いつかあなたをつくるもの「ん……」
眩しい朝日に目を覚ますと、コーヒーの香りがした。まだ布団から出たくなくて、起きるか二度寝するかもぞもぞと葛藤をしていると、起きたかと師匠から声がかかった。見つかってしまうと起きなくてはいけない気持ちになる。
「いいよ、寝てて」
「起きます」
「そ? コーヒー淹れたけど飲む?」
「いただきます……あ、師匠!」
「ん、どした」
「おはようございます」
「おはよ、モブ」
振り返った師匠はこれまで見たことがない顔をしていた。苦笑しているような、照れくさそうな、そして少し嬉しそうな顔で笑った。
ベッドから体を起こした僕の肩に冷えるからとブランケットをかけて、師匠は台所に向かった。
「牛乳入れるだろ?」
「お願いします」
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