水も滴る何とやら鈍色の曇り空ばかり続いていたのに珍しく夏のような陽射しが降り注いだ今日この頃、やる気が出ないと腑抜けた状態で宣う立香に呆れつつも…暑いのがあまり得意じゃない僕もそこには同感なので、いつも以上にダラダラとグラナートで過ごしていた。
「カドック…ねぇ、もうちょっとエアコンの温度下げてもいい?」
「…おまえが離れれば、解決するんだけれど」
「イジワル!じゃあ、代わりに何か出して!涼しくなるような、すごいやつ!」
「無茶言わないでくれよ、まったく…」
さっきからずっとこんな調子で駄々をこねまくる彼女、その割にくっつきたがるのでなおさら熱っぽくてたまらないのだが…さてどうしたものかと僕が色々頭を悩ませている最中、扉をノックの音と共に部屋の外から声をかけられ二人して何だろうと顔を見合わせる。
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