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    エスパータイプ使いの参と、悪タイプ使いの肆のバチバチポケモンバトル


    ※全部捏造です。
    ※メンバーを同名で登場させていますが、「こんな役を演じて欲しいな〜」くらいの気持ちで書いてます。当然ご本人とは関係ないですし、ご本人のパーソナリティに言及するものでもありません。
    ※ポケモン及びバトルは色々と都合良くなってます。

    さあ いますぐ勝負レイはメタグロスから飛び降り、フィールドに降り立った。メタグロスの着地を確認すると、レイはその鋼鉄の肌に手を添えて労った。
    風に呼ばれて前に向き直る。視線の先にはケイゴとワルビアル。ケイゴはサングラスを傾けてレイを視認する。ワルビアルは雄叫びをあげた。激しい風圧を感じながらも、レイはポーカーフェイスで目を細めた。

    「…来たよ」

    ケイゴは頷き、両者ボールを構える。

    「対戦よろしくお願いします」

    ケイゴがサングラスを後方に投げたのを合図に、2人はボールのボタンを押す。
    始まるは5vs.5のダブルバトル。闘う理由はただそうしたかったから。ケイゴは高揚に唇を舐め、レイは冷静に息を細く吐いた。

    「ピカチュウ!ドンカラス!」
    「ドータクン、キュウコン」

    フィールドに互いのポケモンが繰り出される。レイが手首をくいと曲げてケイゴを挑発した。それに敢えて乗り、ケイゴの伸ばす右手の指揮でピカチュウとドンカラスは駆け出した。

    「ドンカラス、バークアウト!ピカチュウは電光石火で突っ込め!」

    声を聞くや、ドンカラスは上空へ急上昇。怒鳴りつけるようなけたたましい鳴き声が、ドータクンとキュウコンを襲う。その隙をついてピカチュウが弾丸のようにキュウコンに体当たりをする。

    「キュウコン、鬼火」

    キュウコンは体勢を崩しながら、指示通りゆらめく鬼火をピカチュウに飛ばす。ピカチュウは身を焼く炎の熱さに悲鳴をあげ、火傷を負った。ケイゴの表情の曇りを感じ、レイは口角を一瞬上げた。すぐにポーカーフェイスを取り戻し、腕を後ろで組み直す。

    「ドータクン、ラスターカノンをドンカラスに」

    上空を舞うドンカラス目掛けて、ドータクンは光線を発射する。

    「ドンカラス!」

    ケイゴは指先で上空の航路を描き、ドンカラスはそれを高速で辿った。急旋回に照準が定まらず、ドータクンのラスターカノンは空に吸い込まれた。仕返しにドンカラスは悪の波動をドータクンに撃ち込む。効果抜群、ドータクンは地面に体を打ちつけた。

    「!」
    「ピカチュウ、追撃のボルテッカーだ!」

    勇ましくピカチュウが呼応し、眩しい電撃を見に纏った。火傷で攻撃力が下がっていて尚、その電撃の威力の凄まじさにレイは息を呑んだ。ドータクンはダメージから身体を起こせずにいる。あのボルテッカーを防ぐなら、相応の力をぶつける必要があった。

    「キュウコン、オーバーヒートでピカチュウを止めて!」

    ドータクンの前に庇うように飛び出し,キュウコンも全力の炎を纏う。ピカチュウに向けて発射させる。電撃と火炎の衝突に轟音が鳴る。ピカチュウは反動でダメージを負い、キュウコンは息を切らし力を消耗させていた。キュウコンが作った隙にドータクンは起き上がり、レイの指示を待つ。無傷のドンカラスは上空から挑発するように鳴いていた。

    「ドータクン、重力」

    ドータクンの赤い目が光り、フィールド上の重力が増した。ケイゴは突如重くなった大気に押されて片膝をついた。ドンカラスも重力に耐えきれずに急降下、地面にめりこんだ。
    同じ圧を感じながらも、レイは直立で後ろに手を組んだまま、冷たい目で相手を見下ろした。まるでレイの前に全てが跪いたようだった。

    「…ほんと好きだよね、これ」
    「…」

    ケイゴはニヤニヤとした笑みを絶やさぬまま、レイを見上げた。レイはそれに敢えて反応することはなかった。

    「キュウコンはピカチュウに"たたりめ"。ドータクン、次はよく狙って」

    同じく動きが鈍ったピカチュウにキュウコンは"たたりめ"を繰り出した。消耗していると言えど、火傷をした身にそのダメージは堪えたようだ。間を開けずにドータクンは再びラスターカノンの照準を地に落ちたドンカラスに定める。ドンカラスはまだ重力に慣れず、動くことができない。

