心の行方は「それで、相談しにここに来たってことっすね、僕たちで何か参考になるんすかね」
「私達は、お付き合いしているとはいえ、normal同士なので繊細な部分はわかりかねますよ」
カフェシナモンにて、巽と向かい合わせに座っているのは、同じユニットの礼瀬マヨイと交際相手の椎名ニキ。
「マヨちゃんっ、ちゃんと付き合ってるって思ってくれてたんっすね、なんか感激っす」
「ひぃー私ごときがそんな風に思うなんておこがましいですよねぇ」
「ぜんぜん悪くないっすよ、これからも仲よくしよーね」
「こちらこそお願いしますー」
なんだか、巽そっちのけでいちゃつき始めて困ってしまった。
「あの、絆を確認しあっているところ申し訳ありません、こちらのお話を聞いていただけると助かるのですが」
いつも以上に眉尻を下げて、ひかえめにかけられる声に二人ともハッとした。こほん、と咳ばらいを一つしてマヨイは語り始める。
「あ、ごめんなさい、えと、ESロビーでの騒動は存じ上げています。そこに至るいきさつも、失礼ながら様々な場所で聞かせていただきました」
「マヨちゃんいつのまに、僕も燐音君から少しは聞いてるっす」
「一つお伺いしたいのですが、巽さんはなぜ日和さんへの連絡を行わず、他の方のケアにはいられようとされたのですか」
「それは、日和さんがお忙しそうでしたので、つい遠慮してしまいました」
「これまで巴君とplayをするときに何か感じることはなかったっすか、いつもよりうまくいくとか、その反対とか」
「ふむ、確かに日和さんとplayを行うときにはいつもより気分が高揚するというか、いつもより癒されている実感はありました。」
これが、本心からの発言だったら少々、いやかなり巴君がかわいそうっす。
「これはあくまで私の予測ですけど、同じ気持ちを日和さんもお持ちだったと思います。なので、心から巽さんの連絡を待っていたのでしょう」
「そうなのですか」
まだ信じてないっすね。巴君も厄介な人を好きになっちゃったんっすね。
「そうとしか考えられないっすよ、なのに他の人のところに行っちゃったりなんかして、もし僕がマヨちゃんに同じことをされたら、絶対正気じゃいられないっす」
「椎名さん、そういうことはないので、ご安心くださいね」
「わかってるっすよ、例えばのお話っす」
ひとしきりニキに撫でられたあと、向き直ったマヨイの表情は真剣で、
「はい、では続きをお話しさせてください、まず日和さんときちんとお話をされて、お互いの気持ちを確認した方がよろしいかと思います」
「そして、同じ気持ちなら、付き合うもよしパートナーになるもよし、いい解決方法をさがすといいっすよ」
ほら、お迎えがきてくれたよ。