雪猫 このところ暖かい日が続いていたが、今日は突然の寒波によりすっかり冬らしくなり雪まで降る始末だ。
なんとはなしに外に目をやれば、そこはまさしく銀世界。
「ずいぶん積もったな……ん?」
眼下でなにか動いた気がした。目を凝らしてみれば、どうやら雪の上を白猫が歩いているらしい。
……いや、違う。
(猫又じゃねえか!)
見慣れた二股の尻尾がご機嫌に揺れている。白猫と見間違えるほど雪にまみれて風邪をひかないのかと一瞬思ったが、そうだアイツは妖怪だ。気にするだけ馬鹿らしい。
無駄な心配をするよりも、雪まみれで部屋に侵入られないようにするのが先決だ。
俺はため息とともに、タオルを取るため、なくなく暖かい部屋を出ていった……。
お題【白】
(三〇〇字)