    「ごめん、頼むピカチュウ!」

    ケイゴの目配せの意味を正確に理解し、ピカチュウは光線とドンカラスの間に飛び出した。発射された光線のエネルギーを一身に受け、ピカチュウは地面に転がった。戦闘不能だ。戦う体力を失った瀕死のポケモンは自動的にボールに戻っていく。ケイゴは身体を起こし、ボールを額につけて詫びた。

    「絶対に無駄にはしない。行こう、ワルビアル!」

    ケイゴの後ろに控えていたワルビアルが代わりにフィールドに勇み出る。レイはその一連の間、僅かな違和感の正体を探っていた。ケイゴもピカチュウも仲間想いだといえど、まだ重力に慣れず動けないままでいるドンカラスよりも、手負でも動けるピカチュウを場に残した方が有利だったのではないか。これは真剣勝負、非合理的な判断は勝敗を狂わせる。ケイゴもそれは分かっていて、敢えてピカチュウに庇わせる選択をした。何か、ある。レイは顎に手を添え、じっと様子を伺った。ドータクンは容赦なく重力の出力を上げ、キュウコンは毛を逆立てて鬼火を周囲に浮かべる。
    ワルビアルは重力をものともせず、ドンカラスに近づいていった。ケイゴは好機に口端をあげる。

    「ドンカラス、辻斬り!」
    「な、」

    辻斬り?ドンカラスの位置からはキュウコンにもドータクンにも届かない。一体、誰に?まさか!
    レイが弾かれたように顔を上げた。しかしもう遅い。ドンカラスの辻斬りはワルビアルの体側に命中する。ドンカラスの強運でそれはワルビアルの急所に当たり、その怒りのツボをついたのだ。ワルビアルは咆哮し、怒りに力を開放させる。その勢いのままにワルビアルは、フィールドの岩を投げつけた。相手の2体同時に攻撃できるワルビアルの得意技、"岩雪崩"だ。

    「キュウコン、ドータクン!」

    岩が命中した2匹は立ってはいられず、そのままダウンした。一気に2匹を失い、相手は攻撃力が最大のワルビアルがいるという状況に、レイはギリと奥歯を噛み締めた。味方を攻撃してバフをかけるなんて発想はレイにはなかった。ケイゴの型破りな発想と、それに応えるポケモンの信頼関係。敵ながら素直に素晴らしく思うと同時に、今はその巧みさが憎らしい。

    「…巻き返すよ、メタグロス!ヤミラミ!」

    まだドータクンの重力が場に残っているせいか、ワルビアル迫力のせいか、重い雰囲気がフィールドには漂っていた。ケイゴからしたらほぼ盤面は理想的。ヤミラミは搦手が厄介だが、小柄で力が脅威なポケモンではないし、メタグロスは強力だが、ワルビアルに対しては相性が絶対的に不利だ。
    レイはここからこの状況をどう巻き返すつもりなのか。ケイゴはわくわくしていた。

    「まずはあいつを封じる!」
    「させないよ!ドンカラス、挑発!」

    レイのヤミラミは、宝石の目をぎらつかせてドンカラスに対峙した。挑発を受けたポケモンは攻撃技しか撃てなくなる。ヤミラミは悪戯心の特性も相まって変化技を得意とする。だからケイゴはそれでレイの戦略を挫く算段だったが、

    「ヤミラミ、ワルビアルに向かっていけ!」

    挑発を受け、勢いのままにワルビアルを駆け出すヤミラミ。ワルビアルを撹乱するように周りを素早く移動する。今のワルビアルの攻撃が1発でも命中すればヤミラミは即瀕死になるだろう。ヤミラミとレイはそれを分かっているからこそ、隙を伺っていた。ちょこまかと周囲をうろつくヤミラミに痺れを切らしたようにワルビアルは咆哮した。

