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    StarlightSzk

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    【晶蛍】ひかりの温度
    スターライト・アキラ1周年おめでとう(遅刻)

    ##晶蛍

    晶は自らのことをストレートに認めるのが得意だ。それがいいことだろうと悪いことだろうと、自己流の解釈によって昇華する。
    いつだって輝ける自信がある彼だから、自分が誰かを『照らす』などと言えるのだろう。
    僕には、とても出来ない。

    「それは、どうだろうね」
    試合で久方ぶりに発動した晶渾身のキラートリックを見た僕が浮かない顔をしていたのを、晶が見逃すはずがなかった。寮に帰ってからわざわざこちらの部屋にやってきてまで水を向けられる。
    彼を見習ってストレートにそう溢した僕の言葉は、誰でもない晶自身に掬い取られた。
    「どうって、晶がわかることじゃないでしょう」
    「いいやわかるさ。君はとても優しく包み込む光の持ち主だ。キラートリックと同じようなね」
    手を出して、と言われて手のひらを上にして出せばそこに躊躇いもなく手のひらを重ねられる。目で合図を出され、従った。
    癒しの光。
    怒れる者へ、悲しむ者へ、平穏への願いを。
    生きとし生けるものすべてが、らしく生きることが出来るよう。
    祈りのこもったそれは灯りがついた部屋の中でもわかるほどの輝きで、ふわりと無数に散らばって消えた。
    「うん、身体が温かくなった!ありがとう、蛍」
    「何を言ってるかよくわからないけれど、よかったね」
    「ああ。俺はこれからもこの光に寄り添ってもらいたいよ」
    「寄り添う?」
    光なら、照らすではないのか。
    照らすことのできない光に何の用があるのだろうとばかり、思っていたのに。
    「蛍。君はこれを僅かな光と思っているかもしれないが、先ほどの一瞬でも俺の美しい顔は見えただろう?」
    確かに君のアホ面は見えたよ、なんて言い返せないような真摯な音が耳を打つ。
    「俺はこの光に囲まれた君が好きなんだ。この光のために、君を照らすよ」
    オーディエンスの反応を見る限り確かに無用とは言い難かった。少なくとも晶ひとりには需要があるようだし。
    「それに! 君のそばで輝く俺もまた、美しいだろう?」
    くるくるくる、とターンの後に決められたポーズに思わず笑ってしまいながら、わかったよと告げた。

    自分をまるごと認めるのはなかなかに難しい。けれども彼が認めた部分くらいは――誰かへ向けて祈りを捧げる僕くらいは、自信を持った輝きができるように磨きをかけてもいいかな、と思った。
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    StarlightSzk

    DONE【晶蛍】ほしあかりのワルツ
    22.3.10 9章配信2周年「#星空の下のふたり」
    「おやすみ」
    「おやすみなさい」
     瞼を閉じても、そこにもう闇はない。
     
     晶が『エトワール・キャッスル』などと呼んだ僕たちの拠点。そこには最低限の屋根しかない。故に三人が並んで寝転ぶと誰か一人はその恩恵に預かれない。雨が降った場合は別としても、星の輝きが降り注ぐなんて素敵じゃないかと晶が言ったために屋根が拡張されることはなかった。何よりあのとき僕たちは拠点を作り続けてくたくただった。だからこれ以上屋根が広がることもなかった。それだけの話だ。
     ともあれ、その屋根がない位置で寝る係が今日は僕だった。
     寝返りは最低限しか打てないが、方向を間違うと晶と鉢合わせる。晶は左にいるから右を向いて眠るんだと身体を硬くしていたものの、人間たるもの眠気とともに力が抜ける。そのうちに仰向けになり、そうしてついに左へと寝返りを打ってしまってから、ハッと気がついた。目を開ければあの主張がうるさい――見た目は整った顔が間近に広がってしまう。それはなんだか心臓が落ち着かなくなりそうで嫌だった。嫌でも数日前に言われたあれこれを思い出してしまうから。ああ、けれども彼だって寝返りを打っているかもしれない。その場合それは彼の愛しのマイ・エンジェルに向けられていることだろう。ノエルも大変なことだ。先程も「君を危険から守るために抱きしめて眠るよ!」なんて言い出して足蹴にされていたというのに。
    2023

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    StarlightSzk

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     瞼を閉じても、そこにもう闇はない。
     
     晶が『エトワール・キャッスル』などと呼んだ僕たちの拠点。そこには最低限の屋根しかない。故に三人が並んで寝転ぶと誰か一人はその恩恵に預かれない。雨が降った場合は別としても、星の輝きが降り注ぐなんて素敵じゃないかと晶が言ったために屋根が拡張されることはなかった。何よりあのとき僕たちは拠点を作り続けてくたくただった。だからこれ以上屋根が広がることもなかった。それだけの話だ。
     ともあれ、その屋根がない位置で寝る係が今日は僕だった。
     寝返りは最低限しか打てないが、方向を間違うと晶と鉢合わせる。晶は左にいるから右を向いて眠るんだと身体を硬くしていたものの、人間たるもの眠気とともに力が抜ける。そのうちに仰向けになり、そうしてついに左へと寝返りを打ってしまってから、ハッと気がついた。目を開ければあの主張がうるさい――見た目は整った顔が間近に広がってしまう。それはなんだか心臓が落ち着かなくなりそうで嫌だった。嫌でも数日前に言われたあれこれを思い出してしまうから。ああ、けれども彼だって寝返りを打っているかもしれない。その場合それは彼の愛しのマイ・エンジェルに向けられていることだろう。ノエルも大変なことだ。先程も「君を危険から守るために抱きしめて眠るよ!」なんて言い出して足蹴にされていたというのに。
    2023