二日目一期は昨日の失敗を深く反省した。
普段の職務が菓子作りのみとはいえ、店頭に立ってしまえばそんなことは言い訳にしかならない。
「切り替えなければ」
今日も他の予約が入っていたはずだ。
早朝、自室を出ると、本丸内の厨では朝餉の支度が始まっていた。厨担当の数振りに挨拶をして玄関へ向かうと遠征前の刀が数振り居て、その中には鬼丸と二振り目の一期一振も居る。
「一期殿、おはようございます」
こちらに気付いた二振り目は、その笑顔に少し戸惑いを滲ませながらも挨拶をしてくれる。
「おはようございます。鬼丸殿、一期殿」
大丈夫だ。
ちゃんと笑顔を作れているはず。
二振り目は嬉しそうに微笑むのに対して、鬼丸はちらりと此方を見ただけで、あからさまに面白くなさそうな顔をする。
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