    「ワルビアル、待って!」

    怒りに既に我を失っているワルビアルはケイゴの制止を聞かず、岩を持ち上げ岩雪崩の構えをとった。

    「今だ!ヤミラミ」

    ヤミラミはケタケタと笑いながら、ワルビアルの大ぶりの岩雪崩を躱す。それだけでなく、巧みな誘導でワルビアルの手元を狂わせ、気がつけばその攻撃はワルビアル自身に命中していた。所謂、イカサマだ。ワルビアルの攻撃はそのまま自分に返ってくる。技の相性が今ひとつであったおかげでワルビアルは耐えることができたが、大ダメージであることに変わりなかった。まさか、ヤミラミの方が攻撃してくるとは。予想が外れて、1発喰らわされてケイゴは身体が震えた。
    ワルビアルはダメージを受けて首を振って正気を取り戻した。怒りに呼吸を荒げながらも、幾分か冷静になったようだ。
    レイは雨を見るように手のひらを浮かべた。ドータクンが遺した重力は直に消えるだろう。ならば。

    「ドンカラスを仕留めろ、メタグロス」

    メタグロスは見た目に似合わない速度でドンカラスに距離を詰める。そして、鋼鉄の柱のような腕を弾くように振り下ろした。メタグロスのバレットパンチは無慈悲にドンカラスを地にめりこませる。
    ドンカラスは戦闘不能と処理され、赤い光となってケイゴの元へと戻っていった。

    「メタグロス、鉄壁」

    その隙にメタグロスは自らの防御を固める。思惑が通っても油断せずに抜け目ない指示を出すレイ。そこには微塵の驕りもなく、少しでも自分の優位な状況を作る貪欲さがそこにあった。
    お互い2匹を失い、互角の状況。
    ケイゴが次に繰り出すのはミミッキュだ。ピカチュウの絵を描いたボロ布を被った小さなポケモンは、ただならぬ不気味さを漂わせていた。場を支配していた重力が消えて、ケイゴは首を鳴らした。

    「…やっと身体が軽くなった」

    ケイゴは右手を正面に突き出し、2匹に指示を出す。

    「ミミッキュ、ワルビアル!メタグロスに一斉攻撃だ!」

    ヤミラミにはまだ挑発の効果が効いている。おそらくあのヤミラミにはイカサマしか攻撃技がない。であれば、メタグロスの方が脅威だ。

    「ミミッキュ、嫉妬の炎だ!」

    ミミッキュが紫色の念を纏い、メタグロスの眼前に飛びかかる。レイは思わず舌打ちをして、ヤミラミにミミッキュを止めるように目配せをする。ヤミラミがミミッキュにイカサマを仕掛け、ミミッキュにダメージを誘導したが、それはミミッキュの化けの皮に透かされてしまう。
    メタグロスは動けず、嫉妬の炎に身を焼いた。効果抜群、その上先ほど鉄壁で防御力が上がっていたことでその炎はメタグロスの火傷を負わせた。
    悲観する隙も与えずに、後続のワルビアルがメタグロスを噛み砕かんと迫る。
    レイはギリと奥歯を噛みしめる。

    「…奥の手だ、メタグロス!」

    メタグロスはレイの命令を忠実に受け取り、銀色に輝く光を額に集める。まるで己を構成する鋼鉄のような煌めきを光線にしてワルビアルにぶつけた。ワルビアルはモロに受け、そのまま後ろにドシンと倒れた。メタグロスは光線の反動で体勢を崩した。奥の手の鉄艇光線は、メタグロスにも相応のダメージが反動として返ってくる。

    「…っ、ありがとう、ワルビアル」

    ケイゴは起き上がらないワルビアルをボールに戻した。ケイゴの手持ちは、場に出ているミミッキュと残り1匹。相棒を宿したボールを握る手に力が籠る。

    「絶対に負けない」

    そう呟き、ケイゴはブラッキーを繰り出した。ブラッキーは金色の模様を怪しく光らせ、姿勢を低く構える。
    残数有利であるレイも、決して余裕はなかった。予定外にダメージを食らわせてしまったメタグロス、ヤミラミ、そして残る1匹も相性は悪い。
    勝負も詰めの盤面。ケイゴはアドレナリンに踊らされて上がる心拍数に、思わず胸を押さえて不敵に笑う。レイはポーカーフェイスを保つのも忘れて、戦意を視線にこめてフィールドを睨みつけていた。

