とびっきりをあなたに1 <原作軸>
オリフレムの上空、羽ばたく風圧が人々や建屋に干してある洗濯物に障らないよう注意しつつ、海からの風を捉えてゆっくりと低空を飛行する。頬を切りつけるはずの寒気の刃も、顕現してエーテル伝いに鱗を纏ってしまえば左程気になるほどではない。冬の最中だというのに眼下に広がる町並みには色とりどりの飾り紐が渡され、寒さに負けじと咲き誇る花を頭に飾った子供たちがこちらを見上げて指を差していた。
「みて、バハムート!」
「すっげぇ……かっこいい~」
「ディオンさまー!」
『…ありがとう。今日の良き日に幸いあれ』
嬉しそうに追いかけてくる子供たちの上を二、三度旋回して寿ぐと、途端にきゃあ、と喜色を含んだ悲鳴がそこかしこから沸き上がりこちらの心まで軽くなっていく。
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