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    【冬彰】R18/彰人と冬弥が高校時代に出会っていない世界線の冬彰(会話文)

    未完成(本文あり)
    完成後に再投稿するまでは全体公開で投稿させていただきます。
    未フォローの方が最後まで読める形で投稿することはありません。
    完成作品の投稿先→https://poipiku.com/5104364/

    #冬彰
    dongChang/Touya Akito

    ❏設定❏

    ・彰人と冬弥が成人を迎えている
    ・二人は高校時代に出会わず別の道を歩んでいる
    ・彰人がエッチなお仕事をしている
    ・とある事情から、冬弥が彰人に性的なサービスをしてもらうために、彰人を家に呼ぶことになる
    ・彰人は音楽に出会わずに音楽とは無関係の道に進んでいて、冬弥は彰人と出会わなかったことでクラシックの道に戻ってプロになっている
    ・続きを書き足してるうちにgdgdになってきたので、現時点では誤字脱字や矛盾点が多いかもしれません(完成時には可能な限り修正します)

    ❏本文❏

    〜冬弥サイド〜

    モブ「冬弥くん、お疲れ様。今日の演奏もすごく良かったよ」
    冬弥「……○○さん、ありがとうございます」
    モブ「それにしても、お父さんはよく許してくれたよね。海外からのオファーを全て断って日本で活動を続けるなんて選択肢。君のお父さんは絶対に許してくれそうにないのに」
    冬弥「学生時代は、父に反抗していましたから……またそうならないように、少しは俺の希望も聞き入れるようにしたんじゃないでしょうか」
    モブ「そうかもしれないね……そういえば、お父さんは、君の恋愛に関しては口出しをしてこないのかい?」
    冬弥「……いえ、そろそろ相手を見つけて結婚しろと、よく言われます」
    モブ「だと思ったよ。実は、お父さんから君が恋愛事にも関心を持つように、裏からサポートしてやってほしいって頼まれたんだよね」
    冬弥「……」
    モブ「俺は君のお父さんには信頼されてるみたいだから、今までもこうして君の面倒を見てきたわけだけど、さすがに君に一切悟られずにそんなことができるほど器用でもないからね。だから、直接伝えることにしたわけだけど、お父さんには内緒にしておいてもらえるかな?」
    冬弥「はい、俺も○○さんにはお世話になっていますし、信頼していますので……○○さんの立場が悪くなるようなことは絶対にしないと約束します」
    モブ「ありがとう、冬弥くん。それで、君の恋愛事情を少し聞かせてもらってもいいかな?」
    冬弥「分かりました……それが、○○さんのお仕事ですからね」
    モブ「よしてくれよ。俺は君の世話係だけど、君とは対等の関係を築きたいと本気で思っているんだ。立場上、友達にはなれないかもしれないけど、君がなんでも話せる相手くらいにはなれたらいいなと思ってるんだよ。だから、そんな悲しいことは言わないでほしい」
    冬弥「すみません……」
    モブ「話しにくいことかもしれないけど、学校の先輩に話すように、気軽に話してくれないかな」
    冬弥「学校の、先輩……」

    冬弥:司の顔が脳裏をよぎる

    冬弥(司先輩が学生時代から追いかけていた夢を叶えたことは知っているが、忙しさにかまけて今頃どうしているのかも知らない……学生時代に親しくしていた知人と最後に会ったのは、何年前かも思い出せない……)

    冬弥:表情を曇らせながらも小さく頷く

    冬弥「分かりました……」

    〜場面転換〜

    モブ「……なるほどね。これまでの人生で恋愛に興味を持ったことがなく、女性と交際した経験もないと」
    冬弥「はい」
    モブ「それは、お父さんの教育方針が影響していると思う?」
    冬弥「分かりません……」
    モブ「う〜ん、そんな暗い顔をしないでよ。こんなことを言ってはいけない立場だということは分かってるけど、君がお父さんへの反抗を諦めてクラシックの道に戻ったからと言って、君の人生がお父さんに雁字搦めにされてるわけじゃないんだ。今まではそう思って生きてきたと思うけど、またいつだってお父さんに反抗していいし、クラシックだってやめたければやめてもいい」
    冬弥「○○さん……そんなことを言ってしまって、大丈夫なんですか?」
    モブ「冬弥くんが黙ってくれていれば大丈夫さ。俺が言いたいのは……恋愛だって、無理にしなくてもいいってことだよ」
    冬弥「俺が父さんの意志を無視すれば、父さんは必ず気付くと思います……今までも、俺の気持ちを優先してくれたことがきっかけになって、○○さんの立場が危うくなったことが何度もあったじゃないですか。俺は、俺のせいで○○さんの立場が悪くなるのは絶対に嫌です……なので、恋愛に挑戦してみようと思います……」
    モブ「そう言ってくれるのは、嬉しいけど……」
    モブ(冬弥くんは、真面目すぎるんだよな……俺への責任感で恋愛をしようとしても上手くいくわけがないのに……この真面目さをどうにかできればいいんだけど……あ、そうだ……)
    モブ「じゃあ、とりあえず女性と出会わなければいけないよね……ってことで、ここに電話してみてよ」
    冬弥「この電話番号は?」
    モブ「かけてみれば分かるよ」
    モブ(冬弥くんのお父さんにバレたら、今度こそクビかもしれないけどね)

