テントウ虫「ほら早く早く」
じいちゃんの手を引いて玄関へと急ぐ。朝からじいちゃんに浴衣(甚平ではあるが)を着せてもらい、今日一日ずっとワクワクしていた。
とは言え午前中は夏休みの宿題に朝顔の世話、昼飯にソーメンを自分でゆでたし、二重跳びは出来るようになったから、新しい技をあみだす特訓もした。
じいちゃんが帰ってくるまではいつもと変わらない日常。それでも今日はお祭りの日とあって、いつもやっている事がどこかキラキラしてみえた。宿題の時間だけはいつもと変わらなかったけど。
「引っ張るんじゃねぇ。鍵が閉められねーだろ」
早上がりしてくれたじいちゃんを少し休ませて、俺たちは祭りへと繰り出す。
すっかり夕焼け色に染まった道を歩くと、遠くにお囃子の音が聞こえてきた。
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