drag dreamtale#6(仮)お兄ちゃんに知らないうちに嫌われていたらどうしよう
「、ッ!」
そんな気持ちが募って吐いてしまった。
大丈夫。大丈夫だよ。俺たちは兄弟だもん。俺は神だ。みんなに好かれているはずなんだ。
そう自分に言い聞かせる。
けど、不安で不安で堪らない。早くお兄ちゃんに会いたい。
少しふらつきながらも堂々と胸を張って歩いていた。
なんだかもう全部全部疲れたかもしれない。
仮初の俺でいるのも。
正気を保つのも。
今俺の頼りになるものは薬とタバコしかない。はやくお兄ちゃんに会いたい。
正気を失いつつ、少し休憩しようかと思い、裏路地に向かって歩いた。
「はぁ……….ッ!」
少し吐いてしまった。今回は血が混じっている。
まあ俺は神だから死なないか。
この苦しみもいつか終わるよ。
遠目に、吐いてる奴がいた。
俺よりも背が高く、コンプレックスを刺激するなとイライラしながらも良心の呵責があり見に行った。
「大丈夫か」
どこか見覚えのある顔。覚えているのとは少し、違う気がするが。
頭にあの輪っか………もしや、
「ドリーム!?」「おにいちゃん!?」
これは奇跡か?
いや、奇跡な訳あるか。寧ろ不運だ。最悪だ。
これは奇跡だよね?かみさまが俺たちを会わせてくれたんだよね?
そんな気がして、話しかけようとした。
「ずっとしん——————えっ?」
何事も無かったように、避けられた。おにいちゃんから。
おかしいよね?人違いだったかな?
もしかして、嫌われてた?俺は気づいてなかっただけだったの?
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう
急いでおにいちゃんを追った。
「どうして???おにいちゃんだよね???なんで無視するの???」
ドリームが俺を好きなんて、ありえないよ。
むしろ、嫌いになって欲しい。
「お前は、神なんだろう?最高に誰よりも輝くモンスターで、俺は言わば引き立ての存在なんだ。お前は俺なんて大嫌いになっちまって、最高の存在になれば良いんだよ。」
え???俺がおにいちゃんのことを嫌いになる???
そんなの、無理
ずっとずっと愛してる。
相思相愛だと思っていたのに。
こんな気持ちなんて、捨ててしまおう。
俺は輝く存在。ナイトメアなんて、大………
「嫌いにならなくて良いじゃないか。むしろ、お前の大好きな大好きなナイトメアお兄ちゃん、いやそれだとややこしいな。Drag Nightmare と同じ存在になってしまえばいいじゃないか」
誰だろう。おにいちゃんに似ている。けど、違う。
「ああ、申し遅れたな。俺は、ナイトメアだ。お前の言うナイトメアとは違う。言わば、『ナイトメアのオリジナル』かな。ああ、俺にも『オリジナル』がいるもんで、少々ややこしいが。」
おにいちゃんじゃない。けど、おにいちゃんだ。
『オリジナル』って何?俺は何?
「そこを考え出すとややこしいな。じゃあとりあえず、『俺たちのオリジナル』を見に行こうじゃあないか。」
言ってる意味は全く分からないけど、なぜかこの「ナイトメア」は信じて良いと思った。理由はわからない。
「さあ、行こうか。」
「ナイトメア」の触手になぜか巻かれ、俺は何処かに連れて行かれた。
辺り一面を見るとここは草原で、ニンゲンとモンスター達が「幸せそうに」ピクニックをしていた。
どうしておにいちゃんと俺は幸せになれない。
「そうそう、そういう気持ちだよ。じゃあ俺と契約しよう。ドラメアお兄ちゃんと仲良く暮らせるぞ。」
「ああ、それなら…………。」
サラサラとDrag Dreamはサインをする。
兄弟と全く一緒の文字で少し腹立たしい。
だが、うまく騙せた。
(まんまと引っかかったな。所詮は皆こういうもんなのか)
「じゃあ、契約の印にこの林檎を食べてくれないか?お前の世界の林檎だ。」
ドス黒い色をしていたので、少し不安になったが意を決して食べた。
味は最悪。食べた事の無いような、例えてみれば、ドブのような味がした。
しかし、力がどんどん漲っていった。
次第に、俺の体も黒いドロドロで包まれた。
ようやく、おにいちゃんと一緒の存在になれる。
「よし、お前の大好きな大好きなお兄ちゃんに会いに行ってみればどうだ?喜ぶかもしれないぞ」
言われなくてもわかってる。
走った。走った。おにいちゃんの所まで。
「おにいちゃん!おにいちゃん!俺、おにいちゃんと一緒になれたよ!これで一緒に居れるね!」
「ひっ………俺に近づくな!もう俺に付き纏うな!何回でも言う。俺はお前が嫌いだ!」
おにいちゃんはなぜか怯えている。
え?、え?、え???
俺、おにいちゃんとおんなじなのに、なんで拒まれたの???
もう全部全部わかんないよ
もう死ぬしかない!
刃物を腹に突き立てた。
「さようなら」
あれ?生きてる
「お前、神だろ?お前は半永久的に死ねない。思い込みの力は想像以上に強力だったようだな、残念だったな!実に愚かだな!ハハハハハハ!」
もう無理
もう俺は俺じゃいられない。
さんかい。さんかいめ。
俺は後残った「にじいろおくすり」を掌に全て出し、一気に飲み込んだ。
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!
永遠にさようなら!俺の人格!俺の正気!
すべてさようなら!!!!!!!!!!!
なにもかも、ぜんぶぜんぶぜーんぶおれのまえからきえてしまえばいいんだ!!!!!!!!!!!!!
⚠︎重大な精神的エラーが発生しました⚠︎
もう復活する事は永遠にありません。
エラーコード : 3you7r0maerzn24n
No Signal
全てが消えてしまったので、
もう何かを生み出すことはできない。
リセットしますか?
*はい
*いいえ