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    tokinoura488

    @tokinoura488

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    こちらではゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのリンク×ゼルダ(リンゼル)小説を書いております。
    便宜上裏垢を使用しているので表はこちらです。→https://twitter.com/kukukuroroooo

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    【政略婚リンゼル】あらすじのみで進めています!

    姫様は力に目覚めず厄災は次世代との予言がなされ、勇者として選ばれたばかりのリンクとハイラル王の指示で婚姻を成す。リンクが一度主従であることを理由に断ったことから姫様はこれはリンクの意思ではない政略結婚なのだと思う。彼の激重感情も知らずに

    ##リンゼル
    ##政略婚リンゼル
    ##ブレワイ

    政略婚リンゼル・まとめ《51~67》リンク視点後半 名ばかりの夫婦は婚前と同じ主従の距離で過ごした。巷では噂が立つ。姫の気位が高い故に子ができぬのだろう、いや婿騎士が手を出さぬそうだ。ならばやはり姫に魅力がないのでは――とリンクの耳にばかり入るのは取り入りたい者多々いる為だ。姫には早くお子をとの声ばかりが届く。
     自分はいい。なんと言われようと。だが姫はダメだ。
     いつ耳に入るか知れぬ危機感にリンクの苦渋を飲む日々は続いた。

     転機は遠方より与えられた。研究所所員プルアを訪ねる調香の旅に出よとのお達し。明け透けな狙いに姫の機嫌は終始悪かった。
     プルアから手渡されたのは子宝の香。やはりとリンクは奥歯を噛む。こんなものを使ってまで意に染まぬ関係を結べというのか。ハテノ村は己の故郷。自生の薬草など熟知している。香の成分は分からずとも効果を打ち消す方法などいくらでもある。姫の言葉に従い小さな部屋に入った。
     焚き込められた香。薄衣の姫と寝台の上で膝をつき合わせた。
    「良いのですか」と問えば「父の命」との答え。生真面目な方だ。まっすぐな方だ。嘘の報告はできないだろう。
     ならばとリンクは己の手首を舐めた。朽葉色の汁で描いた一文字。消えるほど舐めれば舌先には苦みが走り次に口内全体が痺れる。男が近づく恐ろしさに身を縮めている姫が目を閉じている間になんとかそれをやり過ごす。目の奥が舐めた薬汁の効用で痛む。姫に近づく布ずれの音に混じり、手首を丹念に拭った。万が一にでも姫が口にしてはならない。
     姫はこれから始まる密事をやり遂げなければならないとの強い意志がある。己の所業を知れば……知れば。リンクは頭を震った。
    「触れても」
     ビクリと怯えて跳ねる白い肌。毒を食らったのに目の前の美しき肢体の方がよほど目の毒だ。子宝の香とはよくいう。これはただの催淫剤。嗅げば自分の意志と信じて異性を求めるもの。
     押し込められた小さな寝台しかない部屋にはまだ未通の夫婦。せめて自分だけは自我を失ってはならない。それでも恥じ入る翡翠の瞳に手は自然と伸びていた。婚姻の式より初めて触れる妻の白い頬。滑らかな感触が指腹を甘く走る。一瞬蕩けそうになる意識を口の苦みがつなぎ止めた。
     顎先に触れた途端、口づけを拒絶され素直に従う。
     姫の拒絶は当然だろう。本来自分の方から断るつもりだったのだ。後悔はない。けれど邪な心を見透かされたわけではないのに罪悪感が胃を重くした。
     触れあいを再開すると甘い吐息を漏らすまいと姫は唇をきつく噛んだ。見ていられずリンクは指を折り差し出した。小さな歯の先端が皮膚を割る。出血したらすぐに止めるつもりだったが姫はギリギリの力で噛みしめた。それがなぜか悔しかった。罰の如く思い切り噛んでくれたらもっと心は楽だったのか。
     次第に強ばる白肌。
     子宝の香でも揺るがすことのできぬ拒絶感が姫にある証のようで、理解済みだったはずの心を暗く澱ませた。肌合わせより進まず帰城した。
     歓喜の報告がすでに届いた城内に未だ契れぬ夫婦の逃れる場所はなかった。
     早くと急く周囲。まだ望みを捨てぬ野望の者どもが自分本位の策を講じてくる日々。夜と昼とも言わず夫婦の部屋にふたりきり。
     ハテノより持ち帰った薬草の効果は長くない。リンク自身が逃せぬ熱を帯びれば帯びるほどに、効果が切れた後の揺り返しは極悪だった。閨事の後にはかならず一人になれる場所へ赴くより他術はなかった。城下に備品置き場と称し借りた小さな一軒家。そこだけがリンクがリンクたれる場所となって行った。
     姫と調査に出ている間も穏やかさに見え隠れするぎこちなさ。常に誰かに監視されているようで仲睦まじい夫婦を演じた。距離感を違えば不穏な噂が立つ。リンクは体温をギリギリ感じられるが決して触れない位置を心がけた。
     二人きりの山小屋。粗末な小屋の周囲は危険な地形と魔物の巣。珍しく城からの影もなかった。後に姫の意向があったのだと知る。
     夕餉の支度に声が掛かった。
    「成すまでは退出は認めません」そう真正面から告げられればリンクに断ることはできない。夫婦となっても心は主従のままだからだけではない。姫を拒絶することをもうしたくなかったからだ。
     未だ姫は信じている夫に別の想い人有りと。傍を離れたくないと望みながら同時にうち捨てて欲しいと願う。
     何が騎士だ。
     矛盾だらけの勇者になれなかった男というだけの存在。血脈ならば正統であるべきは姫のみ。祖父も曾祖父も勇者ではなかった。王家と共に受け継がれていないだろう近衛の血統である必要はないのだ。
     自分に何度そう言い聞かせたか知れない。苦しんでいるのは自分ではない姫だ。けれど姫の前を自ら去る決断はできていない。こうして逃れられぬ状況になることは分かっていたのに。
     簡素な寝台で背を向けて服を脱ぐ。次の声を待っていると目元に白い布が掛かった。目を隠すつもりと知って甘んじて受ける。
     逃れる術がなくともこれならばと思った時、白い闇の向こうで姫が「好きな方を思い浮かべて」と告げた。
     目の前にいる――胸の内に浮かんだ言葉に首を振る。
     姫の行動は予想外でいつも隠し持っている薬草もないまま目を封じられた。寝台から降りることはできない。リンクの喉が鳴った。
     今宵だけは自身の力で耐えなければならない。あれは感覚を鈍らせる効果を持ち、聞き耳を立てられているだろう城で触れあいにも耐えられたのに。
     できるだろうか。
     いや、耐えなければ。
     姫がどこまで知識を持たれているかは分からないが、鬼気迫る瞳を見れば破瓜を避けられないことは明白。
     目を隠したことで姫の声音はどこか柔らかく、そして寂しげだった。互いに導き合えば見えずとも姫が耐えているのが分かる。いつものように差し出した指を拒絶され、リンクの中の何かが切れた。
     気遣うことも耐えることもできずにただ夢中になった。白い闇の向こうで愛しいひとが甘く啼いている。ただそれだけでリンクの奥に根ざした思想を剥ぎ取るのに充分だった。
     どちらともなく眠りに落ちリンクは初めて姫の隣で朝を迎えた。
     姫にとって「子を成す」それだけが目的の行為。体を繋ぐことを重ねる度に、気持ちはすれ違っていく。心地よさに時間を忘れ目的を忘れる姫がますます愛らしくリンクの心を占めていく。その分自分のしている裏切りに一人になると吐いた。
     なぜ止められないのだ。
     もうここは急を要したあの小屋ではない。手元に感度を鈍らせる薬草も機能を一時的に失わせる薬丸もあるというのに。
     振り払えないことを姫のせいにして真に欲しがっているのは自分なのではないか。姫にはもっと相応しい方がいる。望まれてもいない男が善美な花蕾を啄んで弄んでいいはずがない。子を成すつもりなどないとはっきり言えばいい。それで終わる。それだけで姫は真実の相手に巡り会われるはずなのに――できない。できなかった。
     できぬままに闇雲に甘く寂しい夜を重ねていく。
     王国の政(まつりごと)はリンクの心を呵んだ。矛盾だらけの自分に嘔吐しながら同時に己が熱に乱れる妻に魅了される。いずれ決断は下されるだろう。子はできぬのだから。
     姫の奥で達したのはただ一度あの遠征先の宵闇のなかで触れた初めての夜だけだった。

