「先生ってオナったりする?」
「んー、悠仁がいるからねぇ」
「あー……まぁそうだよな」
自分から聞いといてなんだが、確かに先生と一緒に居る時は結構な頻度でシている訳で。しかも今日のように出張から帰って来た日は確実に濃いし長いしで、ホテルで一人って事もないのだろう。
「何悠仁、僕のソロプレイが見たいの?」
さっきまで俺の上で必死な顔をみせてた癖に、先生は枕に肘をついて意地悪そうな笑顔で俺を見る。
「いや、見たいか見たくないかと言われればそりゃあちょっとは興味あるけど……」
「けど?」
「今目の前にして見るのとは違くない?」
「なるほどそう言う事ね。ちなみに僕はどっちも美味しく頂けるから悠仁シテみてよ」
いい事思いついた! みたいな顔で嬉しそうに上体を起こした先生はフルチンのまま胡坐をかく。
「嫌だよ。今日はもうおしまい」
散々ヤって出るものももうないし、俺がオナってはい終わりとも思えない。仮にマジでそれだけだったとしても、折角先生と愛し合ったのにオナニーで終わりなんて寂しすぎる……から、シて欲しくなっちゃうだろうし。
俺はまだ火照る身体は服を着る気にもなれず、ささやかな抵抗として、大の字だった体勢から背を向けるに留めた。
「今日は、ね」
そう言って後ろでクツクツと先生が笑う。見られるの興奮するタイプだもんね? なんてわざとらしく耳元で囁きながら寝転がると、長い腕ですっぽりと俺を抱き締めた。
「そんなこと」
「あるだろ? 風呂場の鏡でよがってたじゃん」
「なっ」
思わず振り向けば唇が塞がれる。柔く優しいキス。
「本当に今日はもうおしまい?」
何度も騙されたその顔で迫られてちょっと意思が揺るがなかった事もないけど、俺は先生の方へ向き直り抱きしめ返す。
「そ、おしまい。次の楽しみにとっといてよ」
今度は先生が弱いであろう俺の必殺笑顔をお見舞いしてやる。次なんて言っといて、更々スルつもりもないけど。その時はまた上手く誤魔化されてくれるのを願うばかりで。
「それじゃあしょうがないね」
また一つ落とされたキスは諦め悪く何度も触れては離れ触れては離れを繰り返す。まるで俺の魂胆は見え見えだと言わんんばかりに。
「んもぅ、ほら寝るんだよ先生」
黄色い気持ちで満たされるけど、いい加減先生の口元を手で覆い押し返した。それでもなお指と指の間でもそもそと唇が動くから、擽ったくて手を離す。
弧を描く艶やかな唇が再び近づくより先に俺は唇を押し付けた。
「今のはおやすみのちゅー! だからもう終わり」
一瞬面食らった表情を見せた先生だったが、次の瞬間には何か言いたげな顔で笑っているのをスルーして俺はシーツを手繰り寄せる。
外はもう薄っすら夜が明けそうな気配を漂わせながら、俺たちは久方ぶりの揃いの休日を満喫する為に白の帳の中で体温を分け合った。