    〜彰人サイド〜

    モブ「彰人、また指名が入ったのか?」
    彰人「今回は指名じゃねえよ。なんか恋愛相談みたいな、よく分からねえ電話だった」
    モブ「はあ? なんだよ、それ」
    彰人「そんなの、オレが聞きてえっての……悩み相談の窓口じゃねえんだから、話が長くなるなら直接会って話してくれないと、こっちも商売なんでって言ったら、だったら今から会って話がしたい、だってさ」
    モブ「話がしたい、って……ここが性的なサービスをする店だってこと、ちゃんと分かってんのか、そいつ」
    彰人「さあな、でも話を聞くだけで金をもらえるならそっちのほうがいいだろ。つーか、オレばっかりヤバい客を引くの、なんでだろうな」
    モブ「この前は本番なしのサービスで無理やりヤられそうになったんだっけ、マジで気をつけろよ」
    彰人「それは、お前が出勤しなかった日に強引に押し付けてきたお前の常連だろうが……少しは悪いと思えよな、お前も」
    モブ「思ってるって。そうじゃなきゃ、せっかくのお得意様を出禁にしてもらうわけないだろ」
    彰人「はいはい……そんじゃ、行ってくる」

    彰人:待機所を出る

    ~冬弥の家の前~

    彰人「なんだよ、この豪邸は……本当にこの住所であってんのか?」

    彰人:ためらいながらもインターフォンを押す

    インターフォンの音声『どちら様でしょうか?』
    彰人「あ、えっと……東雲と申します。間違っていたらすみません。ここは、青柳冬弥さんのご自宅でしょうか?」
    インターフォンの音声『東雲様……失礼いたしました、使用人の〇〇です』
    彰人(使用人!?)
    インターフォンの音声『冬弥様から、ご用件は聞いております』
    彰人「……」
    彰人(ご用件、ね……まあ、話がしたいって言われて来たわけだし、性的なサービスを受けるために呼んだ……なんて、言ったわけではねえんだろうが……)

    冬弥の自宅前のゲート:インターフォンの音声がプツンと途切れると同時に自動で開く

    彰人「……!」
    インターフォンの音声『どうぞ、中へお入りください』
    彰人「……」
    彰人(金持ちな客なんて、こんな仕事してんだから願ったり叶ったりなんだろうけど、異次元すぎて普通に帰りてえな……)

    彰人:ゲートを通り抜けて玄関に入ると、使用人の出迎えを受ける

    使用人「こちらへどうぞ」
    彰人「あの、随分と広いお屋敷ですけど……ここには、青柳冬弥さんと使用人の方しか住んでいないんですか?」
    使用人「はい、おっしゃるとおりでございます。冬弥様が成人を迎えて一人暮らしを始められることになった際に、冬弥様のお父様から贈られたお屋敷だと聞いていますが、このような広いお屋敷をお一人で管理することは難しかったとのことで、今は冬弥様と数人の使用人がここで暮らしています」
    彰人「はあ……」
    彰人(一体、どんなヤツなんだろうな……すげえ不安になってきた……)

    彰人:冬弥の自室の前に辿り着くと、ドアをノックする

    彰人「あの、東雲です……青柳冬弥さん、ですよね? 中に入ってもいいですか?」

    彰人:中から物音がしてビクリと警戒するも、すぐにドアが開き、驚いたように目を見開く

    冬弥「わざわざお越しいただき、ありがとうございます」

    冬弥:ドアを開けて挨拶をするも、彰人の顔を見ると驚いたように目を見開く

    彰人(まさか、こんな金持ちが自分でドアを開けてくれるとは思わなかったからオレも驚いちまったが、こいつは一体何に驚いてんだ?)
    彰人「あ、その……さっきは……」
    冬弥「あの……失礼ですが、お一人ですか?」
    彰人「は? そりゃまあ……オレ一人、ですけど……」
    冬弥「そう、ですか……すみません、女性が来ると思い込んでいたので……」
    彰人「は……?」

