PS 貴方は罪な御人です。すぐ美しい方を見つければ声をかけて、口説いて。きっと夜のお相手に困ったことがないというその噂さえも、貴方のことですから本当なのでしょう。嗚呼。この手紙は、そんな貴方に贈るものです。切手もつけない、送るつもりのない手紙。これ以上、自分の気持ちに蓋ができなくなってしまった、愚かな私の手紙です。
ええ、本音を言えば、貴方のその美しい青い瞳に私だけが映っていたい。嗚呼、貴方のことを独り占めできたらどんなにいいでしょう。
嗚呼、生き方もそのテンポでさえも、まるで何もかも違う貴方と私。貴方の見ているその景色が見たくて合わせたそのテンポは、いつになく心地よかったのです。
でも私は知っているのです。貴方の心は決して私を向いてはいないということを。
貴方の想い人は、亡くなってしまった。国としての彼はそれをどうすることもできないままに。彼女を焼き尽くす炎を見つめる彼は、今までに見ない程、暗い瞳をしていたのです。それはかつて国として結婚した私でさえも、踏み込めない「領域」でした。
あれから貴方は変わってしまった。以前からあそこまで遊びは激しくはなかったのに…
まっさらな心の便箋を、溢れ出してどうしようもないこの想いで埋めていきます。少しでもこの思いが消えてしまえばよいのにと願いながら。
時々、哀しそうな瞳をする貴方。そんな時は、美しく晴れた蒼い空に雲がかかったように、私の心にも影を落とすのです。貴方の孤独は私にはわかりません。けれど、堪らず思うのです。貴方を抱きしめて孤独から一瞬でも連れされたならば。せめて傍にいられたら、どんなにいいか。出来ないことはわかっているのですが。それでも私は……、願わずにはいられないのです。貴方の幸せを傍にいて支えてくれる誰かが、貴方の目の前にあらわれることを。
嗚呼。貴方と過ごしたその時間が、今の私をつくって支えているのです。貴方や私のようなー国にとっては、たった一瞬のことでしょう。ですが、それさえも私には尊く思えたのです。
神様。たとえこのチグハグな恋に未来がなかったとしても、手紙の最後に本当の気持ちを付け足すのをお赦しください。本当に長い間、心の奥底に仕舞い込んでいた言葉を、ここで言いましょう。
PS 本当はずっとー