなー!!!!!」
    「誤魔化すな!!!! そこ動くんじゃねえぞ!!!!」

    バンッ

    「待たせたな、諸君!」
    「な……ナデシコちゃん!!」
    「ゲストトークがようやく終わった。諸君らの出番だ! ウォーミングアップは済んでいるようでなにより」
    「ハハ……」
    「まあね……」
    「チッ……」
    「おやおや、残念です」
    「君らのトークの続きはステージが終わってからだ。さあルーク、いつものを頼む」
    「はい! BeastおよびOutwitter、NinjaならびにDoggie――以上4名、チームBOND、ステージ開始だ!!」

    「ああ、そうそう」
    「? はい、ナデシコさん?」
    「私のオカズはマジックミラー号だ」
    「!!!???」
    「フフ、また後でな」




    「……はぁぁぁぁぁぁぁーーーー」
    「ルーク、お疲れさん。ほいっと」
    「モクマさん……リョクチャ、ありがとうございます」
    「私からも、こちらをどうぞ? ボス」
    「ドライフルーツか。ありがとう、チェズレイ。……ちなみに」
    「ご安心を。怪盗殿は屋上でご就寝です。このオペレータールームの防音性能なら彼の耳にも届かないでしょう」
    「そう、か。……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
    「そろそろキツくなってきた、ってところかい?」
    「最初からこれ以上ないくらいキツいと思ってます……こんな状態がいつまで続くんだろうって……」
    「彼の名誉と心の安寧を思えば、もっと早く真相を打ち明けるべきだったかと」
    「……その判断を発端の時に僕ができていればよかったんだけどな……」
    「いやぁ、まさか誰も思わないでしょ。今の事態を予測なんてできるはずがない」
    「……解毒薬は、いつまでかかるんでしょう……」
    「シキはすごく頑張ってくれてるよ。ディスカード残党はもうほぼ追い詰めているって話だ」
    「肝心なのは、『心の声が実際の音声になって周囲に丸聞こえになる』という結果を引き起こした毒薬を、成分解析以上に熟知している研究者が彼らの中に含まれているかどうかです」
    「……アーロン以外があれを吸入すると、謳い文句通りに呼吸困難を引き起こすだけなんだよな……」
    「ええ、シンプルな毒薬です。怪盗殿はまことに規格外ですねェ」
    「面白がるのはやめておきなよ、チェズレイ。これは深刻な問題なんだからさ」
    「そうです。この事実をアーロン本人が知ったら――」
    「心の声がダダ洩れで誰も彼もがアーロンの本音を知っていると聞いたら――」
    「ボスのことが好きで好きで大好きで毎日毎時間ボスのことを考えていると知られてるのが発覚したら――」

    「……海に身を投げると思います」
    「地中に埋まるかもしれないね」
    「私はボス以外をかぎ爪にかけると思いますよ」
    「だからこそ、この事実は隠し通して、彼をなるべく外へ出さず、迅速に解決しないといけないんだ」
    「それなのにチェズレイ。お前さんときたら今日の楽屋でのあれ。挑発的過ぎたよ?」
    「怪盗殿が韜晦趣味なのはこの際どうでもいいのですよ。一番の問題は、彼が『自分は片想いをしている』と思い込んでいることなのです」
    「…………」
    「……ルーク、やっぱり告白しちゃう?」
    「……いえ、それはアーロンの言葉を借りればフェアじゃない。僕だけが彼の本心をまるまる知っていて、お見通しの恋心に『応えてあげる』なんて」
    「好きなんでしょう?」
    「……ハイ」
    「ならなんにも問題ないと思うけどね」
    「僕は、アーロンの心を守りたいんです。彼の心の声が聞こえなくなって、何を考えているかわからない正常な状態に戻ったら、その時こそ真正面から……告白します」
    「……そう」
    「もしその時になって、とっくにアーロンが別の人を好きになってたら、潔く玉砕しますよ」
    (それはないと思うなぁ)
    (それはないと思いますけどねぇ)

    「さあ、夜も更けてきました。いつもなら就寝する時間ですが――」
    「なんだか目が冴えちゃったな」
    「ナデシコちゃんに聞いてみる?」
    「なにをです?」
    「マジックミラー号のポルノムービー、シェアしてくれないかって」
    「ぶっ」
    「くっ」
    「いいじゃない、男3人で鑑賞会。お酒とおつまみも用意してさー」
    「さァて、どうしましょうねえ。ボス?」
    「僕はアーロンを誘ってみるよ。彼だけ仲間外れは嫌だしね」
    「あらら、そう」
    「おやおや。了解いたしました」
    「じゃあ、リビングに集合ってことで!」

    「モクマさん」
    「チェズレイ」
    「マジックミラー号の調達ルートはあります」
    「……そうね。でもそれ、アーロンとルークには知らせんといてね」
    「ええ、もちろん」
    「暴走しないといいねえ……ふたりとも」
    「それこそ、神のみぞ知る、ですよ」
    「神様って、どんな?」
    「さあ? ポルノムービーの神様じゃあないですか?」
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