Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    mxmxmxmx1517

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 2

    mxmxmxmx1517

    ☆quiet follow

    風神弓と斬馬刀が自我をもって擬人化されたお話。続きはおいおい書いていく予定です!
    いろいろご都合主義、风情のお戯れが見たい願望で書いてます。ゆるい気持ちで見て下さい!

    喧嘩は、ないない!仙京のとある一日。
    南陽将軍こと風信の、神武殿をも揺るがすほどの怒声が響く。

    「くそ!!馬鹿にするのも大概にしろ!!」

    「お前は頭が硬すぎる!!馬鹿を馬鹿にして何が悪い!!」

    南陽将軍に対するのは、玄真将軍こと慕情。二人は暇さえあれば喧嘩することで有名だ。
    その喧嘩は素手の殴り合いで終わるときもあれば……

    「おい、そこに立ってろ。お前のその減らず口を黙らせてやる」

    風信は手に法器・風神弓を握り、その特別な矢をつがえて狙いを定めた。

    「ふん、上等だ」

    向き合う慕情も、その手に鋭く長い法器・斬馬刀を構えて、せせら笑った。
    喧嘩の理由は実に"下らない"が、当の本人たちは至って真面目な力比べをしている。
    そしてその喧嘩は、夜まで続いた。

    「またやりあってるぞ」
    「南陽と玄真は懲りないなぁ」
    「あれで仙京の殿を壊したら、今年で何回目だ?」
    「霊文殿の神官がまた青ざめる……怖や怖や」

    神官たちは今日も神武通りを呑気に歩いていた。

    ――――

    そして明くる朝、南陽殿にて。
    風信は突然のことに、尻餅を付いて固まってしまった。

    「くそったれ!誰だ!どこから来た!!!」

    叫びを聞いて駆けつけた南陽殿神官たちは、風信を見守りつつ、何もできない状態である。
    風信の目線の先には、なんと齢四つほどの子どもが、腕を組んで立っていた。
    その子の鳶色の髪は南陽将軍と同じように団子のように結われ、子どもながらに服は一丁前の出で立ち。天界にこんな子どもはもちろんいない。
    南陽殿神官はおろおろと焦った様子で、二人を見守っていた。

    「なんやん将軍!」

    その子どもは高らかにそう声を上げると、風信に歩み寄り律儀に供手をしてみせた。だがその後すぐにまた腕を組んでふんぞり返った。

    「おれは風神弓!」

    「…………は?」

    風、神、弓……?
    それは南陽将軍が扱う法器の名ではないか。それとこの子に接点があるようには見えない。
    風信は思わず悪態をつきそうになるのをこらえながら、眉間を押さえた。

    「待て、それは私の武器の名だ。お前とは関係がない。それよりも、お前はどこから…」

    「ざんばとーはどこにいるの!?」

    「…!!??」

    風信はまったく頭の理解が追いつかず、呆気にとられた。助けを求めるように周りにいる神官たちを振り返るも、首を左右に振るばかり。それに何故、よりによって斬馬刀の名を?風信の頭には疑問符ばかりが浮かぶ。
    可能性としては低いが、万が一人界や鬼界からの迷子なら、早急に霊文殿に報告もせねばならない。

    「だから、お前はどこから来たんだ?教えてくれ」

    「斬馬刀に会いたい!!」

    何を聞いてもその一点張り。
    風信は子どもの扱いには慣れておらず、何をどうすればいいのか分からない。

    「あーーーくそ!!話が通じない!!慕情!慕情を呼べ!!!!」





    時は同じく、玄真殿にて。
    玄真殿神官たちは、厳かに朝の清掃で慌ただしくしている。慕情は朝の瞑想を済ませてから、庭園で稽古をしようと斬馬刀を手に持とうとしたときだった。

