リフレイン・ワールド いつからだったか。俺は、人生を繰り返している。こんなことを他人に言えば、頭が可笑しいとしか思われないだろうが、事実なのだからどうしようもない。ある時は科学が規制されようとしている世で働くサラリーマンだったし、またある時は戦火の中で戦いに赴く兵士であった。ある程度の分別が付く年齢になると不思議とその事を思い出し、そしてそれまでの「失敗」が全て、現世に生きる俺の記憶の中にインプットされるのだ。転生と言うのだろうか。俺ともう一人の青年は、一人の男の願いを叶える為に繰り返し生を受ける。ひとつの夢を願い続けて何度も生まれ変わる男には、繰り返している記憶なんて、無い癖に。
そうして、俺たちはまたこの男の亡骸を目にすることになるのだ。
2006