drag dreamtale #1今日は肌寒い日だ。
ああ、今日も始まる。あの時間が。
暗い森の中に声が響く。
「今日も来てくれたね、ナイトメア君」
「あ……」
「あ?じゃねぇよ。『ありがとう』だろ?なァ?」
ギャハハハハハハハ!!
(どうしよう、どうしよう……..)
「なんか言えよ?」
「この、チビ!」
ドゴッ!
とても、とても、頬に重い拳を食らった。
最初は慣れすぎたのか、痛みは全く感じなかった。
すぐに、頬はズキズキ痛み出した。言葉にも出せない痛みに苦しむ。
「がはっ!ごほっ、げほっ……、はぁ、はぁ……..。」
「今日はこれで許してやるよ。また、明日会おうなーw」
ギャハハハハハハハ!
やっと終わった。やっと終わった。
辺りはもう夜で、ドリームも心配しているだろう。
棒のような足でふらふら帰路に着く。もう折れそうで、倒れそうだ。
「お兄ちゃん!なんでまたこんな夜に帰ってきたの?」
ドリームの声が聞こえてきた。やっとだ。ああ。
「ああ、ちょっと、森の中で迷ってしまって……」
「あと、頬にあざがあるよ!痛そう……どうしたの?」
「はは、うん、ちょっと、転んじゃったんだ……」
「もう!お兄ちゃんったらドジなんだから!早く消毒して、ガーゼ貼るよ!」
「うん、ありがとう、ドリーム……」
「ほら!お家に入ってよ!」
家の中はとても暖かい。家の中に入って一気に力が抜けた。
「ごはんできてるよ、ほら、食べて!」
「うん、ありがとう、いただきます…….」
冷えた体内に暖かいスープが染み渡る。やはりドリームの作るスープはいつも美味しい。
「ごちそうさま、美味しかったよ」
「うん!僕の作るご飯はいつでも美味しいからね!」
ドリームが自信満々に言う。
「ほら、お風呂入ってゆっくり寝てね!おやすみ!」
「ああ、おやすみ」
風呂に入り、ベッドに横たわる。今日はなぜかすぐに寝付けてしまった。
「ん………今何時…..?」
辺りは真っ暗だ。おそらく深夜だろう。
ああ、今日もだ。今日もまた、あいつらに暴力を振るわれるんだ。
死にたい。死にたい。もう無理だ。いつも暴力を振るわれるならいっそ死にたい。
俺の部屋にある、睡眠不足の俺に医者から渡された3ヶ月分の睡眠薬に手を伸ばした。
ああ、これで、終わる。この、くだらない、人生が。
100錠程の薬を出し、一気に口に押し込んだ。水で無理やりそれを流し込んだ。
薬を口にしてから1時間も経つと、一気に苦しくなった。
「うぅ、……う゛うう……いたい…….くるしい……」
ドリームは俺の異変に気づいたようだが、俺は、遅かったようだ。だんだん意識が途切れていく。
「おに…ちゃん?ど…..したの……..!……..!…….!」
さようなら。大嫌いな世界。さようなら。大嫌いな俺。