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    みつみ|なつき

    @mitsumine_333

    一次創作の表に出せない話とか

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    みつみ|なつき

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    創作百合
    死人の声に耳を傾けたいルシアと、ルシアが大切すぎて弱るマルミル

    ##海に焦がれる貴女に戀がれる
    #創作百合小説
    creationOfLilyFiction
    #創作百合
    creation of yuri

    花を手折る ルシアが原因不明の悪夢にうなされるようになったのは、私がルシアに戦利品の一部を差し出した頃からだった。
     肌見離さず持っているという、真っ白な宝石の耳飾り。貝の中で育つという真珠なのだけれど、どうやら前の持ち主が念の強い方だったようだ。占い師に見せると、「これは呪われているね」と眉を顰めた。
     私が何度手放してくれと言っても、ルシアは言うことを聞かなかった。これは大切なものですからと、常に身につけていた。
    「ルシア、どうして手放さないのですか。呪いの耳飾りだと言われているのだから、それは手放してしまわないといけないのに」
    「……声が、聞こえるんです。ご婦人の、泣き声が。あともう少しなんです。もう少しで、ご婦人の言葉に耳を傾けられる」
    「ルシアがその役目を負う必要はないではありませんか。……私は、ルシアのからだが心配なんです。どうか、私のためだと思って、それを手放してください。ルシアに何かあったら、私は——……」
     考えるのも恐ろしいことを口に出してしまい、声が震える。ルシアの手を取り、自分の頬に当てさせる。ひんやりとした彼女の手が、さらに白くなってしまっている。これ以上無理をさせたら、ルシアがいなくなってしまうかもしれない。それを思うと、こわかった。
     私がうつむくと、ルシアは花のように微笑んで手を握ってくれる。思わず強く握り返してしまい、彼女に笑われてしまう。
    「だいじょうぶです、マルミルさま。こう見えて、わたしは強いんですよ。呪いなんて、跳ね返せるんですから」
    「……ですが」
    「ご婦人の話を聞いたら、この耳飾りも呪いが解かれると思うんです。彼女、すごく悲しんでて、放っておけないんです」
     背筋を伸ばし、ルシアが意志の強い瞳で私を見つめる。そこまで言うなら、納得はできないけれどルシアの意志を尊重したい。私はルシアの隣で眠るという条件を出して、彼女のたたかいを見守ることにした。

     翌朝、ルシアを起こそうとその身体に触れると、冷たくなっていた。
    「——ルシア!」
     慌てて肩を揺らすが、ルシアは目を覚まさない。どうしよう、どうしよう、どうしよう。ルシアが、大切な人が、私のせいで……!
     じわりと滲む視界も構わず、ルシアを叩き起こそうとする。ルシアに与えられた部屋には、大きな鍵が鏡台に立てかけられており、それがルシアの友人だ。彼(鍵に性別はないが)に声をかけると、彼はゆっくりと目を開ける。そこで眠り続けているルシアに気づいたのか、目をぱちぱちとさせていた。
    『あれっ、マルミル嬢、どうしたんですか?』
    「キィちゃん……! ルシアが、ルシアが目を覚まさないんです。どうしよう、私が真珠の耳飾りなんてプレゼントしたから……!」
    『ちょいちょい、マルミル嬢落ち着いてくださいよぉ。ルシアお嬢は寝ているだけですって』
    「……え?」
     ルシアの友人の鍵は、まったりとした口調で私の肩に乗る。そのひんやりとした金属でいくらか冷静さを取り戻した私は、ルシアの口元に耳を傾ける。
     彼女は、気持ちよさそうに寝息を立てていた。
    『マルミル嬢、ルシアのお嬢はそこらへんの女の人よりよっぽど頑丈ですよ。僕も呪いの類は見てきたからわかりますが、今回のは強いもんじゃないです』
    「……よかった、本当に、よかった」
     ぎゅうっとルシアの身体に抱きつき、鼻をすする。泣くことなんてあまりなかったのに、どうしてかルシアのこととなると感情が乱されてしまう。
     しばらくルシアの胸元で泣いていると、「……マルミルさま?」と優しい声が聞こえてきた。咄嗟に顔を上げると、寝ぼけ眼の彼女が私の頬を撫でる。
    「ルシア……!」
    「ふふ、マルミルさま、心配してくださったんですね。だいじょうぶです、もう、ご婦人も天に帰られましたから」
     にこりと微笑むルシアは、晴れやかな顔をしていた。私は安堵の溜め息を漏らしてしまい、彼女に笑われる。
    「マルミルさまは心配性ですね。かわいらしい」
    「……からかうのはやめて下さい。本当に心配したのですからね」
    「ごめんなさい。……ありがとうございます、マルミルさま」
     可憐に咲くマルミルの笑顔が、何よりも愛おしい。私はルシアの鎖骨に触れ、唇に触れ、そっと目を閉じる。
     私の花を手折ることは、許さない。それが例え呪いであろうとも、ルシアが跳ね返せるものだろうとも、彼女に指一本触れることすら許さない。
     いっそう胸に宿った独占欲は、ずっと消えることはないだろう。
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