    ~間~

    彰人「……なるほどな。どういう経緯でそうなったのかは分からねえが、その世話係の男とやらに紹介されて、女と話ができる店に電話をかけてみたら、その電話にオレが出て、こうなった、と……」
    冬弥「……」
    彰人「多分、番号違いだろ……うちの店、女性キャストと男性キャストがいて、男女で店が分かれてんだよ。だから、電話番号も男女で違うってわけ」
    冬弥「そうだったんですか……すみません、男性の声で今から向かうと言われた時はなにか変だなと思ったのですが、東雲さんは受け付け係かなにかで、女性が来るものだとばかり……」
    彰人「……ったく、仕方ねえな。今からオレが女を手配してやろうか?」
    彰人(すでにタメ口で喋ってっけど、もうオレの客じゃなくなったんだし、敬語じゃなくていいよな。店のイメージとか、そんなもん知ったこっちゃねえし……)
    冬弥「いえ、よければ話し相手になってもらえませんか?」
    彰人「は?」
    冬弥「おそらく、同年代……ですよね?」
    彰人「それは、分かんねえけど……」
    冬弥「父に、そろそろ結婚をしろと言われているんです。彼……先ほどお話した世話係の○○さんが女性と話せるお店を紹介してくれたのは、その件があったからで……もちろん、すぐに結婚相手が見つかると思って、電話をかけたわけではありませんが……あなたが男性でも料金はお支払いしますので、相談に乗っていただけませんか?」
    彰人(結婚相手、ね……なるほどな。その世話係の男とやらは、クソ真面目そうなこいつが好きでもない女と結婚できるなんて、最初から思ってなかったんだろうな。だから、荒療治だろうがなんだろうが、性的なサービスを提供してるうちの店で適当な女と経験を積ませれば、あるいは……って感じの考えだったのかもしれねえ……)
    彰人「いいけど、同年代なら敬語はなしな」
    冬弥「え? ですが……」
    彰人「あのな、キャストのオレがタメ口で喋ってて、客のお前が敬語なんておかしいだろ」
    彰人(オレが敬語を使えばいいだけのとんでも理論だが、なんだか腹を割って話す必要がありそうだしな……)
    冬弥「それも、そうだな……では、タメ口で喋らせてもらう」
    彰人「おう、名前も呼び捨てでいいから、彰人って呼べよ」
    冬弥「分かった」
    彰人「それで……冬弥は、どうしたいんだ?」
    冬弥「結婚のことか?」
    彰人「ああ」
    冬弥「分からない……」
    彰人「分からないって、お前のことだろ」
    冬弥「父親に厳しい英才教育を受けていたことが関係しているのかは分からないが、俺は音楽以外の物事にはあまり興味を持てないんだ。もちろん、女性や恋愛事にも。だからと言って、完全に興味がないと断言することもできない。分からないとしか、言えないんだ……」
    彰人「なるほどな……だとしたら、分からないことを無理に考えようとしても意味ねえし、別の質問をするけど、お前がかけた電話番号……ようするに、オレが働いてる店の話なんだが、性的なサービスをする店だって知ってたか?」
    冬弥「え?」
    彰人「やっぱり、知らなかったんだな……」
    冬弥「そんなこと、〇〇さんは何も言っていなかったが……」
    彰人「お前が今すぐ恋愛に興味を持つことは無理でも、そういう店でそういう経験だけでも積んでいけば、少しは恋愛に興味を持てるようになるかもしれないと思ったんじゃないか?」
    冬弥「そう、なのだろうか……」
    彰人「つーか、経験がないって勝手に決めつけちまってたけど、実際はどうなんだ?」
    冬弥「もちろん、そのような経験は一切ない」
    彰人「だよな」
    冬弥「では、何かしなければまずいのか?」
    彰人「は?」
    冬弥「そういう店、なのだろう?」
    彰人「いや、別にまずいわけじゃねえけど……」
    冬弥「……けど?」
    彰人「親父にあーだこーだ言われてるから、電話してきたんだろ。だとしたら、オレと話すだけで終わったら、なんの意味もないかもしれねえ。そういう意味では、何もしないのはまずいかもな」
    冬弥「確かに、そうだな……」
    彰人「つっても、今すぐどうこうしろって話でもねえんだろ?」
    冬弥「ああ」
    彰人「だったら、今はとりあえず話だけでもしてみるってのはどうだ? お前のことや、オレのことなんかを、とりとめなく話すんだよ。お前、友達いなさそうだしな。そういう普通のことを沢山経験していけば、お前もいつかは恋愛ができるようになるって」
    冬弥「――……」
    彰人「……? どうした?」
    冬弥「いや、もしかすると……恋愛感情というのは、相手への興味から始まるものなのだろうかと思ってな」
    彰人「そういう場合もあるんじゃねえか?」
    彰人(……多分な。高校を卒業してすぐにこの道に進んじまったせいで、まともな恋愛なんかしたことねえんだよな、オレ……そう考えると、こいつは相談する相手を完全に間違えてるな……)
    冬弥「だとしたら、オレは彰人に恋をしたということになるのか?」
    彰人「…………はい?」
    冬弥「彰人が俺達の話をしようと言った時に、俺は彰人に興味を持った。彰人は俺と違って恋愛をしたことがあるのだろうか、とか……なぜこの仕事をしているのだろうか、とか……色々と聞きたくなってしまって、ふとそう思ったんだ」
    彰人「それは、単なる興味であって、別に恋愛感情ではねえと思うぞ……」
    冬弥「そうなのか?」
    彰人「いや、お前じゃねえから分かんねえよ。でも、多分……」
    冬弥「だとしたら、恋愛感情の可能性もある……ということだな」
    彰人(待て待て待て待て、話がどんどん変な方向に向かってないか。親父に結婚しろって言われたからって、なぜかオレを呼んだのは世話係のせいだからいいとしても……なにをどう間違えたら、オレに恋愛感情を抱いたかもしれないなんて話になるんだよ。こいつが道を踏み外さないように、軌道修正してやらねえと……)
    彰人「冬弥、親父に言われたことを忘れたのか? 結婚しろって言われたんだろ? もしも、それが恋愛感情だったとしても、だ……オレが相手じゃ、結婚は無理だろ……」
    冬弥「……」

