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    nmc29bananaxxx

    @nmc29bananaxxx

    君と篤に飢えた妖怪
    なんでも食べる
    絵とSSS無節操にぽいぽいする

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    nmc29bananaxxx

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    篤が君にご飯作ってあげる話ばっかり書いてる

    赤い丸が消えるとき《今、何をしていますか》
    《どこにいますか》
    《誰といるんですか》
     そんなどこかの歌詞みたいなメッセージが、毎日のように寄越される。
    《メシ食ってた》
    《家》
    《誰もいねーよ》
     俺もそのたびに似たような短文を返し、アイツは一通り満足したのか既読無視。そして、さて寝ようかと思った頃に電話がかかってくる。どんなに忙しくても、顔を合わせない日が続いても、君島は俺の動向を把握しないと気が済まないらしく連絡を欠かさない。
     けれど、それが突然ぷつりと途切れることがある。演技の仕事のときだけは、役に入るためにアイツは一切のやり取りを絶つ。メッセージだって未読のままだ。
     本当に、勝手なヤツ。

    《今日は鯖の塩焼きときんぴら》
    《ホワイトシチューとマカロニサラダ》
    《担々麺 色が良いだろ?》
     未読のメッセージが、毎日少しずつ増えていく。いっそのこと飯テロ連投してやろうと、俺は献立と写真を読まれもしないトーク画面に投げていった。それはアイツが前に美味しかったと言っていたメニューばかり。別に腹いせのつもりなんかじゃない、ただの暇つぶしだ。料理は趣味でも得意なわけでもないが、いつの間にか自炊の割合が上がっていったのも、多分君島のせい。撮影が終わってスマホを開いたとき、あの男はどんな顔をするんだろうと想像するのが、意外と楽しかったりする。

     今日でとうとうクランクアップ。夜には帰ってくると言っていたから、アイツの好きなパエリアでも用意してやるか。そう思ってトーク画面を開いた瞬間、メッセージが一気に既読になった。リアルタイムで送っているときは、数秒もかからず返信が来る。だが、この一分程度の時間で俺のくだらない一言や写真を逐一追っているのだろうと考えると、どうしても笑いが込み上げてきてしまう。そろそろか、というところで、けたたましい着信音がリビングに鳴り響いた。
    「……よお、いい加減お前が寂しくて泣いてんじゃねえかと思ってたぜ、君島ぁ」

    End.
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    nmc29bananaxxx

    MEMO📕のアレ 月+篤 ちょっと🗼🗼匂わせ
    さして興味はない、が 目当ての本を無事購入し、越知は都内の街並みを歩いていた。ふと、特大広告が目に留まる。
    (君島か)
     近頃の君島は芸能人としての人気がますます高まっているようで、そこかしこで彼の姿を見かけるのだ。相変わらず活躍しているようで何よりだと思いながら、スマートフォンを取り出してカメラを起動させた。
    (……悪くない)
     人が写り込むことも、光の反射が入ることもなく、なかなか良い写真が撮れたのではないか。だからと言ってどうということもないが。スマートフォンをポケットにしまい、また足を進めるとカフェが目に入った。少し休憩でもするかと、店内に入りコーヒーを注文する。
     一息ついたところで、先ほど撮った写真を思い出した越知は再びスマートフォンを手にし、トークアプリを起動させた。通知の一番上にあるトーク画面に、写真を送信する。ほどなくして『新しいCMのやつですね!めっちゃかっこいいです!』という返信と、キラキラと目を輝かせるうさいぬのスタンプが送られてきた。越知はこうして、君島を慕う後輩のためにときどき写真を送ることがある。そのたびに良いリアクションを返してくれるから、口角も上がってしまうというものだ(喩えそれが誰にも気づかれない程度だとしても)。
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