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結局不快感の方が増している。
部屋に備え付けられたユニットバスは狭く、酷く蒸し暑くて、清めたはずの身体からは再び汗が吹き出していた。雑務など後回しにして、やはり皆と一緒に大浴場へ行けば良かったと小さく後悔の溜息を吐く。
一刻も早くこの湿度から逃れたい一心でシャツも着ずに下着一枚で風呂場を出るが、クーラーのよく効いた部屋に降り立ってすぐ、オレの足は仁王立ちのままで止まった。
オレのベッドで藤真が寝ている。
正しくは、寝そべっていた。
「…オイ、何をしている」
少しの動揺を隠しながらその形の良い尻に話しかけると、藤真はちらりと目線だけで此方を振り返り、それから綺麗な顔を無愛想に歪める。服くらい着ろよと言いたいのだろう。だが文句なら現状を改めてから言って欲しいものだ。
そしてその唇を開かぬまま気怠そうにスッと白い指を浮かせて、本来自分が横たわるべきベッドの方を示した。
Innocence
夏と秋の狭間を行き来する月の、祝日を含んだ三連休。秋の国体へ向けて集められた選手は補欠を含めて十五名。高頭監督率いる神奈川県代表は前代未聞の四校から選出された混合チームとなり、歴代最強とも云われる面子が揃った。
合宿練習は昨年末に新築されたばかりの海南大学の施設を借りて執り行われ、一同はその真新しい体育館と合宿所を目の当たりにしてまずどよめいた。
あらゆる競技のイベント利用等を目的として作られた為、全施設冷暖房の完備は勿論の事、ロッカールームの広さはスタジアム級。トレーニング・リカバリールームにも最新の機材が備え付けられ、更にはリラクゼーションルームなるものまで設けられている。宿泊エリアには洋室と和室、大浴場は勿論のこと各個室に風呂も完備されている手厚さ。
浮かれる面々も含め、皆一様に気が引き締まったように見えた。
気温、湿度共に適度な合宿日和であった練習初日の午後。
自由、やんちゃ、無礼、無愛想と揃い踏みの問題児メンバー達の尻を小気味良い音をさせながら叩いていた藤真の手は、ラストのゲーム形式の練習の際に心躍らせる様な正確無比のアシストを繰り出し一瞬にしてチームメイトの心を掴んだ。
特に興奮していたのは、彼の公式戦を十数分しか見た事の無かった一年坊達。特に自校の自称ナンバーワンルーキー。欲しい所に来るのでは無く、行くべき場所へ正確に導かれるそのリードパスにいたく感心した様だった。夏のIH予選で藤真が率いた翔陽以外で、初めて直で目の当たりにした双璧、"オレの片割れ"のプレー。
「……溢したのか」
その洗練された手が今指差す先にあるのは───シーツのど真ん中に無惨に横たわる蓋の開いたペットボトルと、その中身がほぼ全て溢れて水浸しになっている哀れな姿のベッド。
「ベッドの上で飲食をするな」
「少し喉が渇いて飲んだだけだ」
「リネン室へ行けば替えのシーツがある、貰って来れば良いだろう」
こんな時間にか?と、藤真は白い眉間に皺を寄せてオレを睨んだ。
少し考えてから、普段から監督としての立ち振る舞いや模範行動を徹底せねばならんこの男は、消灯時間をとうに過ぎたこんな時間に廊下を出歩く姿を見られたくないのかと思い至る。理解はしてやりたい、だがそんな事を気にしていたら今夜の寝床を失ったままだ。
「不測の事態に融通を利かせないのは規則とは違うだろう。事情を話せば…」
「そうじゃなくて」
「なんだ」
藤真はうつ伏せにオレのベッドに寝そべったまま、枕から顔だけを上げて今度はしっかりと此方を振り返る。サラリと重力に引かれる白橡色の髪がいやに雰囲気を保つのに、その顔はまだ気怠さと何かの含みを滲ませていて、やけに攻撃的だ。オレは黙って藤真の言葉を待った。
