新しい一日『新しい一日』
「っし、終わったか……」
年度末最終日。
月島は今日までが〆日の案件をなんとかやり切って、漸く相手先にファイルを送り付けた。時計を見ると既に終業時刻をとうに過ぎていて、三時間後には日付を跨いでしまうほどだ。
「さすがに疲れたな」
オフィスには自分一人だけだ。最近の急激な寒暖差で体調を崩したり、家庭の事情なんかで早く帰らなくちゃならなかったり、そういう部下を早く帰してやるのも月島の仕事である。
凝り固まった肩やら背中を伸ばすと、ゴキゴキ嫌な音が鳴る。音が鳴るまでやってはいけないと何かで聞いた気がするが、これが気持ち良くて「ゔあ〜………」と部下からオッサンくさいと言われる声が思わず出る。
「ふぅ……」
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