❏設定❏
・元ネタ→イベント『Rise as ONE』
❏本文❏
類「――……と、いうわけで。東雲くんは、石原くんが相棒であるマックスくんを大事に思う気持ちを自分と重ねながら、ディスクドッグの大会で、大変素晴らしい結果を残したというわけさ」
冬弥「――……」
類「……? 青柳くん、さっきから硬い表情を浮かべているけれど、一体どうしたんだい?」
冬弥「……! すみません、神代先輩が今話してくれたことが、少しだけ引っかかってしまって……」
類「と、言うと?」
冬弥「彰人が相棒を大事に思う気持ちに共感してくれたことに関しては、すごく嬉しいのですが、その……俺は、常日頃から、彰人の相棒思いな部分に甘えてしまっているな、と。その甘えは、信頼と言い換えることもできるかもしれませんが……俺は、これから先いつまで、そして、どこまで彰人に甘えてしまってもいいのだろうか、と……」
類「ふふ、なるほど……だったら、こんな実験をしてみるのはどうだい」
冬弥「実験?」
類「題して、東雲くんは相棒の頼み事をどこまで聞いてくれるのか実験、だよ」
冬弥「――……」
類「内容は、実験名のままだけれど……なにか質問はあるかい?」
冬弥「質問とは言えないかもしれませんが、彰人を試すような真似は、さすがに……逆に、相棒同士の信頼関係に、傷をつけてしまうのでは……」
類「ふふ、青柳くんはどこまでも真面目だね。だったら、一つ聞かせてもらうけれど……なぜ、そう思うんだい?」
冬弥「なぜって、それは……」
類「青柳くんは、相棒として東雲くんを信頼している。それは、東雲くんも同じで、君達二人は強い信頼関係で結ばれている……それは、まぎれもない事実だろう?」
冬弥「はい」
類「東雲くんのことを試すことによって、その信頼関係が壊れてしまうかもしれない……君はそう考えているのだろうけれど、その考え自体が、東雲くんを疑っていることになるとは思わないのかい?」
冬弥「――……! 言われてみれば、確かに……」
類「ふふ、青柳くん自身が言っていたじゃないか。信じあう者同士の甘えは、信頼と言い換えることができる、と」
冬弥「……」
類「青柳くんが東雲くんを試したくらいで、君達二人の信頼関係は壊れはしない、と……今は、そう信じようじゃないか」
冬弥「はい」
類(東雲くんを信じて、極限まで甘えさせてもらう実験、か……それが可能な関係であるとしたら、最初から実験をする必要はないと思うけれど……そのことは、青柳くんには言わないでおこうかな)
〜場面転換〜
冬弥(早速、神代先輩に提案された実験をしてみようと思うが……相手が誰であっても、簡単に了承できる頼み事では意味がない……ならば……)
冬弥:ポケットからスマホを取り出して、彰人に電話をかける
冬弥「彰人、今話せるか」
彰人『お前な、何時だと思ってんだよ』
冬弥「0時前だ、もう少しで日付けが変わってしまうな」
彰人『はあ……ったく、寝ようと思ってたところだが、少しだけなら大丈夫だ』
冬弥「そうか……では、今から会いたい」
彰人『……は?』
冬弥「今すぐ、彰人に会いたい」
彰人『――――…………』
〜場面転換〜
彰人・冬弥:深夜ということもあり、誰もいない公園のベンチに腰掛けている
冬弥「彰人、わがままを聞いてくれてありがとう」
彰人「あんな電話をかけてこられたら、断れるはずがねえだろ……それに、こんな時間帯に呼び出すなんて、なにか深刻な悩み事でもあるんじゃないかと思ってな」
冬弥「深刻な悩み事、か……そんな大袈裟な話ではないのだが、彰人に頼み事を聞いてもらいたくて呼び出した」
彰人「頼み事?」
冬弥「ああ、相棒としての頼み事だ」
彰人「……」
彰人:相棒として頼られることが嬉しいのか、わずかに口角を上げる
彰人「分かった……どんな頼み事かは知らねえが、言ってみろ」
冬弥「そうか……では、抱きしめてもいいか」
彰人「は?」
冬弥「彰人?」
彰人「え? あ、いや……今、なんて……」
冬弥「抱きしめてもいいかと、聞いたんだ」
彰人「いい、けど……」
冬弥「そうか、では……」
冬弥:彰人の体を数秒間抱きしめてから、すぐに体を離す
彰人「……」
冬弥「……」
彰人:怪訝な表情で冬弥を見つめる
冬弥:真顔で彰人の顔を見つめ返す
彰人「冬弥……今のは、一体……」
冬弥「次は、キスをさせてもらえないだろうか」
彰人「――……っ!?」
彰人:暗闇の中でもハッキリと分かるほど、勢いよく顔を真っ赤に染める
彰人「と、冬弥! お前、本当に何考えて……!」
冬弥「駄目か」
彰人「……っ!? ダ、ダメに決まって……!」
冬弥「相棒としての、頼み事でもか」
彰人「――――…………っ!」
冬弥「……」
彰人「……」
冬弥「今から、三つ数える」
彰人「は?」
冬弥「本気で嫌だったら、突き飛ばしてくれ。では、数えるぞ……3、2……」
冬弥:数字を数えながら、ゆっくりと顔を近づける
彰人「ちょ……っ、冬弥、待……!」
冬弥「1」
彰人「――……っ!?」
冬弥:一瞬もためらうことなく、彰人の唇に自分の唇を重ねあわせる
彰人「――――…………っ!」
冬弥「……」
彰人「は、あ……っ、ん……」
冬弥「……」
彰人「ん、ん……う……」
冬弥:何度も繰り返し唇を重ねながら、彰人の腰を抱き寄せる
彰人:いつの間にか冬弥の背中に回していた手で、冬弥の服をぎゅっと握り締める
彰人「……」
冬弥「……」
彰人・冬弥:ゆっくりと唇を離して、至近距離でじっと見つめあう
彰人「とう、や……」
冬弥「次は、体を触らせてくれ……」
彰人「――……っ、あ……」
~場面転換~
冬弥「――……っ! く……っ、彰、人……」
彰人「は、あ……っ、ん、あ、あ……っ、あ、ああ、ん……」
冬弥:公園のベンチの上で仰向けに寝かせた彰人の上に深く覆いかぶさりながら、激しく腰を打ち付けている
彰人「とう、やあ……っ、そこ、ば……っ、か……突く、な……って、あ、ああ、あ、ん……!」
冬弥(まさか、セックスまでさせてもらえるとは……)
冬弥:一度も頼み事を断られることなく彰人と体を繋げることに成功してしまい、『相棒としての頼み事だ』というキーワード一つで自分に体を許した彰人に対して、こんなに簡単でいいのだろうかと逆に心配になってきている