drag dreamtale#9やっと、二人だけになれた。
ずっと、ずっと願ってた。
けど、お兄ちゃんは期待とは違って怖がっていた。
でも、一緒になれた。そんな事、構わない。
愛してる。いつまでも、ずっと、ずっと。お兄ちゃんの事を。
「もう誰にも邪魔されないようにするからね。待ってて」
いずれこのタイムラインには俺とお兄ちゃん以外、出入りできなくなる。
守護者?という者も入れなくなる。
何が守護者だ。俺らの関係を断つ気だろう、絶対に。
そろそろ、ここは一番最初、無に戻る。
罪の意識も、薄れてゆく。
「お兄ちゃん。ずっとずっと、未来永劫、愛してるよ。」
お兄ちゃんの顔は、どんどんくしゃくしゃになっていった。
「どうかしたの?悲しい事でもあったの?あ、重かったよね。降りるよ」
ずっと乗っていたかったなと思いつつ、お兄ちゃんから降りた。
「!」
俺の後ろにはガスターブラスターが構えられていた。
お兄ちゃんのか。一体どうしたんだろう。
「死ね!」
はーあ。意味ないのにね。
俺は、薬を飲んで、鏡を見るようになってから、痛みも感じないし、ほぼ死なないようにもなってた。
どこかの世界線の俺が、そう言ってたからね。
ッドーーーーン!
そう思いながらも、ガスターブラスターの光を避けた。
「ねぇ、一体どうしたの?疲れてるよ。お兄ちゃん、もう何も居ないし、ゆっくり休もうよ。ね?」
「休めるか」
「え?」
「休めるかって言ってんだよ!お前は俺のドリームじゃない!」
そういう所も可愛いよね。お兄ちゃんって。
「けど、このタイムラインのドリームは俺しかいないよ?」
「他でもない、俺がお兄ちゃんのドリームだって言うのに。いや、このお兄ちゃん、ドラッグナイトメアが俺のものだって言うのに。」
「それに、俺はお兄ちゃんを今すぐに殺せる。けど、すぐに元に戻してあげるけどね。」
「試してみようか!そうしよう!」
グサッ
お兄ちゃんは、大量の小さな警告ウィンドウに包まれて、さっきの姿で戻ってきた。
「ヒッ………、え?俺はどうなっているんだ?」
戸惑ってる所もカワイイ。もう全部カワイイ。
「可愛い」
思わず声に出ちゃった。可愛いのは本当だし、まあいいか。
「……何が可愛いんだよ、………俺は、一体……どうなって………ヒッ………」
目に涙をいっぱい溜めたお兄ちゃんもとっても可愛い。
「愛してる」
⚠︎重大なエラーが発生しました⚠︎
大きな警告ウィンドウが出た後、
どんどん、暗い路地裏から、初期の真っ白い背景へ戻ってゆく。
やっと、無になる。
お兄ちゃんの方を向き、また馬乗りになった。
お兄ちゃんの顔を近くで見る。とっても可愛い。
泣いてる理由はよく分からないけど、可愛いからまあいっか。
お兄ちゃんの溢れた涙をぺろっと舐める。
ちょっと塩っぱい。
お兄ちゃんの一部だから全部美味しい。
「あいしてる」
お兄ちゃんから掠れた小さな声でやっと言われた。
ふふ。可愛い。全部全部、可愛い。
「俺も、ずっとずっとずっと、愛してる。」
もう誰にも邪魔させないし、誰も邪魔しない。
もう薬など必要ない。お兄ちゃんさえいれば。
誰、お前?ずっと見てたの?お前も俺らを邪魔するつもり?お前も殺す
⚠︎重大なエラーが発生しました⚠︎
もうこのファイルは開けません。
消す事もできません。
一生俺達を邪魔するな
THE END