5. 首輪付きになりました「だから、彩胡はあなたの子ですよ。なんで疑ってるんですか」
突然の言葉に瑞月は混乱していた。
言い捨てて、ぷい、とそっぽを向いた猫猫の頬が心なしか膨れているように見える。
「ど、どういうことだ?」
「どう、って、そのままの意味ですよ」
瑞月は金魚のように口をぱくぱくとさせ、二の句を継げずにいた。
「だ、だがあの時…」
「そんなに私が浮気したことにしたいんですか」
「ち、違う、そうじゃない。あの頃、おまえは俺に知られないように男と会っていただろう」
瑞月の言葉に猫猫は眉を顰め、何かを考えているようだった。そして何かに思い当たったようで、「ああ、陸孫か」と小さく呟いた。
聞いたことのない男の名前に瑞月は奥歯を噛み締める。
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