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    nighthawks_l

    @nighthawks_l

    雨想がすきです

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    nighthawks_l

    DOODLEいつか作品にしたいパイレーツ捏造モリモリ小説!まだ肉付け前ですが載せちゃう。ほんのりヒュチャ(雨想)です
    あの夜から、どれだけの時間が経っただろうか。
    暗い闇の中、幽霊船は永遠に近い時間を彷徨い続けていた。感じるのは船の揺れと波の音だけ。あたりは真っ暗だが、波や風はずっと穏やかだ。進んでいるのか止まっているのかも分からない。
    何もない、何も──この身体になってから、食事も睡眠も必要なくなった。思いつく暇つぶしは最初の数年でぜんぶ終えてしまって、あとはただ、何もない日々の記憶で過去が上書きされてゆくだけ。こんな暮らしを続けているとかつての人格も何もかもが曖昧になるような心地がして、だから、この船は、在りし日の美しい姿のまま、少しずつ狂っていったのだろう。

    最初に"消えた”のはエドワードだった。彼はこの船の航海士をしていた青年で、一番最初にこの生活に根を上げた。憂鬱に飲み込まれて船室から出てこなくなって、数ヶ月だったか数年だったか──皆が彼の名前すら忘れてしまった頃、ふと疑問に思ったフリオが開かずの間となっていた彼の船室の扉を開けた。ずっと動かしていないにもかかわらず、錆びついた音も立てずにゆっくりと開いた扉の先には、大量に積まれた書籍のみがあって誰も居なかった。
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