    ヤミラミが我に返り、レイに向けて振り返る。挑発が解けたのであれば好都合。瞬時に計算して、負け筋を潰すシミュレートを行う。

    「ヤミラミ、メタグロスと痛み分けを」

    火傷と光線の反動ダメージを受け、四つ足を崩したメタグロスにヤミラミがそっと寄り添い、手をかざす。2匹は体力を分かち合い、相対的にメタグロスは回復した。

    「…そういうのもあるのね」

    要塞であるメタグロスがこのタイミングで回復するとは。絶望に冷や汗が垂れる。でもそうこなくては。

    「僕だって、負けるつもりはないから」
    「上等!」

    レイの感情が乗った声に、ケイゴは嬉しくなる。レイも険しい真剣な顔をしながら、その目は輝きに満ちているのがわかるから。

    「痛み分けなら、その分ヤミラミは消耗をしているはずだ!ブラッキー、悪の波動!」

    ブラッキーの額の金色の輪が光り、黒いもやのようなオーラが発動する。そのオーラは息をする間にエネルギーの塊としてヤミラミに飛ばされる。一身に受け、ヤミラミは怯み一瞬動きを止めた。

    「メタグロス、バレットパンチ!」

    ヤミラミを庇うようにメタグロスはブラッキーに突撃し、重い腕を振り下ろした。ブラッキーは咄嗟に躱わしたが、攻撃の衝撃で生じた砂煙を浴びて隙を見せた。好機と見たメタグロスの追撃を、ミミッキュのシャドークローがいなした。立て直したブラッキーが距離を取ろうと後ずさった先にはヤミラミが立ちはだかっていた。

    「ブラッキー!避けなくて良い、突っ込め!」

    ケイゴの指示通り、ヤミラミにぶつかる勢いでブラッキーは突っ込んだ。そこに居たはずのヤミラミはふっと空気の中に消えた。

    「へえ、よく見破ったね」

    消えたそれは、ヤミラミの影分身だったのだ。ケイゴはヤミラミの本体を探す。砂埃に紛れてブラッキーの背後に立つ紫の気配。

    「ブラッキー、そのまま走れ!」

    ヤミラミの手が触れる直前で、ブラッキーは駆け出した。消耗したヤミラミはブラッキーと痛み分けをしようとしていたのだ。あの手に触れれば、無傷のブラッキーは相対的に体力を減らしてしまう。ヤミラミはブラッキーに触れるべく、影分身で撹乱させながら迫る。まるで鬼ごっこのようだ。

    「ミミッキュ!影撃ちでヤミラミの分身ごと全部攻撃だ!」

    ミミッキュはその場で力を込め、自身の影を数方向に飛ばした。

    「それならヤミラミ、ミミッキュにイカサマだ」

    黒い影がヤミラミの分身を捉え、次々と分身を闇に沈める中、本体は避けながら巧みに攻撃をミミッキュに誘導する。

    「ミミッキュ、ヤミラミの動きをよく見て」
    「無駄だよ、逃がさない!」

    影と影が絡まり、衝突する。ミミッキュはイカサマによって自らの攻撃の矛先をすり替えられたのを、また新たな影をぶつけることで相殺した。

    「ミミッキュ、シャドークロー!」
    「メタグロス!」
    「なっ!?」

    ヤミラミのイカサマを掻い潜ったのを好機に、攻め込むミミッキュ。しかしそこはメタグロスの射程圏内。バレットパンチがミミッキュの体側を捉える。しかし、それよりも先にミミッキュの鋭い闇色の爪はヤミラミを抉っていた。

    「ヤミラミ!」
    「ミミッキュ!」

    2匹は地面に叩きつけられ、そのままガクリと項垂れた。同時にそれぞれのボールに戻り、レイは最後の1匹の入ったボールを突き出した。

    「追い詰めたよ、ケイゴ」

    ケイゴの手持ちの残りはブラッキー一体のみ。
    レイはメタグロスの横にエーフィを繰り出した。

    「そう言うレイの2匹はエスパータイプでしょ?勝てるの?悪タイプに」

    エスパータイプの技は悪タイプには無効だ。その上悪タイプの技はエスパータイプには効果抜群となる。相性だけでいえば、ケイゴの方が圧倒的に有利だと言える。ケイゴの煽りを受けて、レイは鼻で笑った。

    「愚問だね。相性不利のエスパータイプに負けた時の言い訳でも考えておきなよ」

    そこまで言うのであれば、何か策があるのだろう。気にはなるが、策を発動させる前に倒してしまえばいい。
    レイのエーフィが額の赤い玉が光る。それを何かの予備動作だとケイゴとブラッキーは感じ取った。

    「エーフィ、未来予知」

    エーフィは念力を貯め、攻撃を近い未来に託した。時限爆弾のような技だ。しかしそれもエスパータイプの技。悪タイプには効かない。
    ケイゴは構わず、ブラッキーに指示を出す。

