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    StarlightSzk

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    StarlightSzk

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    晶蛍/ご機嫌斜めな蛍くんを見ている晶くん(2021.04.08)

    俺は、彼に口では勝てない。
    何を言おうがひらりと身を翻すかの如く鮮やかに反論を寄越す。すべては自分の意に沿う展開になるよう裏で手を回し、弁を重ねる。それを純粋に凄いと思っているのは本当のことだったけれど、ときどきそれが悪い方向に働くことも知っていた。
    「晶? 何もしないならこの部屋から出ていってほしいんだけど」
    本を読む横顔が明らかに苛ついている。俺がなにか言ったわけでもないのにこうなっているのは、どうしたってこの直前にいた場所が影響していた。
    剥き出しの欲望が渦巻くあの箱は、普段は穏やかな彼の口数をぐんと減らした。
    反論する気も起きないようなのだ。もう。
    だから神経だけを擦り減らしてこの寮に帰ってきて、寝るかと思えば読書をして精神の安寧をはかる。このパターンはもう読めていた。何を言っても彼は聞かないのだろう。

    口では勝てない。
    だからせめて、その横顔が穏やかなものになるまでは傍にいさせてくれないか。

    「……晶?」
    怪訝な顔がこちらを向いたところでさっそく傍にいるだけでは済まない行動に出てしまったけれど、触れた唇のかさつきからナイトティーという名案を思いついたので、それでよしとしてほしい。
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    StarlightSzk

    DONE【晶蛍】ほしあかりのワルツ
    22.3.10 9章配信2周年「#星空の下のふたり」
    「おやすみ」
    「おやすみなさい」
     瞼を閉じても、そこにもう闇はない。
     
     晶が『エトワール・キャッスル』などと呼んだ僕たちの拠点。そこには最低限の屋根しかない。故に三人が並んで寝転ぶと誰か一人はその恩恵に預かれない。雨が降った場合は別としても、星の輝きが降り注ぐなんて素敵じゃないかと晶が言ったために屋根が拡張されることはなかった。何よりあのとき僕たちは拠点を作り続けてくたくただった。だからこれ以上屋根が広がることもなかった。それだけの話だ。
     ともあれ、その屋根がない位置で寝る係が今日は僕だった。
     寝返りは最低限しか打てないが、方向を間違うと晶と鉢合わせる。晶は左にいるから右を向いて眠るんだと身体を硬くしていたものの、人間たるもの眠気とともに力が抜ける。そのうちに仰向けになり、そうしてついに左へと寝返りを打ってしまってから、ハッと気がついた。目を開ければあの主張がうるさい――見た目は整った顔が間近に広がってしまう。それはなんだか心臓が落ち着かなくなりそうで嫌だった。嫌でも数日前に言われたあれこれを思い出してしまうから。ああ、けれども彼だって寝返りを打っているかもしれない。その場合それは彼の愛しのマイ・エンジェルに向けられていることだろう。ノエルも大変なことだ。先程も「君を危険から守るために抱きしめて眠るよ!」なんて言い出して足蹴にされていたというのに。
    2023

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    StarlightSzk

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     晶が『エトワール・キャッスル』などと呼んだ僕たちの拠点。そこには最低限の屋根しかない。故に三人が並んで寝転ぶと誰か一人はその恩恵に預かれない。雨が降った場合は別としても、星の輝きが降り注ぐなんて素敵じゃないかと晶が言ったために屋根が拡張されることはなかった。何よりあのとき僕たちは拠点を作り続けてくたくただった。だからこれ以上屋根が広がることもなかった。それだけの話だ。
     ともあれ、その屋根がない位置で寝る係が今日は僕だった。
     寝返りは最低限しか打てないが、方向を間違うと晶と鉢合わせる。晶は左にいるから右を向いて眠るんだと身体を硬くしていたものの、人間たるもの眠気とともに力が抜ける。そのうちに仰向けになり、そうしてついに左へと寝返りを打ってしまってから、ハッと気がついた。目を開ければあの主張がうるさい――見た目は整った顔が間近に広がってしまう。それはなんだか心臓が落ち着かなくなりそうで嫌だった。嫌でも数日前に言われたあれこれを思い出してしまうから。ああ、けれども彼だって寝返りを打っているかもしれない。その場合それは彼の愛しのマイ・エンジェルに向けられていることだろう。ノエルも大変なことだ。先程も「君を危険から守るために抱きしめて眠るよ!」なんて言い出して足蹴にされていたというのに。
    2023