キスする星昴22カ所 #5【頬】【頬:親愛/厚意/満足感】
熱い温度で身体の輪郭がはっきりしていくのに、鼻の奥から満足感たっぷりの深い息が漏れだした。それはいま昴流の足の先にタオルを当てている、星史郎の形の良い耳へ届いたようで。
「気持ち良いですか?」
その声のほうが心地よい。いくら頑張って鍛えても、細さ変わらずの身で感じ取るには些か、濃厚すぎる快感に晒されて。疲弊しきっている心身に、撫でる声音はよく染みた。
「ほかに、拭って欲しいところは?」
ないですよ。ありがとうございます。
言おうとするのに声は随分とおくのほうにあった。かさついた喉がひっついて、どうも上手いこと機能しない。星史郎のとろんと眠たさが透ける美しい音色に、自分も同じ声でこそ応答したいのに悔しい。
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