    冬弥:少し考え込むように視線を俯けると、寂しそうな表情を浮かべて微笑む

    冬弥「彰人は、俺が父さんの言いなりになったほうがいいと思うんだな」
    彰人「は?」
    冬弥「別に、責めているわけじゃない。結婚相手を見つけるためには、まずは恋愛から……と、父さんに言われたことに愚直に従おうとしていたのは俺だ。そんな俺に対して、彰人がそう言うことしかできないのも分かる。だけど、俺の人生は今までもこれからも、俺自身のものではない、誰かの……他人の人生を生きているみたいだなと、少し思ってしまってな……」
    彰人「――……」
    冬弥「すまない……こんな話をしても、困らせるだけだな……」
    彰人「……じゃねえの」
    冬弥「……? 彰人、今なんと……」
    彰人「バカじゃねえのって言ったんだよ」
    冬弥「え?」
    彰人「冬弥、お前が今までどんな人生を歩んできたにしろ、それは誰のものでもねえ、お前自身の人生だろ。他人の人生を生きてるみたいだなんて、お前がこれまでしてきた人生の決断は、全部他人がしてきたってのか?」
    冬弥「……!」
    彰人「だとしたら、お前の言う他人のせいで雁字搦めになっちまうのは悔しいと思わないか? それか、他人の決断で起きた悪い結果は自分のせいじゃないって責任逃れをできて楽だとでも思いたいか?」
    冬弥「……」
    彰人「親父の言いなりになってきたのも、そんなクソ重い身の上話を今日出会ったばかりのオレに打ち明けたのも、全部お前だろ。まるで他人事みたいに自分の話をしてたけどな、全部お前自身のことなんだよ、冬弥。お前自身の決断で、お前の人生は決まるんだ」
    冬弥「そう、だな……ありがとう、彰人……今日出会ったばかりなのに、こんな……」

    冬弥:ぽろぽろと涙を溢れさせる

    彰人「……!? おい、無表情で泣くな……怖いだろ……」
    冬弥「すまない、滅多に泣かないから、止め方が分からない」
    彰人「いや、悪い……それでいいんだよ、無理に止めようとするな……涙なんか、自然に出てきて、自然に止まるもんなんだから……」
    冬弥「そうか、ありがとう……」
    彰人「さっきの、お前が親父の言いなりになったほうがいいって、オレが思ってるのかって話だけどよ……オレは最初から、お前がお前のしたいように、自由に生きりゃいいのにって思ってた……」
    冬弥「――……」

    冬弥:突然、彰人を抱きしめる

    彰人「……!? な、なんだよ、突然……!」
    冬弥「彰人……彰人のことが、好きだ……」
    彰人「……」

    彰人:冬弥に抱き着かれた時に浮かべた驚いた表情のまま固まる

    冬弥「好きだ、彰人……」

    冬弥:彰人をその場に押し倒す

    彰人「……!? ちょ、待て待て待て待て! 何する気だよ!?」
    冬弥「……? 彰人は性的なサービスをする店で働いていると聞いたはずだが、違ったのか? 俺はその店に電話をして彰人を買ったのだから、そのサービスを受ける権利があると思うのだが……」
    彰人「う……っ」
    彰人(そうかもしれねえけど……でも……親父の言いなりになるのはやめてほしいが、だからと言って、男を……いや、オレなんかを好きになるなんて、絶対に間違ってんだよ……)
    彰人「今日は、話だけだって……」
    冬弥「話だけだと言って来てもらった時は、話しかできないということか?」
    彰人「そうじゃねえ……今だから言うけど、元々話だけなんてサービスはねえんだよ……だけど、お前がよく分かってなさそうだったし、話だけで済むならラッキーだと思って、つい……」
    冬弥「そう、だったのか……なら……」

