ふわふわの目覚まし時計 カーテンの隙間から差し込む陽射しにそろそろ起きなければと思いつつも、ベッドから離れがたい休日の朝――
まどろみに身を委ねる俺の頬に、ふと柔らかいものが触れたのを感じて意識が浮上する。なんだと思う間もなく、それは耳元へと移動してきた。
「ぶははっ! なんだよもう!」
あまりのくすぐったさに笑いながら目を開けば、枕元にゆらゆらと踊る二本の尻尾が。その持ち主はと見遣れば、小柄な猫又が丸まってスヤスヤと寝息をたてていた。
いつの間に侵入ってきたんだこいつ……。
起こされた腹いせに起こし返してやろうかとも思ったが、穏やかな寝顔にそんな邪気も削がれてしまう。
「……さて、起きるか」
俺は苦笑をこぼし、ウーンと伸びをした。
お題【朝】
(三〇〇字)