    「………ん?」

    いつものことながら目を閉じて念じれば長柄の刀が現れるはずだ。しかし今手のひらに感じるのは、柔らかくてもちもちした、温かい動物のような…

    「しぇ、しぇ……しぇ、しぇじぇん将軍!」

    足元から聞こえてくる、舌足らずの幼き声。
    慕情ははっとして見下ろせば、そこには丸い目の齢四つほどの子どもがこちらを見上げていた。

    「うわ!!??誰だ!!」

    慕情は数歩飛び退り、声を上げた。
    その子どもは丸い目をそのままに無の表情で、ただ驚きもせずに突っ立っている。
    他の神官たちは、黙々と掃除に夢中で出来事に気づいていない。

    「ど、どこの子だ!裴茗か!!」

    「ちがうよ、おれ斬馬刀」

    「は!!??」

    斬、馬、刀?
    無機質に子どもが言う言葉の意味を、慕情は信じられないという様子でぽかんと口を開けた。

    「何故、それがわかるんだ?」

    「おれの名前だもん」

    「???」

    少し冷静になろうと首を振り、慕情は子どもの近くまで行ってしゃがみこんだ。

    「迷子だな?家はどこだ?」

    「ちがう、おうちない」

    「ないだって?母君や父君は?」

    「いない、しぇじぇん将軍のところがかえるところ」

    慕情は引きつった作り笑いをしながらも、頭には疑問符ばかりが浮かぶ。私の知らないところでいつの間にか子どもが?いや、絶対ない。

    「ふうじんきゅーはどこ?」

    「……?風神弓のことか?」

    「うん、おれのともだち」

    さっきまで無機質だった瞳が、その時だけきらりと輝く。慕情は顎に手を当て、うーんと一人でに唸った後、ぽんと手を打った。

    「まずは霊文殿に報告を。ついて来なさい」

    慕情は立ち上がると、小さな手を握って霊文殿へ向かった。子どもは大人しく手を握り返し、並んで歩いた。
    その間も、玄真殿神官たちは掃除に夢中で気づかないままだった。


    ――――――

    「斬馬刀はどこーーーー!!」

    霊文殿への道の途中。
    天界に似つかわしくない子どもの叫び声が響いた。

    「でかい声を出すな!!怪しまれるだろう!!こっちだ!!」

    その後に続いて、天界では聞き馴染みのある風信の声が聞こえてきた。

    「ふん、でかい声はお前のほうだろう。耳障りだ」

    慕情は霊文殿のへの入口前で、その声の主に向けて冷ややかに言い放つ。風信は例の子どもの手を握っていたが、案の定好かれていないようだった。

    「あ!刀刀(ダオダオ)!!」

    「……弓弓(コンコン)だ」

    自称風神弓の子は風信の手を離し、慕情のほうへ駆け寄る。一方、自称斬馬刀の子は慕情をちらっと見上げる。慕情が行っていいぞと頷くとその手を離し、風信のほうへ駆け寄った。

    「……やはりお前のとこもそうだったか」

    溜息混じりに慕情は風信へ向けて声をかけると、風信は気まずそうに顔を顰めながら、手を取り合って再会を喜ぶ子ども二人を見つめた。

    「あぁ、よくわからんがお前の法器に会いたがっていた。それに一番問題なのは………法器の存在を全く感じない。一体これはどういうことだ」

    「まずは霊文殿へ。……何か知ってるかもしれない」

    二人は神妙な面持ちで顔を見合わせると、子ども二人をそれぞれ引き連れ、霊文殿の門をくぐった。


    ――――――

    「これは………法器に宿る霊が、何らかの理由で具現したものでしょう」

    霊文は奥の書物庫から取り出した、過去の文献資料である古い書物を風信と慕情に示した。

    「霊が具現してる間は法器が使えなくなりますので。お二人には申し訳ありませんが、討伐任務はしばらく与えられません」

    霊文は相変わらず疲れた様子ではあるが、淡々と両将軍へ簡潔に伝える。

    「法器を使えない?それでは困るだろう」

    「早く解く方法はないのか?」

    風信はいらいらしたように身を乗り出し霊文に詰め寄り、慕情は腕を組んだままさらに詳細を聞き出そうとしている。その間、弓弓と刀刀は手を繋いで大人しく二人の様子を見上げていた。

