暇な時間 お互いに何となく気に入って、隣にいる時の居心地が良くて、気が付けば、何の疑問も抱かずにここまできた。綺麗な男だとは思うけれど、女性的だと感じる箇所なんてただの一つとしてないのに。
「ンだよ」
何も言わずじっと見つめていたのが鬱陶しかったのか、赤褐色に反射する瞳にキリと睨まれる。
「いや、なにも?」
しらっと答え視線を逸らすと、じゃあ見んなと言わんばかりに更に鋭く睨まれた。
手元のスマートフォンに視線が戻され、寂しい気持ちになる。なんとなく構いたくて、晒されているうなじを指の背でなぞると、きゅっと肩を竦めて身を捩った。
「ん、おい、触んなって」
小動物か何かのような仕草に、思わず息が漏れる。
「リョータここに黒子あるの知ってる?」
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