    冬弥:彰人の服の中に手を滑り込ませる

    彰人「……! ダメだ!」
    冬弥「……!」
    彰人「オレのことが好きだって気持ちが、勘違いだったらどうするんだよ?」
    冬弥「それは……」
    彰人「一時の気の迷いで早まるんじゃねえよ、バカ……」
    冬弥「だが……」
    彰人「そんなに、オレとしたいのか?」
    冬弥「ああ」
    彰人「オレのことが、好きだから?」
    冬弥「ああ」
    彰人「……だったら、今日はもう帰る」
    冬弥「……? 話が、繋がっていないような気がするのだが……」
    彰人「今日はもう帰るから、お前の気持ちが本当なのかどうか、一人になって冷静になった後でもう一度よく考えてみろって言ってんだよ。よく考えた結果、やっぱりオレが好きだってなった時は、もう一度電話をして、オレを指名してくれ」
    冬弥「分かった……」
    彰人「サービスは、その時までお預けだ……いいな、冬弥」
    冬弥「キスくらいは……」
    彰人「ダメだ、流れで最後までやろうとしてんの、みえみえなんだよ」
    冬弥「すまない……」
    彰人「本来は対価を受け取る以上、ちゃんとサービスをするのがオレの仕事なんだし、謝らなくていい……だけど、お前には幸せになってもらいてえなって思っちまったから……」
    冬弥「……? 彰人、それはどういう……」
    彰人「なんでもねえよ……帰るから、退いてくれるか?」
    冬弥「ああ……」

    冬弥:彰人の上から体を退ける

    彰人(短い付き合いとはいえ、こいつのことを知っちまったからな……本当は、すき好んで男に体を売ってるようなオレみたいなヤツと、関わり合いにならねえほうがいい人間なんだって……もしも冬弥から電話がかかってきたら、その時はオレはこの仕事を辞めるってことにして、二度と会わねえようにしよう……)

    ~数日後~

    彰人「……」

    彰人:冬弥が音楽家を引退する意思を表明したという報道を見ながらぽかーんと口を開け、間抜けな表情を浮かべている

    彰人「あいつ、こんな有名人だったのか……」
    絵名「彰人、なにぼーっとしてんの、朝ごはんできてるって言ったでしょ」
    彰人「うるせえな、別にぼーっとなんてしてねえよ。つーか、お前は弟の家に転がり込んで飯作る係してねえで、男でも作れよ」
    絵名「ちょっ……う、うるさいのはそっちでしょ! 今は画家として駆け出したばかりだから、一人暮らしをするお金がないの。それに、恋人を作る時間があれば、絵を描きたいって思うのは当然でしょ!」
    彰人「はいはい、そーですか。ま、お前が上手くやれてんなら、良かったよ。昔は親父との仲が険悪で、当たられるこっちの身にもなれって感じだったからな」
    絵名「一言余計なんですけど。ていうか、あんたこそどうなのよ、その仕事……まさか、あんたがこんな道に進むなんて思ってなかったからさ……お父さんはあんな感じだから放任してても、お母さんはいまだに心配してるよ?」
    彰人「別に……サッカーを辞めてからは、とくにやりたいことも見つからなかったし……普通じゃねえの」
    絵名「彰人……」
    彰人「仕事は夕方からだし、もうひと眠りしてくる……」
    絵名「あ、ちょっと、彰人! 朝ごはんは!?」
    彰人「いらねえ」

    彰人:リビングを出ると寝室に入り、仰向けの体勢でベッドに寝転ぶ

    彰人「……」
    彰人(オレは、この仕事をやりたくてやってんのか……? 少なくとも、昔はそうだったはず、だよな……)

    彰人:学生時代の自分がフラッシュバックする

    彰人「……っ、…………」
    彰人(違う……サッカーを辞めてからのオレは、夢や目標って呼べるものが全部なくなって……なにもかもどうでもよくなって……それなのに、周りは今を楽しめてて、将来の夢や希望を持ってて……そんな周りに反発したくて、オレは……)

    彰人:ごろんと寝返りを打つと、横になる

    彰人「……」
    彰人(だけど、だんだんとこんな汚い仕事をして金を稼いでるオレなんて……って、思うようになって、自己肯定感が、どんどんなくなっていっちまって……)

