番外編 音楽室のゴースト・エレジー八月の半ば、外では痛いくらいに太陽がじりじりと照りつけている。九十九古書堂の入り口に吊るされた風鈴はピクリとも動かない。お客さんが少なければ扇風機の風もよく通って幾分か涼しいのだが、五人の学生のお客さんが来店している今はそうもいかなかった。
「想楽っちは何か怖い話ないんすか?」
「探偵の助手ってすげーの知ってそう!」
「殺人事件とか!?」
「ちょっと、落ち着いてー。僕がバイトを始めてから殺人事件を解決したことなんてないよー」
「なんだぁ……」
「ちょっと皆さん、本屋では静かにしてください」
旬くんが眉を顰めるとカウンター奥の机から一希先生が顔を上げた。
「別に、構わない。他にお客さんも居ないしな」
古書店はいつも通り閑散としていて、この子たち五人の他には誰も来ていなかった。
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