図書館にて「鎖音事案?そんなのありましたっけ...」
机の上に置かれていた一冊の本。
交流の一環として、たまにはこちらからと別世界の図書館に来ていたのだが、顔を出した瞬間怯えられたのには驚いた。
「ええ、良かったら読みますか?」
「ならお言葉に甘えて。」
「......くだらない。何やってるんですかこの僕は...」
と、言ったが、今だから言えることでもあるんだろう。
そこに書かれていたのはとある職員にそそのかされ墜ちた僕が暴れた記録だった。
「これを読んでいたから皆さん驚いていらっしゃったんですね。」
「まぁ、そうですね。...話していた内容をあまり本人に聞かれたくないのもありましたが。」
「...我ながら愚かだとは思いますけどね、流石にこれは。...で、例えばどんな話を?」
「......精神が脆いのによくALEPH装備を着れたな、とかですかね。」
「あれって管理人が勝手に割り当てているんじゃないんですか?少なくともうちはそうでしたけど...」
「幣支部は福祉チーフが管理してましたので。それに、幣支部には簡単にメンタルブレイクされるような者もいませんし。」
「......あはは...ぐうの音も出ませんね...」
「...てっきり怒るものだと思っていましたが...怒らないんですね、エルフィンドさん。」
「...『この』僕と今の僕は違いますから。」
そういい、彼は不敵に笑った。