ゆりお WEBオンリー展示用 @yurio800よかったら感想おねがいします。→http://odaibako.net/u/yurio800 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 9
ゆりおDONEドクター♂×アーミヤ収録:https://yurioppai.booth.pm/items/5702698 10081 ゆりおDONE収録:https://yurioppai.booth.pm/items/4824516宝石みたいな女の子 人生で早く忘れちまいたいのに思い出してしまうことがいくつかある。 最近では妹の結婚式だ。それはもう豪華にしてやった。しょぼい式なんてブラウンテイルの名折れだからね。 「初恋は実らないなんていうけれど――」 何度も直しに出して最終的に私が叱り飛ばしたドレスに身を包んだ愚妹は高らかに宣言した。 「そんなことないわ! だってあたしはユカタンと結婚できたんだもの!」 まったくおめでたい愚かな妹だ。これからの新郎の気苦労が偲ばれる。 疲れ果てた私にユカタンは気を使ったが、祝われるのはお前だと、酒をたらふく注いでやった。 まあ初恋なんて子供の愚かさの発露も同然だ。 あの出来の悪い妹はいつまで経っても子供のままだということで。けれどもそれは幸運だ。 4230 ゆりおDONE※キサスが全員抱いてる本です※収録:https://yurioppai.booth.pm/items/5019426チェリーニアの褥 サルッツォの館は酷く静かだった。 食客であるチェリーニアは自由にその中を歩き回ることが出来た。もちろん多少の制限はあったが、不都合があるわけでもない。 テキサスの家も騒がしいものではなかったが、サルッツオはそれとも違う。常に粗暴な男たちが寄り集まる場所にしては、異様な静けさがあった。張り詰めた糸——そしてそれが、いつ切れるのかという緊張感に充ちていた。 頂点にあった太陽がやや高度を下げた頃。昼食と一服を済ませて戻ってきたチェリーニアは音を聞いた。それは馴染みのあるものだった。ファミリーには不可欠な、制裁に伴う声。ここではさほど聞くことがなかった。なぜならそれは一瞬で行われ、叫びが続くことは少ない。運が良ければ呻き声が続くであろうが、扉一枚で遮ることは容易い。 2296 ゆりおDONE収録:https://yurioppai.booth.pm/items/5269522 9291 ゆりおDONE本編よりだいぶ後、ホシグマがチェンにプレゼントをする話。ホシチェン/アークナイツ「なんだこれは」 執務室の机の上、積まれた書類の山の隙間に置かれた細長い箱を見て、チェンは声を上げた。 目の前のホシグマは答えず、大きな身体で肩を竦めた見せた。広げたてのひらを差し出す。どうぞお開けください、とでも言うように。 チェンは怪訝な表情のまま箱を手にとった。パールホワイトの包み紙でラッピングされたそれは白いリボンが丁寧に巻かれている。およそこの無骨な近衛局には似つかわしくないものだ。自然と包みを剥がす手が丁寧になる。途中、ふとチェンは気付いた。シルバーでプリントされた柄、これはシュヴァルツスキーのロゴだ。 「プレゼントです」 そこで、ようやくホシグマが口を開く。 開けると、中には予想通り、ネックレスが入っていた。小ぶりのクリスタルをあしらったシンプルなデザインだが、ブランドからして安物ではない。 1196 ゆりおDONE不仲ではなかった頃の兄妹。シルバーアッシュとプラマニクス/アークナイツ 階下から音が聞こえ、編み目を数えていたエンヤは手を止めた。編み棒を傍のテーブルに置き、部屋を出る。階段を降りながら玄関を見れば、兄が雪のついたコートを従者に渡すところだった。 「お帰りなさい、お兄様」 「エンヤ」 兄は出迎えた妹の名を呼んだ。彼が笑うことは少ないが、口元がわずかに緩んだのがわかる。 「まだ起きていたのか」 「ええ、お兄様が帰ってくる日ですから」 「エンシアは」 「まだ戻っていません。今度の山は張り切っていましたから——あまりヤーカおじさまに迷惑をかけていなければいいのですけど」 お転婆な妹のことを考えて苦笑しつつ、さあ、とエンヤは兄の袖を引いた。 「冷えたでしょう。お茶を淹れますね」 昔に比べれば、使用人の数は随分と減ってしまった。けれどもエンヤは、密かに自ら身の回りのことをすることが好きだった。誰かに傅かれるより、大事な家族のために何かをしてあげたいと思う。兄の土産である紅茶の葉にお湯を注ぎ、その香りを胸いっぱいに吸い込む瞬間が幸せだと思う。 929 ゆりおDONEロサの首を絞めてあげるズィマー。ズィマロサ/アークナイツ グムは夜中に目を覚ました。 喉が渇いている。一度そう感じると堪らなくなってグムはベッドから這い出た。簡易キッチンで水を汲んで、ごくごくと一息で飲む。もう一杯。大丈夫、もう飢えたり渇いたりなんかしない。 人心地付いたグムは部屋の中を見渡した。うす暗い視界に、空のズィマーのベッドが見える。 「……グム?」 反対側からイースチナの声がした。 「どうしたんですか?」 「イースチナお姉ちゃん、ズィマーお姉ちゃんがいないよ」 「きっとトイレですよ」 返答は素っ気なかった。イースチナが手招きするのが見えて、グムは彼女のベッドの中に潜り込んだ。 安心する温かさと匂いに包まれて、グムはそのまま眠ってしまった。 * 1434 ゆりおDONEトランスポーターのモスティマの話収録:https://yurioppai.booth.pm/items/3958437モスティマ/アークナイツ「ありがとうございます、ありがとうございます」 その老夫婦は渡された小包みを胸に抱いて、涙を浮かべていた。 「なんとお礼を言ったらいいか……こんなところまで来ていただいて……。私たちにできることならなんでもいたします」 拝むように見上げられ、流れるような青髪のサンクタと思しき女は苦笑した。 「もちろん既に代金はもらってるから——あ。でも、そうだ」 頭の上に浮かんだ黒く染まった輪——それが本来白いものだとは、この辺境の人間たちは知らないだろう。もしかしたら、サンクタ人を見たのすら初めてかもしれない。それを傾け——すなわち、首をかしげながら。女はにっこりと笑って尋ねた。 「この辺りで一番美味しい食べ物って何?」 5056 ゆりおDONEソーンズ視点のイベリアの話。※遅くなってすみません。全文公開しました。ソーンズ/アークナイツ 黒い手袋をつけた手。ピンと伸びた人差し指がソーンズの頭部を差し示す。 「寝癖を直して」 ウィーディはいつものように丁寧に指摘した。言われた通り、彼は自分の固い髪を撫でつけた。ぴょこんと飛び出したひと房を見つけ、髪留めのゴムの中に無理矢理しまい込む。 彼女は頷いて納得を示した。指先は迷いを知らないように直線を描いて下を向く。 「あと、裾が捲れてる」 ソーンズは言われるままに、くるぶしが剥き出しになっていたズボンを直した。ついでとばかりにいていた糸くずを摘まんでポケットにしまう。感心したようにウィーディは頷いた。 「今日は素直だね」 「……目的のためだ」 ソーンズは端的に答えた。ため息交じりのそれを聞きつけた彼女の眉間に皺が寄ったことには気づかないふりをする。 7305 1