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    eto_nanka

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    eto_nanka

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     この学園都市には魔術研究部があった。注釈しておくと、“魔術部“という存在は、学園内に他にも沢山ある。魔術総部、魔術訓練部、魔術魔法研究部、魔術同好会など。星の数ほどある”魔術部“のうちの一つなのである。

     そんな魔術研究部部長は、こだわりが強い――性格がキツイことで有名だった。やれ「真面目にやってる? もうちょっと集中して打たないと。こんなものを俺は魔術とは認めない」と睨まれるだの、「ふざけんな! 材料の代替なんてダメに決まっているだろ!」と、材料採りの遠征をさせられるだの。なお、魔術の材料の代替は魔術師界隈の中でメジャーである。つまり、部長のこだわりが異常だった。

     そんな彼に辟易とした部員は、他の“魔術部”に流れていった。 
     どんどん部員の数は減ってゆき、魔術研究部は廃部寸前。そこで、魔術研究部顧問が勝手に、同じく問題児が部長を務める探偵部と合併させたのである。
     もちろん、魔術研究部部長はご立腹だったが、「仕方ない、廃部になるよりはマシだ」と彼は腹を括った。

     探偵部。部員が部長一人しかいない、謎の変な部活、なにをしているのかわからない部活というレッテルを学園内で貼られている。
     実際、間近で探偵部部長と共に行動することになった魔術研究部部長も、彼が何をしているのかわからなかった。

     ある日は、薬物実験で部室を爆破。次の日は、下手なバイオリンを数時間ずっと弾きまくる。また別の日は、手洗い用の石鹸を食して医務室に運ばれた。
     ……読者の皆様もお察しかと思われるが、探偵部部長もかなりの曲者だったのである。
     普段の彼は、フランクでラテンな性格の持ち主だった。
     目があった者には「Hi!」と手を振り、可愛い女の子がいればナンパに走る。
     気難しい魔術研究部部長のお小言も右から左へと受け流すのが上手で、聞いていないのがバレたときにはユーモアで誤魔化す。(探偵部部長のジョークに魔術研究部部長が笑ったことは一度もない。逆に怒りを煽る結果になってしまっている)

     そんな二人が放課後を過ごす探偵部と魔術研究部――――改め、魔術探偵部に、ある日依頼が舞い込んだ。この学園のアイドル部元センター・モニカが部室にやってきた。大人気で、笑顔を振りまいて舞台の上で輝いていたのに、突如としてアイドル部を退部したことで有名だった。

     ふてぶてしく、右足を左上の足の上に組んで彼女は言った。
    「いくらでもお金は払うから……頼みを聞いてもらえる?」

     そう、探偵部の真髄は事件解決だったのである。

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