「唯一の二人部屋を使ってるオレとお前が夜な夜な濡れたシーツを取り替えに行ってた、なんて知られてみろよ」
「………」
「兼ねてから噂の双璧ホ」
「分かった、言うな」
「兼ねてから、噂の、双璧ホモ疑惑が、」
「藤真」
オレは引き攣る頬を隠さず眉間だけを押さえながら、わざとらしいその藤真の言葉を止めさせる。…止まりはしたが、最後に小さな舌が「べ」とオレに向かって悪態をついてきたので思わず陰気な溜息が出た。
海南と翔陽という神奈川男子高校バスケ部の強豪校に共に在籍し、入学後すぐにユニフォームを取り、エースとして対峙し合ってきたオレと藤真の関係は今年で三年目。
互いに清廉潔白なライバルとしての佇まいを意識して過ごしてきたし、後ろ指さされる様な爛れなど誰にも見せた事は無い。だが当人達の意思を置き去りに、何故か邪な噂を立て続けられてばかりだ。
距離が近すぎるだの、ホモだのヤッてるだの。
「いつまで言われるんだか」
「卒業するまで続くだろうな」
「お前がやたらオレに構うせいだからな」
「お前がそうやってオレにいがむからだろう」
「お前の見た目が筋肉ダルマなせい」
「お前の見た目が可愛いせいじゃないか」
それは恐らく、中学を卒業したばかりのガキにレギュラーの座を奪われた事が面白くない先輩達と、同学年でありながら扱いの差がある事を面白く思わない不精者達による嫉妬から始まった嫌がらせ。手の届かぬ所にあるものを妬み、貶める事でプライドを保つ、そういう当て付け。周囲の雑音はあまりにも幼稚で耳障りだ、呆れたくなる程に。
「よりによってどうしてお前と二人きりなんだ。せめてもう一人居たっていいだろ、花形でも高砂でも良いから」
そうすればこんな下衆な噂も減るのに、とそれほど悲観的では無い声で藤真がぼやく。
「そんな噂のあるオレ達と同室になる奴の方が居た堪れないだろうな」
「お前はどっちの味方だ」
新築された合宿所は和室の大部屋と洋室のツインが用意されていて、洋室は監督やコーチらへ、大部屋を選手達にと充てがわれた。だが例年と違い学年毎だけでは無く学校毎にも割り振りを配慮した結果、最も人数の多い三年から二名が大部屋に収らない結果となった。そこで主将と副主将が洋室送りとなり、この部屋割りに至る。
「今年のメンツは良い意味で本物のバスケ馬鹿しか居ない。そんな噂は元より、オレ達の関係に興味すら無いだろうから安心しろ」
「コーチいるだろ」
「ああ…そうだったか…」
そうだ、昨年卒業して海南大へ進んだ先輩がこの合宿にコーチとして参加してくれている。彼らは特に藤真を気に入って構いたがり、オレとの関係をそうやって揶揄う事でコミュニケーションを取っていた。毎度の事で辟易しつつも、オレも藤真も年功序列の社会に従って愛想笑いでやり過ごしてきたが。
絶対に見つかりたくない、そう言いながら藤真は本来はオレのものである枕に顔を埋めた。こんな時間ならばそう出会すものでも無いと思うがな…とは言わず、オレは細く溜息を潜ませながらベッドの端に腰を掛ける。180cm近い男二人が乗る事を想定されているとは思えないまだ真新しいシングルベッドは、特に苦しそうな音を立てる事もなく静かに沈んだ。
「だからと言ってこのままじゃオレの寝る場所が無いだろうが」
もし二人で同じベッドで寝たなんて知れたら、それこそ思う壺ではないか。だがしかし床で寝ようものならば間違い無く明日の練習に支障をきたす。全ての資本である身体への負担は問題外だ、こんな事で貴重な合宿期間を無下に出来ない。
