ちいさなしあわせ いつも最高に最悪な気分で退社して、必死に走ってどうにか終電に乗り込んで、がらんどうの車内でひと息吐く。ここで睡魔と闘って、ふらふらとぼとぼ、家路に着く。
ただいま、なんて言っても、大抵の場合返事はない。ただ冷蔵庫の中に、『おつかれ!』とバカでかく書かれた小さなメモ付きの作り置きがいくつかあるだけだ。
それらをレンチンしている間にスーツを脱いで、適当に掛けて、ゆるい部屋着に着替えてから、湯気をたてる飯に手をつける。
それから、熱い風呂で体を休めてから、テレビも見ずにベッドで独り、寝こける。
俺が爆睡してるからか、あいつが上手く入ってくるからかは分からないが、あいつはいつも、何時の間にか、俺の隣で寝ている。
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