迎え アルコール臭い人間に囲まれ、アルコール飲料を握らされ思わずため息が出る。好きでこの場にいるわけでもないし正直とっとと帰りたい。知り合いがこの場にいないわけではないが、その知り合いも人数合わせで呼ばれたのか、死んだ目で何も語らずひたすら萎びたレタスを貪っている。
「お酒、進んでないですね」
突然声をかけられ思わず驚く。
なるほど。料理の匂いがわからなくなるほどの香水にわざとらしく開いた胸元、下から覗き込んでくるでかい黒目は作られたものであるに違いない。
「全然そんな事ないピョン。少し風に当たってくるので楽しんで」
「えっ」
軽く頭を下げ、縋るような視線を無視し立ち上がる。わざとらしいとは思うがこれくらいハッキリしないとこう言う場に来るような人間は分からなかったりするのだ。この先会う事もどうせ無い人間に優しさを持つほど出来た男では無い。
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