「お前ほんとオレに甘いよな」
「何がだ」
「お前のベッドなんだから、今すぐオレを蹴り落として床に転がせば良いだけなのに」
「……」
己の選択が、二人で一つのベッドで寝るか、もしくは自分が床で寝るかの二択だった事に気付いて「確かに」と奥歯をギリと噛んだ。今目の前に居るのが此奴でなかったら、さっさとシーツを取り替えて来いと尻を蹴り飛ばしているだろう。ああそうだ、自分でも呆れたくなる程に、オレは藤真に甘い。
「そんな事をしたら花形と長谷川が今すぐ飛んで来るだろう」
「お前はオレのチームメイトを何だと思ってるんだ」
エスパーかよと藤真は眉を下げて笑ったが、翔陽の連中は全員が藤真の危機を察知出来る超能力くらい持ち合わせていそうだ、とオレが真顔で答えると今度は寝転んだまま肩を揺らして笑い出した。
「現にお前がオレと二人部屋と知った瞬間、殺気に近い視線を感じたからな」
「じゃあもし今オレが大声で泣き叫びでもして彼奴らが部屋に入ってきたら、お前は間違いなく半殺しに遭うな」
下着一枚の半裸姿でベッドに腰掛けるオレと、そこに寝そべって助けを求める美しい男。問答無用で犯罪者の扱いになるであろうオレに薄笑いを向けながら、藤真は仰向けに体勢を直した。
サラリと横に流れた前髪に惹かれるがままにオレは手を伸ばし、絹の様なその感触を堪能しながら親指で額を撫でる。美しい金糸の間から覗く傷痕に沿って熱を往復させると、藤真は心地良さそうにゆったりと瞼を閉じた。
その表情がやけに綺麗で、壊れそうで。
オレがベッドへ乗り上げながら顔を近付けると、それに気付いて藤真はすらりと腕を伸ばし、オレの後頭部をその手の中に優しく招き入れた。
「どうした、泣き叫ばないのか?」
「はながたーたすけてー」
とんだ大根だ。これだけ端正な顔で芸能人かと見紛う程の美貌を持っているくせに、と思わずせせら笑いたくなる程に。俳優業は無理そうだな。
「ん…」
喉の奥で小さく、色を含んだ吐息が漏れる。
捕まえた唇が乾いていたのが可哀想で、もう一度、舌で下唇をなぞりながら柔く吸った。するとそれに応える様に緩く口を開き薄い舌を差し出してきたので、綺麗なその顔の横に両腕をついて、角度を変えて蜜を味わう。
互いに尊敬し競い合える者、同じレベルで競技を語れる者、オレと藤真にとってそれは稀であり希少な存在だ。共に過ごせる時間があればそれを永く共有したいと思うのは至極自然な事で、歪みの無い好意という感情がそこにあって何ら不思議は無い。
そしてその感情が正しさを失っていたとて、おかしくも無い。
「っ、ん…」
だがこの劣情を、他者の目に触れる場所で見せた事は一度も無い。
見せてやる訳も無いだろう、こんなにも美しい此奴の姿を。
根拠の無い言い掛かりに刺されようとも、歪んだままでも息は出来る。
「牧…逢いたくなかった」
今言うのか。
掠れた吐息と共に囁かれた言葉に、ふ、と鼻から息を抜いて笑う。色気の無い鋭い眼光に腹筋が震えて、くくっと喉が鳴ってしまった。
「オレは逢いたかったぞ」
「悪かったな予選敗退で」
嫌味かよと吐き捨てながら、長い睫毛に囲われた瞳がオレを刺し貫く様に睨み続けるのが堪らなくて、額を擦り合わせながらもう一度唇を近付ける。
「冬まで残ると聞いた」
「だから冬まで逢いたくなかった」
なのに高頭監督、ベスト4にも入れなかったチームから三人も呼ぶなんて武里への皮肉かと思うぞ、と良く回る口が珍しい愚痴を垂れ流す。確かに藤真は数字や肩書きにも責任を捉える奴だが、しかし結果しか見えない様な堅物でも無い。理解出来ない訳など無いだろうに。
「試合に敗北を喫しようともお前達のプレーが翳る事など無い。翔陽は強い」
