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    うぐいす

    @OzDfUaIMhwrnARh
    うぐいすです。カミュ主垢。主カミュリバも◎

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    うぐいす

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    カミュ主でRTされた分だけ主くんがカミュに好きと言います、でRT反応頂きありがとうございます!
    チェリーで残念な感じのカミュさんがいたりしても大丈夫な方向け。

    主くんがカミュに好きっていうやつ「カミュ……出口あった?」
    「見当たらねぇな」
     オレは軽く頭を振りながら答えた。魔物との交戦中、魔力を帯びた波動がイレブンに向かったから反射的に庇って、結局二人して訳のわからない異空間ともいうべき場所に閉じ込められてしまった。扉もなければ窓もない、材質不明の壁は建材の継ぎ目すらもない殺風景な部屋だ。いつまでもこんなところにいるわけにはいかない。出口の手がかりが何か無いかと部屋を探るけれど、今のところ成果は芳しくなかった。探索していたそのおり、部屋に変化が現れたようだった。
    「ねぇカミュ、見て。何か文字が」
    「お、何かヒントか!?」
     言われてイレブンの指差す方向を見やると、確かに文字が浮かんでいる。文字通り宙に浮かびあがったそれをイレブンが読み上げていく。
    「ここは、受けが攻めに好きと言わないと出られない部屋です?」
    「ぶっ」
     オレはそれを聞いて恥も遠慮もなく思いっきり吹き出した。
    「ねぇ、受けとか攻めってなんだろね。カミュなにかわかる?」
    「……、ま、まぁ。わかるっちゃ、わかる」
     オレは頭を抱えた。それはもうあらゆる意味で、だ。まず、受け攻め以前に、オレたちはお付き合いすらしていない。当然告白すらまだだ。オレはイレブンへの恋慕の情は出会ってまもなくから持っていたが、それはおいおいと思っていたのだ。
    「それで、受けと攻めって何?教えてくれる?」
     だーよーなー!?
     オレは再び頭を抱えた。
     話の流れ的に聞かれると思ったが、説明するとなると時期尚早にすぎる。それはできれば、自然に任せていきたい。というかまずはお付き合いから始めたい。臆病とかいうなかれ、それが礼儀というものだろう。オレは元盗賊と言う肩書きを持ち合わせながら、割と貞操観念は固いのだ。
     というか付き合ってもないのに受けも攻めもなくないか?こんな部屋に閉じ込めておいてそれって一体誰が判断するというのか。
    「受けと攻めってのは、まぁ、それはおいおい……だな。ともかくだ、このふざけた部屋から出るには、オレからか、お前からか、どちらかから、その、好きっていえば良いらしい。他に方法が見当たらねぇ以上やってみる価値はあると思う」
     とりあえず誤魔化した。嘘は言っちゃいないんだから許されたいところだ。オレのふんわりとした説明に首を傾げながらもイレブンはうん、わかった、ととりあえず納得してくれたようだった。
    (にしても、受け、攻め、ねぇ)
     お付き合いもしていない身の上だが、もし将来的にイレブンとそういう関係になれた後のことを考えなかったわけじゃない。色々すっ飛ばしている自覚はあるが、心の中ではとっくにオレが攻めで固定されている。もし、仮に。どこにいやがるかわからねぇがこの部屋の主?なるものがオレが受けだと判定したら、オレが好きだと言ったところで部屋が開かないということなのだろうか。
     そう考えるとまだ付き合ってもいないのになんだかドキドキしてきた。このふざけた部屋は正直勘弁行ってしてもらいたいし、謎の相手に受け攻め判定をされる意味もわからない。
     でも、ちょっと。どう判定されるのかほんの、ほんのちょっぴり、興味があった。だから、未だ話についていけていない様子のイレブンに向き合って、すぅっと深呼吸して。こんな形で伝える羽目になるとは思わなかった言葉をいう決心をする。いや、言うならもっとちゃんとした形にしたいから、ここは断りを入れておこう。
    「いいか、イレブン。今から試しにオレから言うが、あくまで部屋から出るためだからな」
     そう言っておいた方がイレブンも言いやすいだろうと思ったのもある。イレブンを見ると、わかった、とこくりと首肯していた。
     それを見て、自然と伸びた背筋で、胸に宿った気持ちをそのまま音にのせた。
    「イレブン……好き、だ」
     言ってから部屋に何か異変が無いかとパッと見回した。もしこれで動くようなら少なくともオレは、この部屋の主から受け判定とみなされたということ。知らず喉がゴクリと動いた。
     5秒経ち、10秒経ってもシンと部屋は静寂を保ったまま。
    「っし」
     オレは知らず知らずのうちにガッツポーズを取っていた。少し緊張していたのかもしれない。たかがふざけた部屋。されどふざけた部屋。それでも、ここでの判定はオレに大きな希望をもたらしたようなそんな気がした。
    「え、えっと。開かなかった、ね」
    「っ、そ、そうだな。失敗したみてぇだ」
     残念そうなイレブンの声が聞こえてきて、うっかり喜んでしまったことをそれとなく隠した。
     そうだ、出るために必要だから言ったんだった。オレとしたことがあやうく当初の目的を忘れるところだった。
     心なしか少し顔が赤いように見えたイレブンに向かって、次はお前がオレに言ってみてくれよ、と声をかけた。すると、イレブンは、うんわかった、と先程のオレと同じようにオレの方を真っ直ぐにみて、すぅっと深呼吸してよし、と覚悟を決めたような面持ちだ。
    「カミュ……すき」(※1回目)
    「おぶっ」
    「えっ、カミュ、大丈夫?」
    「おっ、おう任せておけよ」
     一体何を任せるのだとオレは自分自身にツッコミを入れた。いけないいけない、どうやらあまりの破壊力に自分を見失いそうになってしまっていたらしい。好きな人からもらう好きの一言がこんな殺傷力を秘めていただなんて思いもしなくてひどく焦ってしまった。
     ピコン
     その時なんだか間抜けで無機質な音が部屋に響いた。
     部屋になんか変化があったのかもしれない。よかった、きっと出口に違いない。こんな部屋に閉じ込められて好いてる相手から好きとか言われて理性が飛ぶかと思った。だって、オレは全てにおいて未経験なのだ。恋愛童貞でもあるオレにはこれ以上の刺激は強すぎる。あとこの部屋はクソッタレだが、イレブンを受けだと認定したその一点だけは褒めてやらないこともない。

