夕焼けに向かって「後輩チャン。ボクと旅に出ませんか?」
いつもの放課後。いつもの通学路。だけどいつもと違う、先輩サンの言葉。ワタシはぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「旅行に?」
「いいえ。旅に、です」
旅と旅行、いったいなにが違うのか。律儀に訂正する先輩サンに内心首をかしげつつも、ワタシは迷わず差し出されていた手を取った。だって大好きな先輩サンからのお誘いだもの。断るなんて選択肢は持ち合わせていない。
「素敵な旅に連れて行ってくださいね、先輩サン」
「もちろんですよ、後輩チャン」
――グッバイ日常、ウェルカム非日常。さあ、夕焼けに向かって出発!