    彰人:横向きの体勢で寝転んだまま、胎児のように体を丸める

    彰人「なんだ、オレ……偉そうに、あいつのことを言えなかったんだな……」

    彰人:テレビに映っていた冬弥の顔を思い浮かべる

    彰人(お前は、前に進めて良かったな……)

    ~数日後~

    彰人「……は?」
    モブ「だから、またこの前のヤツから電話がかかってきてたって言ったんだよ」
    彰人「この前のヤツって……まさか、冬弥のことか?」
    モブ「そう、そいつ」
    彰人「……なんで、この前のヤツだって分かるんだよ、お前は電話に出てねえだろ」
    モブ「本人が言ってたからだよ、その節は大変お世話になりましたってな」
    彰人「……」
    モブ「一瞬なんのことだって思ったんだが、すぐにあの時お前がうだうだ言ってたことを思い出してな。こんな店に電話をかけてくるヤツにしてはすげえ上品な喋り方で、お前にお世話になったお礼に菓子折りを持って挨拶しに行きたいとか言うから、丁重にお断りをしたんだが……マジで変わったヤツだな」
    彰人「……」
    モブ「で、改めてお前を指名したいんだってさ」
    彰人「――……っ、……」

    彰人:瞬時に表情をこわばらせるも、動揺を悟られまいと強く拳を握りしめる

    モブ「……ったく、なんでそんなに指名が取れるんだよ、やっぱ顔か?」
    彰人「うるせえ……それで、お前はなんて答えたんだよ」
    モブ「まだ店には来てないっつって、出勤時間を伝えた……そろそろ、かかってくる頃かもな」

    彰人:タイミングよくコール音が鳴り、ビクリと肩を震わせて電話を見る

    彰人「……っ、……」
    モブ「噂をすればってやつだな、出ないのか?」
    彰人「うるせえな……今、出るっての……」

    彰人:硬い表情で受話器を持ち上げる

    冬弥『東雲さん、ですか?』
    彰人「……まだ、一言も喋ってないだろ。なんで、オレだと思ったんだよ」
    冬弥『同僚の方から、この時間帯に出勤するとお聞きしていたので』
    彰人「……」

    彰人:一瞬の沈黙の後、再び口を開く

    彰人「……つーか、タメ口でいいって言っただろ」
    冬弥『……そうだったな、すまない』
    彰人「……で、今日の用件は?」

    冬弥:彰人の無愛想な態度に一瞬無言になるも、すぐにふっと笑いをこぼす

    冬弥『わざわざ聞かなくても、分かっているんじゃないか?』
    彰人「……」
    冬弥『彰人を、指名したい』
    彰人「……っ、……」

    彰人:再び、ぎゅっと拳を握りしめる

    彰人「……お前のほうこそ、分かってんのか?」
    冬弥『なんの話だ』
    彰人「この前、話しただろ。今度こそ、オレを指名するっていうことは……」
    冬弥『彰人のことが、好きだ』
    彰人「――……っ!?」

    彰人:冬弥から二度目の電話を受けた時点で聞くことになると予想はしていたものの、一番聞きたくなかった言葉を耳にして表情を曇らせると、ぐっと唇を噛みしめる

    彰人「……」
    彰人(絶対に、聞きたくないと思ってた言葉のはずなのに……)
    彰人「……」
    彰人(本当は、その逆なんじゃないか……)
    冬弥『彰人に言われたとおり、あれからちゃんと考えた。最初から気の迷いなんかではないと思っていたが、そうしないと彰人が納得してくれないと思ったからだ』
    彰人「そうかよ……だったら、改めてオレを指名するっていうことは、この前みたいに話をするだけじゃ済まないってことも、ちゃんと分かってんだろうな」
    冬弥『ああ、むしろ俺はこの前そうしたかったのだが、彰人が止めたのだろう』
    彰人「そう、だったな……」
    冬弥『それで、彰人……』
    彰人「……」

    彰人:硬い表情を浮かべたまま黙り込む

    彰人(なに黙ってんだよ、オレ……言えよ、この仕事を辞めるって……嘘でも、そう言わねえと……)
    冬弥『……? 彰人?』
    彰人「……」
    彰人(そうしないと……オレなんかと関わったら、冬弥の人生の汚点になっちまうだろ……)
    冬弥『どうしたんだ、彰人……突然黙り込んで』
    彰人「――……っ!」
    彰人(言えって、オレ……!)
    彰人「あのな、冬弥……実は、オレ……」
    冬弥『なんだ?』
    彰人「……」