    「カミュ、また何か文字が……」
    「なになに……?」
     オレはまた宙に浮かんだその文字列を追っていってまたぶっと行儀も悪く吹き出した。イレブンはそんなオレの様子を気にすることなく読み上げる。
    「えっと。扉を開けたければ、受けは攻めにあと15回好きということ、だって」
    「ぐはっ」
     オレは思わず血反吐を吐いた。いや、実際に吐いてわけではないがそこはニュアンスというか気持ち的な問題だ。一回でこの破壊力だと言うのにあと15回。オレの精神がとても持つ気がしなくて思わず項垂れてしまう。
    「えっと、多分これが今出たってことは、これボクから言えばいいのかな?でも、カミュ辛そう……ボクからいわれるの、いや?」
    (何言ってんだ嫌なわけねぇだろ好きなんだから!!!)
     しかしその言葉はまだ口から出るには時期が早いのではという葛藤が勝ってしまって言えなかった。
    「いや、わりぃ。これで出れるって思っちまったからまた追加で出てきて戸惑っただけだ」
    「そっか、それなら良かった」
     なら遠慮なく言うね、とどこか照れたような顔しているイレブンに、断る理由なんていうものを持ち合わせていないオレはもう腹を括らざるを得なかった。よし、こいと決意を胸にイレブンにこくりと頷いてやる。

    「すき」(※2回目)
     ぐっ、
    「スキ」(※3回目)
     うっ、
    「すきだ」(※4回目)
     うぅ、
    「えっと……好き、だよ」(※5回目)
     ぐわっ、
     
     頼むからあらゆるバリエーションを駆使しながら言うのをやめてほしい。直球で言われるのもこたえるし、ちょっとカタコトになったのも可愛いし若干照れながら言われるともうたまらなかった。言われるたびに何か心の何か大事なところが満たされ乱されていく。
     最初はなんでもない風を装って聞いていた(はずだ)けれど、言葉が重なるにつれてオレの心臓がハンパなく波打っているのが分かる。顔やら耳までもこころなしか熱い。

    「カミュ、好き」(※6回目)
     名前入りなんて聞いてない。
    「ねぇ、すきだってば」(※7回目)
     そんな可愛い言い方どこで覚えてきた。
    「好き、好き、大好き、だ、」(※8、9、10回目)
     連続なんてオレの心臓が潰れちまう!
     
     許容量なんてとっくに超えた好きの言葉の嵐にオレはもうはくはくと息が上がる一方だった。最初はちょっと照れていた様子のイレブンは気がつけば、顔を真っ赤にしてでもしっかりとオレを見据えていた。どこか緊張したような、真剣な眼差しで。
    「こんなこと言われても困ると思ったんだけど……地下牢で出会った時からずっと君のことが、好きで」(※11回目)
    「……えっ?」
     今までの出るためだけに言っていたはずの言葉より、ずっと具体的で、言葉に重みが、温度が宿った気がしてオレは思わず戸惑った。
    「村が焼けた時、何も言わずに抱きとめてくれた。カミュのそんな優しいところが、好き」(※12回目)
    「えっ、ちょっ、」
    「そばにいる時に誰よりも安心できるところが好き」(※13回目)
    「……っ、」
    「青空みたいな、綺麗な髪の色も目の色も好き」(※14回目)
    「〜〜っ」
     そこまで言ってからイレブンは、少し滲んだ虹彩で、とんでもなく綺麗な色した深い青を宿した瞳でオレを見た。

    「、言うつもりなかったんだけどな。あのね。カミュ。ボクは、キミのことが、ずっと、好き」(※15回目)
    「………!」

     ピコン、と間抜けな音が、どこか遠くから聞こえた気がした。お題をクリアしたことにより外への扉が開放されたのかもしれなかった。
    「あ、もう出れるみたいだね!?じゃ、行こっか」
    「、待て!」
     オレはそのまま離れようとしたイレブンの腕をなんとか捕まえて、どこにいるかもわからない主に向けて言葉を発した。これを逃したらもう二度とチャンスがないような気もして躊躇もなにもなかった。逃げそこねたイレブンは、顔を真っ赤にしてイヤイヤするように顔を振っている。

    「おい、聞いてやがるか!今からこの部屋を、「攻めが受けを20回好きだって言わないと出られない部屋」にしろ。分かったな!?」
     どこからともなく了承の音か、ピコン、と電子音が聞こえた。
     えっ、ちょっ、何を言っているんだと目を白黒させているイレブンをしっかりと肩から抱え込んで、そのままぎゅっと抱きしめた。心臓がドキドキと聞こえるのは、オレのものか、イレブンのものかなんてもう溶け合ってわからない。
    「今から、オレのターンだ。……聞いてくれるか」
     そういうと、イレブンはしばらくもぞもぞと戸惑ったように動いてから、やおらこくり、と小さく頷いた。
    「イレブン、オレな、」
     そこからありったけの気持ちを込めて、イレブンの耳元に口元を寄せて、ストレートに愛の言葉を吹き込んだ。
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