「……」
「それにお前ほどの選手を、ウチの監督が放っておく訳が無いだろう」
常勝を掲げるチームを十七年連続の優勝に導く智将は、数字や色眼鏡で選手の力を測りなどしない。チームに必要な技術と精神を持つ者を正しく識別し、その背に相応しい番号を与える人だ。そして何よりも、三年間オレと対峙した此奴の姿を見ている。藤真健司を必要としない総締など逆に無能を疑うな。
「だというのに、お前は代表を断るつもりだったらしいな」
「…お喋りだな、高頭監督は」
オレの言葉に藤真は濡れた唇を舌で舐め取り、色情など何一つ残さずハァと乱雑な溜息を吐く。そしてオレの両腕を払い退けてくるりと体を回転させて、分かりやすく不機嫌ぶって壁に激突する勢いでオレから離れた。
翔陽が、藤真が、招集に応じないかもしれん、と監督がオレに向かってぼやいたのは先月の終わり頃。まだ夏休みの、暑い湿り気が喉を這う空気の中。
国体に関してはそれぞれ事情もあるし、特にあの学校はそうだと言って諦める雰囲気を察知したので、あれが居るのと居ないのではチームのモチベーションが違いますとオレはあたかも全体の為を装って偉そうに言及した。
「何が何でも藤真を頷かせて下さいと監督に頼んだのはオレだ」
「どうりで、わざわざ自宅にまで監督直々の電話が掛かって来た訳だ」
「何度でも言ってやる、神奈川にはお前が必要だ」
「神奈川と書いて牧紳一と読む言い方だな」
何とでも言えば良い。お前が居ない国体など考えられない、神奈川の「双璧」だろう?オレとお前は欠けてはならないんだ、どちらも。
すっかり背を向けられてしまった形の良い後頭部に手を伸ばし、髪を撫でる。首筋の力が抜けたのを見てそっと頭とシーツの間に腕を通すと、意外にも大人しく頭を上げてからオレの腕の上にその重みを預けてきた。得意になってそのまま背後から緩く抱く様にしてやったが、嫌がる様子は見せない。どうやらそこまで機嫌を損ねている訳では無いらしい。
「監督に電話されるより、オレに必要だと言われる方がその気になったか?」
「調子に乗るなよ」
が、気に食わない、と今度はまるでコート上でのパスの様にノールックで、髪を撫でている方のオレの手を的確に叩き落としてくる。容赦の無いそれが面白くて、オレはまた喉で笑いながら諦めずに髪を撫で直した。
「オレが頷いたのは説得されたからじゃ無い、花形と一志の名前があったからだ」
「そうか」
噛み付きそうな口調で言い返されたが、あまり堪えるタチでは無いオレの反応がつまらなかったのか、藤真は慣れた様にすぐに冷静さを取り戻して続ける。
「スタメン起用とまでいかなくとも、自分が全国で通用する選手だと彼奴ら自身に分からせたい」
「そうか、今の翔陽で全国を頭からコートの中で経験しているのはお前だけか」
「ああ、だから参加を選んだ。それだけだ」
冬までに得られる物は全て吸収しようという気概は流石だ。そしてそこに自分の名が連ならないのは、花形・長谷川にとって逆に侮辱になりかねない事を分かっているから。だから自らのプライドなどかなぐり捨てて此処へ来た、と。
「お前は本当に、監督だな」
「そうだよ」
プイと再び完全に背を向けられてしまったので、わざと強めに身体を引き寄せながら脇から胸へと手を這わせて抱き締める。言葉や態度とは裏腹にそれを嫌がる事はせず、胸の上のオレの手の上に自分の手を重ねてから中手骨を一本ずつ確かめる様に撫でて遊び出した。
己の対局にある様なその肌の色に触れられている事に、オレはどうしようもなく意味を感じる。ひとりで此処まで走ってきたのでは無い、お前が居なければきっとオレは───
「もう一度言おう、神奈川にはお前が必要だ」