    「これは妖術ではありませんので、時が経てばじき戻るでしょう。法器が使えないだけで、法力の消耗には問題ありません」

    風信と慕情は黙って聞きながら、傍らで行儀よく並んで待っている二人の子どもを見下ろした。とても法器の霊という風格を感じない、可愛らしい子どもだった。
    霊文は溜息をつきながら、片手で眉間を押さえた。

    「任務に行けない間は霊文殿もそれなりに対応を致しますが………貴方達、昨日も仙京にある数箇所の金殿を破壊してますね?正直なところ……貴方達の法器云々より、その補填をどうなされるかを心配しています。これを機に、法器の霊がもとに戻るまでの間……彼らと"謹慎"してください」

    「………」

    霊文の口振りには、絶対的に逆らえない何かを感じ取った風信と慕情。その表情は、鍋底の如く暗かった。





    「何故こんなガキと、謹慎しなきゃならないんだ!!くそ!!」

    「なんやん将軍!!下ろして〜!」

    「うるさい!!我慢だ!!」

    霊文殿を出た風信は、ひとまず弓弓を不器用に抱えてそそくさと南陽殿へと向かう。こんな姿、他の神官に見られてはたまったもんじゃない。

    「うわぁぁん刀刀と一緒がいい〜〜〜」

    「静かにしろ!」

    声をあげる二人を傍目に、慕情は大人しい刀刀を手慣れたように抱き上げつつ、せせら笑った。

    「まったく騒々しい。子ども一人手懐けられんとは」

    「……お前のとこのは何故そんなに大人しいんだ?」

    「ふん、日頃の扱いがいいんだ。どうせろくに手入れもしてないんだろ」

    「なに!?俺を何だと思ってる!?」

    風信は暴れる弓弓を抱えたままに、慕情に掴みかかろうとした。だが慕情はそのままひらりとかわし、冷笑を向ける。

    「くそ!!昨日といいお前のその口には心底うんざりだ!!本気で黙らせてやろうか!?」

    「お前こそ何も考えず、勢いだけでものを言うだろう。そういうところが考え無しだと言っている!」

    「黙れ!!」

    勢い込む風信と慕情は、構いなしに声を荒げる。弓弓と刀刀はそれぞれの主に抱えられながらも、不安げな視線でおろおろと様子を観ていた。

    「慕情!!今日こそは決着をつけてやる!!」

    「あぁ望むところだ!!」


    「「だめーーーー!!!!」」


    二人分の幼き声が、仙京に響く。
    一瞬、時が止まったように静かになった。
    風信と慕情は、それぞれの法器の霊を見つめる。

    「急に大きな声を出すな!!」

    「どうしたんだ!?」

    弓弓と刀刀は、真っ赤な顔をして頬を膨らましている。
    そして怒ったようにそれぞれ将軍の腕から飛び降りて、一定の距離を取る。風信と慕情は、呆気にとられて彼らを見た。

    弓「喧嘩はだめ!」

    刀「喧嘩はないないして!」

    弓「喧嘩したらおれたち怒る!」

    刀「喧嘩におれたち使ったから怒ってでてきた!」

    弓「仲良くしてくれないとおれたち戻れない!」

    刀「将軍、法器つかえない!」

    交互に叫ぶのを聞いて、風信と慕情はぽかんとして顔を見合わせる。
    なんだ、これは……一体この子たちはなんなんだ……!?



    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺🙏🙏☺💗🍼💗🍼☺☺☺🍼☺😊👍👍👶👶👀👀👬👬👏😀😀😂😂👏👏👏💖💖💖☺💖👦👦👃👃😀😁😂😍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works