    彰人:冬弥と二度と会わなくて済むように嘘をつこうと口を開くも、再び黙り込む

    彰人(言わなきゃいけない言葉は、分かってる……その……はずなのに……)
    彰人「今から、そっちに行く……」
    冬弥『……! ああ、待っている……』

    彰人:受話器を置く

    モブ「色々と訳ありっぽいな」
    彰人「なあ」
    モブ「……? なんだよ」
    彰人「オレっていいヤツそうに見えるか?」
    モブ「まあ、外面だけはそう見えるかもな」
    彰人「……」
    モブ「どうしたんだよ」
    彰人「いや……オレのこと、よく知らないくせにって思ってな」
    モブ「はあ?」
    彰人「行ってくる」

    彰人:待機所を出る

    彰人(冬弥が見てるのは、オレの外面だけだ……多分、育ちのいいあいつにとって、オレは初めて接するタイプだったんだろう……きっと、そんなオレに上辺だけ優しくされて、好きになったって勘違いしてるだけだ……オレの中身を知ったら、絶対に嫌いになる……)

    〜冬弥の自室〜

    冬弥「好きだ、彰人」
    彰人「――……っ!?」

    彰人:冬弥の自宅の玄関で冬弥からの出迎えを受け、二人で冬弥の自室に入りドアを閉めると同時に言われた言葉に驚き、はっと息を呑む

    冬弥「本当は……電話で言わずに、こうして直接伝えたかった」
    彰人「……」
    冬弥「……」
    彰人「……」
    冬弥「彰人」
    彰人「……!」

    冬弥:数秒間の沈黙の後、彰人の名前を呼びながら一歩近づく

    彰人「……っ、来るな、冬弥……」
    冬弥「……」
    彰人「やっぱり、帰……」

    冬弥:踵を返してドアを開けようとする彰人の手を掴む

    彰人「あ……」

    彰人:今すぐこの部屋を出なければ……と、ドアノブを握った手に重なった冬弥の手を見つめ、反対側の手で肩を抱いてくる冬弥をゆっくりと振り返り、自分より背の高い冬弥の瞳を上目遣いで見つめる

    冬弥「……」

    冬弥:そんな彰人の瞳を見つめ返しながら、なんの躊躇もせずに唇を重ねあわせる

    彰人「ん……っ、……」
    冬弥「……」

    冬弥:お互いの唇が重なった瞬間、鼻にかかった甘い声を漏らしながら反射的に目を閉じた彰人に興奮すると、そのまま彰人の体をドアに押しつけて口内に舌を入れる

    彰人「……っ、ん……冬……弥……っ、は……あ……」
    冬弥「……」

    冬弥:彰人が自分を突き離そうとしている空気を肌で感じ取るも、彰人の抵抗の意思を完全になくさせようと口内を舌で犯し続けると、生まれて初めてのキスを堪能する余地もなくゆっくりと唇を離す

    彰人「……」
    冬弥「……」

    冬弥:目じりに涙を浮かべ、肩で息をしながらとろんとした表情で自分を見つめてくる彰人の顔を見つめ、理性の糸がプツンと途切れると同時に少しだけ乱暴に彰人の手を引くと、フラフラとした足取りで自分の後をついてくる彰人をベッドに押し倒す

    彰人「あ……」
    冬弥「……」

    冬弥:どこか頼りない雰囲気で自分を見つめてくる彰人を見つめ返しながら、シャツのボタンを外していく

    彰人「……っ、冬、弥……」
    冬弥「……!」

    冬弥:彰人に手を掴まれ、シャツのボタンを外す手を止められると、驚いたように目を見開く

    彰人「……っ、駄目だ……」
    冬弥「……」
    彰人「冬弥……頼むから、こんなこと……」
    冬弥「彰人」
    彰人「……?」
    冬弥「この間も今と同じように抵抗されて、その時は大人しく引き下がったが……彰人が働いている店がそういう店だとは知らずに電話をかけたその時とは違い、今度こそ本当に彰人を金で買った俺には、その対価としてサービスを受ける権利があるだろう」
    彰人「……っ、……」
    冬弥「……」

    冬弥:彰人の手の力がゆるみ抵抗力を失うと同時に、再びシャツのボタンを外していく

    彰人「……」

    冬弥:彰人のシャツのボタンを外し終えると、顕わになった素肌を見つめて、ごくりと喉を鳴らす

    冬弥「彰人……」
    彰人「なんだよ……」
    冬弥「彰人は、この仕事を嫌々やっていたのか?」
    彰人「……っ、そういう、わけじゃ……」
    冬弥「そうか……」
    彰人「……」
    冬弥「だとしたら、俺とするのをそんなにも嫌がる理由が分からないのだが……俺は、彰人を抱いてはいけないのか?」
    彰人「――……っ、……」