     公務中、火急の用と寝室に呼び戻されたのはリンクの精神がギリギリの崖端を渡っている最中のことだった。
     人払いをした姫は扉に錠前を掛けた。その鍵を一輪差しの花瓶へと投げ込む。青い視線の中、姫を包んでいた夜着が床に落ちた。
     眼前にさらけ出された何も纏わぬ美しい裸体に思わず目を伏せた。
     見てはならない。
     その態度が姫の感情に火を付け「気付かないと思っているのですか」と叫ばせた。深呼吸の後努めて冷静な声色で知り得た情報を伝える姫のつま先が怒りに震えている。
     こんなにも長く心痛を与えるつもりなどなかった。すべては騎士としての規範を貫き通せなかった自分のせいなのだ。婚姻をとお声掛けを頂いた時に固辞すべきだった。すべては今ここに結審する。いよいよ断罪の時が来たのだ。
     けれど姫の口から発せられたのは房事を指示する強い言葉だった。
     ここまでの裏切りを受けてなお、なぜこの方は自分を見限ろうされないのか。
     王家としての体裁か、意固地となっての自暴自棄か。その両方か――そんな方じゃない。
     それはずっと見つめ傍で仕えてきた騎士だからこそ分かる。誓ったのは父に手を引かれた幼き日。王妃の葬儀で強く唇を噛みしめて立つ横顔を見た時から知っている。高潔で純粋なハイラルの青碧の宝珠。
     そして触れ合ってより深くこの方を知った。胸の内に秘めた寂しさと苦しみ。それに惹かれぬ日はなかった。愛しいと思わぬ瞬間はなかった。こんな名ばかりの勇者の想いなど姫巫女は知らなくていい。
     けれど姫は自分を抱けと命令の声を発した。リンクのなかに苛立ちが生まれた。
     なぜ分からない。
     これ以上は無理なのだ。
     だからこそ傷の浅いうちに身を引くと決めた。愛しいと叫ぶ魂をエゴで覆い隠してきたというのか。ならば存分に知るといい。リンクは心のなかで唸る。
     どれほどにご自分が魅惑的であるかを、魅了された者は遠ざかる他に強く激しい欲求から逃れる術がないことを。
     姫は鍵を掛けた。
     逃し逃れる唯一の機会を自らの手で閉ざしたのだと。
    「ゼルダ様」
     リンクは初めて姫を妻を真名で呼んだ。目が鋭く尖っていくのを自覚しながらも止められない。消そうとした火に油を注いだのは紛れもない貴女なのだからと。なぜご自分を大切になさらないのか、怒りはリンクから冷静さと正しさを奪っていく。
    「その言葉後悔されませぬよう」
     怯えるように口元に伸びた手首を捕らえた。
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