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    すずき

    @LACT_450_

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    すずき

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    drag dreamtale#7

    drag dreamtale#7「明るくする必要など、ないのだろう?」
    黒いタコのようなナニカが俺に語りかけてきた。

    「えっ!?誰だお前!?」
     
    「俺はNightmareだ。お前とは最も近くて、最も遠い存在」

    「は?俺もNightmareだが?どういう事だ?」

    「いわば、お前とは違う世界線の俺だ。どうだ、分かるか?」

    分かるわけないだろうが。世界線?何じゃそら!

    「まあそう思うよな兄弟。俺はさっきのお前の強〜いネガティブな思考に引きつられてきたんだよ。」

    なんだよそれ。意味分からねえ…

    「ところでお前、俺と契約をしねぇか?」

    「は?するわけないだろ。こんな、バッと現れてきて、信用もクソもない奴。」
    俺はNightmareと名乗る奴をギロッと睨みつけた。

    「お前、その溶けた身体だと動くのも戦うのも少し不自由だろう?なら新しく肉体を作れば、強くなれるぞ?どうだ、契約するか?」

    胡散臭ぇ………アホ胡散臭い。コイツを信じる訳には行かない。

    「まあ、俺と契約しなくてもいい。が、コレは渡しておく。お前が使いたい時に使えば良いよ。じゃあな。」

    そう言い、Nightmareと名乗る奴はドス黒い林檎を置き去り、消えてしまった。
    こんな黒い林檎を俺に食べさせようとしてたのか……やっぱり信用ならん。
    だが、どういう事か俺は林檎を奪った袋の中に入れた。
    必要な時も、あるのかもしれないと信じていたのかもしれない。馬鹿みたいだとは自分でも思うけど、やっぱり俺はこの林檎を手放そうとはしなかった。

    「…はは。」

    先程買ったタバコにライターで火をつけ、タバコをゆっくり吸った。
    このタバコ、匂いはドギツいがそれが好きなんだよな。それも好きになれる。

    好き………か。

    ドリームの事は嫌いなんて言えない

    好きとも言えたもんじゃない

    俺が俺でいるのがとても申し訳ない

    なぜだろう

    どうしても好きなのに

    この気持ちは、捨てるべきなのか

    取っておくべきなのか

    今の俺には、そんな事を判断できる頭ではない

    このまま二人で幸せになる訳には、行かない

    その前に…………………

    この世界をほぼ全て、無くしてしまおうか

    そうしたらずっと一緒にいられるかな?

    「そんな妄想はしない、もっと俺なんかより幸せになれるヤツがいるだろうが」

    そもそも、俺たちは一緒にいられる運命じゃないんだ。

    離れ離れで、対立する運命。

    「ドリームに、会いたい、ッゔ、」

    俺の眼から涙が溢れる。
    声にならない泣き方で、俺は一人、暗い暗い路地裏で泣いた。

    ドリームなんて大嫌いだ。

    ドリームはとても大好きな兄弟だ。

    その気持ちが俺の中で対立して、胸が苦しい。

    「こんなに俺を悩ますドリームなんて、消えて仕舞えば良いのにな、は、はは、………ッ、」

    幸せになるにはどうすればいいだろうか。

    この世界の住人どもを虐殺したらドリームとしあわせになれるかな?、

    そんな事、意志が弱い俺には出来ない。

    こんな気持ちにさせた自分なんて大嫌いだ。



    こんな気持ちにさせたドリームなんて大嫌いだ。

    もう一人の俺には感謝しかない。
    こんなに自分と向き合う時間をくれた。

    もう一人の俺から貰った林檎を用水路のドブに捨て、俺はまた、ドリームを探しに暗い裏路地の奥の闇に入って行った。




















    *ケツイ
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     こじんまりと、静かな宴が行われていた。

     雲夢は国の中央に属する。辛・酸・甘、麻辣、清淡など、各地の味覚や製法を取り入れた独特の食文化が自慢だ。新鮮な山河の素材に薬膳効果のある山菜を加え、最大限のもてなしに厨房は大わらわ、春節のような賑わいだった。

     だがしかし。

    「……」
    「……」
    「……」

     春のすがすがしい夜風が流れる大広間では、少しも晴れやかでない男達が三人、円卓に向かって座していた。

     江宗主・江晩吟。
     この宴を用意させた本人だが、少しも客をもてなす様子がない。もてなすどころか、苦虫を嚙み潰したような表情で、無言のまま卓を睨んでいる。恐ろしくも美しかった紫蜘蛛・虞夫人を彷彿とさせるような形相だ。宗主の低気圧に慣れた家僕たちも身をすくめ、(なにか不備があったのでは)と互いの顔を見合わせている。
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