言ってしまった、そう思った時は何もかも遅くロナルドは少し後悔をしていた。
「もう、お前なんかき、きら……ぜ、絶交してやる」そこまで思っていない言葉が出てしまった、半田の事は嫌いじゃない、セ%#$は嫌だけど半田と遊ぶのは楽しい。
友達……多分友達なんだ、けれど否定されたから余計にこじれて、「も、もう出てけよ」って言ってしまった。半田はきっと謝ろうとしてくれていたのに言葉を遮ってしまったし、そのまま事務所から追い出してしまった。
「おれ、なんで半田の事追い出しちゃったんだろ……」
ロナルドは書類の整理をしながらポツリと呟いた、この件があってから数日間、半田は事務所に来ていない。
ロナルドも半田と出会ったら気まずくて退治中も、コンビニで会った時も走って逃げていた。
「しかも、毎回逃げちゃうし、お互い謝れないじゃん、俺のバカあぁあ」
ロナルドは書類整理途中から半田の事ばかり考えて手が進まなくなっていた。
謝りたい、セ%#$は嫌だけど前みたいに普通に話したり、遊んだり、食事したりしたい。
「叫んでる余裕があるなら、いい加減に半田くんと仲直りしたらどうかね?」
「……それはそうなんだけどさ、上手くいかなくて」
「いや、それはロナルドくんが逃げ回ってるか」
「うるせーーーー」
「わ」
「ヌェ」
ロナルドの声の大きさでドラルクはビックリ死してしまい、ロナルドは多少反省をした。
次の日、ロナルドはジョンに呼び出された。ついて行くとよく行く公演だった。公園に何かあるのだろうか。
「……ねぇ、ジョンこの公園に何があるの」
「ヌ、ヌヌ、ヌーッヌ」
「来たか」
「え、半田あっ、えーと俺、急用思い出したからっ」
公園には半田が居た、少し奥にドラルクも居る。まだ全然、半田と会って話す心の準備なんてできていない。
ロナルドは半田の姿を見た瞬間走って逃げようとした。
「逃げる、なっ」
半田の大きな声がする、普段とも違うが怒っている声とも違う。
大きな声で驚いたのか、気が緩んだのか、スタートダッシュに失敗したのか、理由はわからないけれどロナルドは半田に腕を掴まれた。
「は、ハイ」
思わず振り返って久しぶりに半田の顔を見た、焦っているのがわかる。
普段遊んだり一緒に仕事をしている時には見た事ない。
「まずは一つ訂正する」
「うん」
「お前とはライバル、好敵手だと思っていてだから友達では無いと言った」
「……」
ライバル、好敵手……いつも突っかかってくる半田らしいなとロナルドは思った。友達では無いのはちょっと悲しいとは思うけれど、友達以上に特別感がある。
「あの場では咄嗟に出た言葉ですぐに訂正出来なかった、すまない」
「そ、そうなんだ」
「俺も絶交とか言ってごめん」
「ウム」
なんだか少し安心をしてロナルドは普段の調子に戻ってきた、今なら吸血鬼退治も、原稿も、書類整理も調子よくできそうだ。
もう一度、真っ直ぐに半田の顔を見る、半田も安心したのかいつも通り?いやなんか、落ち着いてて優しい?顔?何それ。
「……」
ロナルドは十年くらい一緒に隣を走ってきたであろう半田の、初めて見る表情に心を奪われた。