    「ブラッキー!メタグロスに悪の波動!」

    ブラッキーはメタグロスに黒いオーラの塊を飛ばす。メタグロスは動かず、攻撃を受け入れるように目を閉じた。

    …おかしい。
    レイなら無効だと分かっている技を打つなんて無駄なことはしないし、メタグロスに対しても効果抜群の技をあえて受けることを促しているようだ。冷徹なフリをしているが、レイは自分のポケモンが傷つくのことに人一倍心を痛めるのに。
    そうまでして何を、そうケイゴが考えていた時。レイとメタグロスがシンクロするように目を見開いた。

    「メタグロス、ミラクルアイ」
    「!」

    メタグロスの瞳が赤く光り、その目にブラッキーは魅入られた。ミラクルアイは受けた相手が悪タイプのとき、エスパータイプの技が有効になる。ブラッキーの送った悪の波動はメタグロスに命中し、手負だったメタグロスは耐えきれずにレイのボールへと帰還した。

    「…どうしてもエスパー技で倒したいんだ?」

    プライド、頑固さ、そして何がなんでも自分のやり方で勝利を手に入れたいと言う強欲さ。レイのそれは、相性が不利という立場だからこそ鮮やかに映える。ケイゴはレイの立場に嫉妬すら覚えた。

    「確かにエスパー技はブラッキーに通るようにはなったけどさ、悪タイプの技がエスパータイプに効果抜群なことは変わりはないよ」
    「通りさえすれば充分だ、エーフィ!」

    畳み掛けるようにエーフィはサイコキネシスをブラッキーに飛ばす。ブラッキーはそれに悪の波動で迎え撃つ。エネルギー同士の衝突に爆発が起きる。全くの互角、力は相殺され、フィールドの砂を巻き上げた。
    互角であれば、未来予知の攻撃の発動タイミングに被せて攻撃すれば勝てる。レイは勝機を見て、口角を吊り上げた。
    一方のケイゴは、そのレイの勝算も分かっていた。ケイゴからしてみれば、もともと相性は有利。サイコキネシスと未来予知を同時にぶつけてくる瞬間を「見切り」さえできれば、充分勝てる。

    お互いが静かにその時を待つ。
    すべてはタイミング次第。

    合図も無く、ブラッキーの周りの空間が裂けた。切り傷のような裂け目から少し過去から念力がビームとなってブラッキーを襲う。レイは当然それを把握していて、エーフィに右手で合図を送る。エーフィの額の緋色の玉が輝き、駆けるエーフィに念力のオーラを纏わせる。その姿の美しさに、ケイゴは思わず息を呑んだ。そしてケイゴは、ブラッキーとアイコンタクトを交わす。

    「『見切る』の、やめた。行けるよな、ブラッキー!」

    ブラッキーはケイゴに呼応し、低く構えた。赤い目を見開き、体の金色の模様が怪しく光る。見切るのをやめ、全身で受けて立つ攻めの選択をケイゴは取ったのだ。それがどういう結果になっても後悔しない確信がケイゴにはあった。

    「エーフィ!サイコファング!」

    レイが叫び、エーフィがブラッキーに向かい突進する。身に纏った念力がエーフィの牙へと移動する。

    「ブラッキー、全部噛み砕け!」

    未来予知によるビームがブラッキーへと降り注ぐ。ブラッキーの唸り声と、エーフィの雄叫び。ケイゴとレイは、愛する相棒に全てを賭ける。ただ目の前の相手から勝ちを捥ぎ取る為に。

    一世一代の勝負、一騎討ちを。













    補足

    レイ手持ち
    エーフィ:イーブイ進化枠 
    ヤミラミ:強欲の宝石のイメージから
    キュウコン:狐は強欲の象徴らしいので 狐顔なのもある
    ドータクン:私の趣味 なんか無機物不気味系のエスパータイプを従えていてほしくて…あと重力してほしくて…
    メタグロス:秀才繋がり!奇しくもはがねエスパー2体目だね


    ケイゴ手持ち
    ブラッキー:イーブイ進化枠
    ピカチュウ:なんか持ってて欲しかった 主人公感
    ミミッキュ:嫉妬の象徴として ピカチュウと同時に手持ちに入れるんじゃないよ
    ワルビアル:じゃぱさいのサングラスイメージ 髪も赤い時期あったし
    ドンカラス:リーダー感、ドンっちゃドンかなと

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