「…お前には?」
「ん?」
「お前には、オレは必要か?」
「───…」
…なぁ牧、と小さな声でオレを呼ぶので耳の端に唇を寄せてやると、ビクリと肩が跳ねる。それを少し笑うと再び藤真の眉は不機嫌に釣り上がり、振り返りながら今度は濡れた舌先で此方の頬が喰われた。好きにさせながらも、閉じた白い瞼と薄く透けるような美しい睫毛を眺めていたらそれに気付かれ、「悪趣味だ」と悪態をつかれる。口を開けろとその熱にせがまれたので、右手で顎を捉えて逆に口内を喰らい返した。
再び喉の奥で息をする音が声となって、「ん、ん…」とオレの気道にまで響く。頸に回された指が誘う様に情を奏でるので、気が良くなり思わず情を含んで名前を呼び返した。
「藤真…」
返事とばかりに、蕩けた息と白の爪先がオレの胸を這って遊ぶのでたまらなくなってまた執拗に舌を吸う。酸素を求めて一瞬だけ口を離すと、藤真は熱い息を吐きながらも「しつこい」と大きな瞳で牽制をしてきた。
この男に甘い自覚がある。最後に上唇だけを啄み、オレは出来るだけ柔和な音になる様努めながら言葉を紡ぐ。
「今回ばかりはオレの願いを聞いてくれないか」
「……」
「面倒事は全て大人に預けて、プレイヤーになれ、藤真」
長い睫毛が白いシーツに微かな影をつくった。その下で愉しみを、喜びをぐっと堪え続けている瞳が哀しい。
笑って欲しい。
思い切りバスケをして、ただ笑って欲しい。
「頷くまで喰うぞ」
「勘弁しろ、バスケしに来てるんだ…んっ、」
そう言う割には抵抗をしない。熱に囃されて加速してしまいそうな愚かさを遊ばせながら、ずっと冷静なもう一人の己が背に張り付いている。きっと藤真も同じだろう。もっと互いの根に眠る部分に到達したいと願えば願うほど、離れた唇を繋ぐ生温かな糸はあっけなく途切れるのだ。
全て毎年の事、これで三度目の秋。
「まき、」
「何だ」
「…また、眠れるまで一緒に居てくれるか」
泣き出しそうなその声に、勿論だと頷く。
見た目に反して大胆、豪快、男前。それが世間の知る藤真健司のイメージであり、またそれが事実に違わない事も知っている。だが…
「相変わらず神経質だな、お前は」
コートを離れると、その儚く美しい見た目通りに繊細で過敏な部分が垣間見える事がある。
「わざと水を溢したんだろ」
「何の事だ」
素直に言えば、何も口実など作らずとも最初からベッドに招き入れてやったものを。だが此奴がプライドが高く面倒臭い男だという事も知っているし、それも含めてこの関係が、藤真が、好きなのだ。
柔く髪を退けながら昨年付けられた左額の傷痕にキスをすると、オレの左目の下のほくろにキスを返してきた。
「安心しろ、誰にも言わない」
「…ありがとう」
すっかり汗の引いたオレの肌に吸い付くように、藤真はぎゅっと頬を寄せて抱き着いてきた。腕を伸ばしてベッドベッド横のスイッチを探り、静かに部屋の灯りを落とす。
暫く互いの香りを胸に閉じ込めながら、またほんの少しだけ言葉を零し続けた。
そしてひとつの布団を分け合って、体温を重ねて眠る。
歪んだままでも息は出来る。
ここは無罪の海だと、自分達を取り巻く下衆な噂を心で嘲笑いながら。
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本当はもう少し会話や展開が続く予定でした。
他、清田と藤真の話・翔陽メンバー達の話・海南大の先輩の話・牧と藤真の実際の関係なども考えてあったのですが、自分の文章力では書き切れないと判断して断念しました。
中途半端ではありますが、1話目だけでも見て下さって本当にありがとうございました。ドリーム国体楽しい。