大好きな匂い 今日はコーサカは夜遅くまで外出で、おれは家に一人。
まあ、普段お互いの作業があるからずっと一緒と言うわけではないけれど、そんな今日に限って寂しい。
家の中は何も変わらない。プールの水の匂い、洗剤の匂い、温かなお日様の匂い。テーブルの置かれたコーヒーの匂いと、コーサカが飲み干した血の匂い。
そして、大好きなコーサカの匂い。
置いていったパーカーをそっと抱きしめる。
寂しい気持ちは、少しずつ満たされる。
秋だけれど今日は日差しが温かいのもあり、ベッドは暖かいし、大好きな匂いに包まれているから心地良い。
甘くて、温かくて、少しだけ血の匂いがスパイスになっていて、コーサカが腕の中にいるみたいに錯覚してしまう。
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