    彰人:先ほど浮かべた生理的な涙とは違い、鼻の奥がツンとするような感覚と共にじわりと目尻に涙を浮かべると、両腕で目元を覆い隠す

    冬弥「彰人?」
    彰人「……っ、お前に出会わなかったら、一生、気付かないふりをして生きていけたんだよ……」
    冬弥「……」
    彰人「本当は……こんな仕事、したかったわけじゃないって……」
    冬弥「……、彰人……」
    彰人「冬弥、オレは……どうしたらいい……」
    冬弥「……」
    彰人「……気付くのが、こんなに遅くなっちまった……」
    冬弥「……」

    冬弥:両腕で目元を覆い隠したまま嗚咽を漏らしはじめた彰人をじっと見つめるも、やがてゆっくりと顔を近付けると、彰人の唇にキスをする

    彰人「……!」

    彰人:目元が隠れた状態でも冬弥にキスをされたことを察知すると、ちゅっちゅっとついばむようなキスが幾度となく降ってくるのを大人しく受け入れ、やがて冬弥の顔が離れていくと同時に両腕を外し、赤くなった瞳で冬弥を見つめる

    冬弥「彰人、もう自分自身を軽蔑するのはやめてくれ」
    彰人「……!」
    冬弥「知り合ったばかりの俺には、彰人の過去に何があったのかは分からない……彰人自身についても、よく知らない……だが、俺を救ってくれたのは、他の誰でもなく、彰人だろう……」
    彰人「あ……」
    冬弥「俺は、ずっと……父さんの操り人形だった。そんな自分を悲観して、自分自身ではない、他の誰かの人生を歩んでいるようだと思ったりもした。だが、それも含めて俺自身の人生だと、そんな人生を歩む決断をしたのも他の誰でもなく俺自身だと、気付かせてくれたのは彰人だ……」
    彰人「……っ、……」
    冬弥「だから、今度は俺が彰人を救いたい」
    彰人「冬、弥……」
    冬弥「俺は、彰人のおかげで選ぶことができた……他の誰のものでもない、自分自身のものだと思える人生を生きるという選択肢を……だから、彰人も選んでくれ……」
    彰人「選ぶって、なにを……」
    冬弥「そう、だな……本当は、彰人が俺に俺自身の道を選ばせてくれたように、俺もそうするべきなのだろうが……」
    彰人「……」
    冬弥「……俺は、彰人のことが好きだ」
    彰人「……っ!?」
    冬弥「彰人は、まだ出会ったばかりなのに……と、思うだろうが、あの時彰人が俺にかけてくれた言葉は、俺が彰人を好きになるには十分すぎるほど、俺の心を打った」
    彰人「……っ、……」
    冬弥「だから、俺は……彰人のことをもっとよく知りたいと思った……これから先の人生を、彰人と共に歩んでいきたいと思った……しかし、それは彰人の同意なしには叶わない……だから、彰人が選んでくれ……俺の希望を叶えるか、それとも、今ここで俺を突き放すのかを……」
    彰人「……っ、突然、すぎんだろ……」
    冬弥「ああ」
    彰人「そのどちらでもない選択肢を選ぶっていう選択肢は、ないのかよ……」
    冬弥「ないな」
    彰人「〜〜っ、お前な、言ってることが、めちゃくちゃすぎんだろ……」
    冬弥「ああ、分かっている」
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    はなこ☕💞🥞

    MAIKING【冬彰】R18/冬弥が類にそそのかされて彰人を試す実験を行い、うっかりとSEXをしてしまう話(会話文)

    未完成(本文あり)
    完成後に再投稿するまでは全体公開で投稿させていただきます。
    未フォローの方が最後まで読める形で投稿することはありません。
    完成作品の投稿先→https://poipiku.com/5104364/
    ❏設定❏

    ・元ネタ→イベント『Rise as ONE』

    ❏本文❏

    類「――……と、いうわけで。東雲くんは、石原くんが相棒であるマックスくんを大事に思う気持ちを自分と重ねながら、ディスクドッグの大会で、大変素晴らしい結果を残したというわけさ」
    冬弥「――……」
    類「……? 青柳くん、さっきから硬い表情を浮かべているけれど、一体どうしたんだい?」
    冬弥「……! すみません、神代先輩が今話してくれたことが、少しだけ引っかかってしまって……」
    類「と、言うと?」
    冬弥「彰人が相棒を大事に思う気持ちに共感してくれたことに関しては、すごく嬉しいのですが、その……俺は、常日頃から、彰人の相棒思いな部分に甘えてしまっているな、と。その甘えは、信頼と言い換えることもできるかもしれませんが……俺は、これから先いつまで、そして、どこまで彰人に甘えてしまってもいいのだろうか、と……」
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