氷船 帰宅へ向けて「ホゴシャとは何だ?」
「んー……たとえば親御さんとか、子どもの面倒を見たり責任を取ったりする大人のこと、かな? 今、村にいる獣人族は正義さんと信くんしかいないから、オレたちは正義さんを信くんの保護者扱いしているけれど……」
そういえばオレたちが勝手に言ってるだけかも、と七雲は苦笑して頭を掻いたが、信はその七雲をしばらく見上げてぽつりと言った。
「……俺は子どもじゃないが」
「えっ!? いや、でも、氷船くんとか蒼生様が十七だから……信くんも一緒くらいじゃない? 違うの?」
七雲が心底驚いた様子で信を凝視する。信もまた、氷船と蒼生の年齢を聞いて目を丸くした。信は、まあ人間族とは寿命が違うらしいからな、と早口に話をごまかしてから、正義の待つ小屋の戸を開けた。
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